魔境放眼は地獄へ行く

木mori

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第一章

第六話・戸惑いのふたり

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「アタシのはこれよ。」

『大悟ちゃんと同文に付き略。てーそー奪ったら殺しちゃうから気をつけてね。』

「まったくいつもながらのトンデモメールだな。」

「でも実際、どうやって饅頭人を倒すのか、わかってるの?ア、アタシはやりたくないんだけど。」
 
 大悟はわずかに震える楡浬の唇を見逃さなかった。開花前の桜の蕾も負けて咲くのを断念してしまうと言っても決して大げさではない。大悟ならずとも見惚れてしまう。

 美を愛でるのは人間の本能であり、他の動物よりも人類が進化できたのは、美を感じる繊細な心があるからである。

「やっぱり饅頭が苦手なんだな。甘くてうまいのに不思議だ。甘いという味覚がどれだけ人を和ませることか。」

「それは気のゆるみを誘発するわ。そんなことだからだらしないのよ。堕落の始まりは甘さからよ。大悟は堕落フラグがずっと立ち続けるんだろうけど。とにかくウサミミ族には饅頭はダメなのよ。」
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