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第一章

第三十七話

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((セ、セレブどす?))


「そう。セレブ。アタシは現世ではスーパーセレブだったのよ。」


((そ、そうどす?つ、つまり、由梨はんはお嬢様だったということどす?))


「まあ、早く言えばそいうことになるわね。」


((こんな小さくて、胸が洗濯板な女子がお嬢様なんどす?))


「ちょ、ちょっと何かずいぶん失礼なこと言わなかった?」


((いや、空耳どす。))


(これはかなりヤバいどす。都はんはお嬢様を好みはるんやろか。探りをいれないかんどす!)


「もう疲れたから寝るぞ。」


 本当に疲労していたので、そのままのことを述べた。


「そ、そうね。それがいいわ。ルンルン。」


「やけに嬉しそうどすな。」


「べ、別にそんなことないわ。さっきの闘いであれだけ活躍したんだから、疲れて当然よ。」


 オレがベッドの真ん中に入ると、指定席である左側に入ってきた由梨。


「あ~ぬくぬく。この感触、生き返るわ。」


 死んでてもそういう感覚はあるらしい。オレの左腕を柔道の決め技のようにしっかり掴んで放さない様子。


(す、スゴイどす。あんな風に殿方に添い寝できるとは!これがセレブなんどす。うちも真似しないと。)


 何を思ったのか、絵里華も寝床に侵入してきた。不可侵条約を締結しているわけではないから、クレームのつけようはないが。折角ひとり減って広々と寝られると思ったのに。
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