43 / 67
第三章
第四部分
しおりを挟む
表紙はよくあるような女子イラストではなく、大きな人物像が掲載されていた。
「これは写真?アルバムじゃないの。これは遼斗の写真?いや肖像画だわ。すごく写実的に描かれていて、かなりの画力だわ。美術の成績は相当なものね。しかし、これは遼斗がいつも着ている制服とは違ってるわね。白のズボンとキラキラしたボタンの着いた白いシャツ。白いところは一緒だけど、ふわふわもないし、形がかなり違うわ。私服かしら。」
さらにページをめくると、やはり遼斗の絵が貼り付けてあった。しかし、そこには遼斗以外の人物も描かれていた。
「何これ!信じられないわ。遼斗と女子がキスしてる絵じゃないの。」
額から大粒の冷や汗を流しながら、アルバムをめくっていく玲羅。
しかし、それ以降の絵はさらに過激な絵で、目が点になった玲羅。
「きょ、驚天動地だわ。遼斗がこ、こんなにエロかっただなんて。こんなもの、汚らわしいだけだわ!」
玲羅は失敗原稿を書いてしまったラノベ作家のように、アルバムを投げ捨てた。
「玲羅。落ち着くのよ。今は冷静に行動すべきだわ。」
自分に言い聞かせた玲羅は、床に座って修行僧のように座禅を組んだ。
10分後、ガウタマシッダールタのように、ゆっくりと目を開いた玲羅。
「もう一度、よく確認するわ。もしかしたら、今さっきあたしが見たのは、厳格な幻覚かもしれないし。」
幻覚が厳格ならば、もはや幻覚のカテゴリーを大きく逸脱している。
冷静さを取り戻した玲羅は、アルバムを拾い上げて、描かれている遼斗と女子たちを凝視していく。
「これはあくまで絵画よ。もしかしたら、遼斗の妄想かもしれないわ。今時、女の子と遊んで、その後に絵を残すなんて男子いるかしら。フツーはツーショット写真でも撮るわよね。そうよ、きっとそうよ。これは本人に確かめないと。」
『カッ、カッ、カッ。』
男子の靴音が近づいてきて、玲羅は慌ててアルバムを元に位置に戻した。
自室に入ってきた遼斗は落ち着いた様子でゆっくりと部屋全体を睥睨した。
「特に変化はないようだな。」
遼斗は次にメイドコーナーの前に立っている玲羅に視線をやった。
「専属メイドの変更の件はメイド長から聞いてるぞ。今からよろしくな。」
「こ、こちらこそ。べ、別に専属になりたくてなったわけじゃないんだから。これはメイド長の命令に仕方なく付き合ってやってるだけなんだからねっ。」
「そんなことはわかってるさ。こちらはいつも通りにやっていくさ。メイドが誰になったとしてもやってもらうことは同じなんだからな。」
遼斗は手にじっとりとしたものを感じていた。口では平静を保っていたものの、心中穏やかでなかった。
「これは写真?アルバムじゃないの。これは遼斗の写真?いや肖像画だわ。すごく写実的に描かれていて、かなりの画力だわ。美術の成績は相当なものね。しかし、これは遼斗がいつも着ている制服とは違ってるわね。白のズボンとキラキラしたボタンの着いた白いシャツ。白いところは一緒だけど、ふわふわもないし、形がかなり違うわ。私服かしら。」
さらにページをめくると、やはり遼斗の絵が貼り付けてあった。しかし、そこには遼斗以外の人物も描かれていた。
「何これ!信じられないわ。遼斗と女子がキスしてる絵じゃないの。」
額から大粒の冷や汗を流しながら、アルバムをめくっていく玲羅。
しかし、それ以降の絵はさらに過激な絵で、目が点になった玲羅。
「きょ、驚天動地だわ。遼斗がこ、こんなにエロかっただなんて。こんなもの、汚らわしいだけだわ!」
玲羅は失敗原稿を書いてしまったラノベ作家のように、アルバムを投げ捨てた。
「玲羅。落ち着くのよ。今は冷静に行動すべきだわ。」
自分に言い聞かせた玲羅は、床に座って修行僧のように座禅を組んだ。
10分後、ガウタマシッダールタのように、ゆっくりと目を開いた玲羅。
「もう一度、よく確認するわ。もしかしたら、今さっきあたしが見たのは、厳格な幻覚かもしれないし。」
幻覚が厳格ならば、もはや幻覚のカテゴリーを大きく逸脱している。
冷静さを取り戻した玲羅は、アルバムを拾い上げて、描かれている遼斗と女子たちを凝視していく。
「これはあくまで絵画よ。もしかしたら、遼斗の妄想かもしれないわ。今時、女の子と遊んで、その後に絵を残すなんて男子いるかしら。フツーはツーショット写真でも撮るわよね。そうよ、きっとそうよ。これは本人に確かめないと。」
『カッ、カッ、カッ。』
男子の靴音が近づいてきて、玲羅は慌ててアルバムを元に位置に戻した。
自室に入ってきた遼斗は落ち着いた様子でゆっくりと部屋全体を睥睨した。
「特に変化はないようだな。」
遼斗は次にメイドコーナーの前に立っている玲羅に視線をやった。
「専属メイドの変更の件はメイド長から聞いてるぞ。今からよろしくな。」
「こ、こちらこそ。べ、別に専属になりたくてなったわけじゃないんだから。これはメイド長の命令に仕方なく付き合ってやってるだけなんだからねっ。」
「そんなことはわかってるさ。こちらはいつも通りにやっていくさ。メイドが誰になったとしてもやってもらうことは同じなんだからな。」
遼斗は手にじっとりとしたものを感じていた。口では平静を保っていたものの、心中穏やかでなかった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる