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第二章

第一話

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前に話した生徒会。『獅子天王』たちのいるところだ。普段オレとは無関係なので、詳しいことは知らないが、どうも評判が良くない。あまり近づきたくないメンバーである。


『2年D組の日乃本都ォ、放課後生徒会室に出頭するようにィ。』



 ガラの悪そうな男子の声で校内放送が教室に流れた。いったい何の呼び出しだ。


「都、なんか悪いことでもしたの?アタシには関係ないけど。」


 由梨が横を向いたままオレに話しかける。



「いや別に心当たりはない。いいことはしてないけど、悪いことはさらにしてない。それにしても『出頭』とはどういう意味だ?」


 ありていに語ったオレ。


『あっ、忘れておったァ。放課後と言ってもォ、夜8時に参るようにィ。』


 8時だと?これは穏やかではない。第一、帰宅部のオレにどうやって時間を潰せというのか?仕事のできないサラリーマンじゃあるまいし、8時は遅すぎる。


「そ、そう。別に好きにすればいいわ。アタシも忙しいけど、都が泣いて頼むから、仕方なくついていくわ。」


 泣いてなんかいないのは言うまでもない。


((これはいかにも、匂うどす。注意しないと。うちは一緒に行くどす。それが妻としての務めどす。ぽっ。でも由梨はんが行くなら、うちは行ってはならんどす。))


「だーれだ?」


 どこから湧いてきたのか、万?がオレの後ろにいた。なぜ判明したかというととある部分のボリュームがオレの後頭部を圧迫したからである。


「都たんのエッチ~!」


 万?はそう言いながらも笑顔。アイドルならこれぐらいのことはバラエティで経験済みだろうな。


 オレが何も言わないうちに、絵里華除きで3人タッグが成立していた。絵里華はババ抜きの一件が影響したのか同行せず。美緒は保健室フロアにいるのだろうか、そして授業に出てるのか、ちょっと不安。
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