魔境放眼は地獄へ行く

木mori

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第二章

第十二話・小脳はえっちの運動だけを担当?

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 桃羅は、ノイズを出す時の姿勢を取った。


 大悟の頭上に右手で携帯をかざし、そのまま振り下ろした。


 大悟はその瞬間、後ろへ2メートル飛んだ。


 同時にザーッという土を抉る音がした。


 地面には直径10センチ、長さ2メートルの真っ直ぐな溝ができていた。


「ふう。間一髪だったなあ。砂遊びをするような年じゃないんだけど。」


「あれれ。魔法は何にもできないお兄ちゃんが避けたよ。そんなスピード、キッシンジャーの時でも出せてないよね。」


「ああ、あれは味を十分堪能してるからな。」


「やっぱりお兄ちゃん、えっちだね。今のが小えっちだよ。でもこの期に及んでえっちの観念を理解しても無益だけどね。」


「そうだな。どっちにしろ、えっちのコンセプトなんて知っても、オレの人生の夢先案内はしてくれないだろう。」


「人間の人生はえっちから始まるんだから、えっち軽視は憲法違反だよ!」


 桃羅が得物を持たない右手を大きく左右に振ると、大悟の周りにかなり強い風が吹いて、大悟の横にある木の幹に二本の亀裂が走った。


「危ないぞ。刀の素振りは人気のないところでやってくれ。」


「へえ。またかわしたねえ。お兄ちゃんの小脳はえっちの運動だけを司ってると思ったのに、斬撃回避のプログラムがインプットされてたんだ。」
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