上 下
123 / 140
第四章

第四話

しおりを挟む
あちこちでジバクが暴れている中で、ひとり、学生帽を被った者がちらりと見えた。
「これでは拉致が開かない。みんな一旦引き揚げるぞ。」
 四人はオレを引き連れて生徒会室へ帰って行った。
 
 オレを含めて五人が生徒会室のソファーに腰掛けている。


「さあ、今回はやっかいな事件だな。」


「何がやっかいなの?」
 万?が首を傾けた。


「プールはジバクでいっぱいだ。プールで遊びたいと思うジバクはたくさんいる。その中にリーダーがいるのだろう。おそらく、そのリーダーがジバク全体の意識に働きかけて、騒動を起こしていると思われる。だが、あの人数の中から見つけるのは大変だ。」


「そういうこと。じゃあ探す方法を考えないとね。それならあたしにしかできないことね。」
 由梨は自信ありげだ。


「なにか、具体策があるのか。」
 美緒は身を乗り出して、由梨の方を見る。


「そ、それはあとから言うわ。セ、セレブはトリを務めるのが普通だわ。」


「そうか。その口ごもりぶりからして期待はしないことにする。」
 美緒はばっさり斬った。


((うちはリーダーを見たどす。))
 絵里華が切れ長の目を輝かせた。


「なに?そうなのか。で、どんなヤツだった?」


((学生帽、学ランを着ていたように見えたどす。))


「ということは男の子なのかな?わくわく。」
 万?のテンションが上がった。


「そ、そんなこと、あたしには初めからわかっていたわよ。」


「そうか、そうか。じゃあ、そいつを呼びだす作戦はなんだ?」


「そ、それは後のお楽しみよ。」


「うむ。とりあえずそういうことにしておこうか。」
 美緒は上から由梨を見下ろした。これは精神的でもあり、物理的でもある。身長差である。
しおりを挟む

処理中です...