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第二章
第七十五話・脳停止のフローチャート
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「そういえば、衣好花もシフトじゃないのか。ここにはいないようだが。」
「お兄ちゃん。ショボショボ魔女はちょっとたいへんになっちゃったんだよ。」
「どうしたんだ。風邪でもひいたのか。」
「ただの風邪ならいいんだけど。心の風邪をひいたみたいなんだよ。地獄行きバトルにダルマ一号に負けちゃってから、すっかり、寒空に舞い散る落ち葉のように心が折れてるんだよ。」
「楡浬と衣好花、どちらも心配だな。」
大悟と桃羅たち三人は、沈みゆく冬の夕日のように、家路を急いだ。
すぐに大悟家に着くと、玄関には楡浬が腰に手を当てて、屈強な門番をしていた。本来名前が書かれている胸のゼッケンには『BL激ラブ!』と書かれている。
「よく心臓が動いたままで帰って来れたわね。てっきり、長方形の木の箱に入って微動だにしない理科実験標本人形での帰宅を予想してたけど。」
「薄いジャージ姿で、急に盛り上がった胸部を強調するポリシーは立派だな。」
「ほっといてよ。どんな風に死んでるのか、シミュレーションが多すぎて、アタマがメモリー不足に陥ってたんだからねっ。」
「それは悪かったな。今度は脳停止のフローチャートをプリントにして置いておこう。」
「あんたって、ホント、バカね。グスグスン。」
楡浬は大悟の広い胸にぬれた頬を押し付けた。大悟は楡浬の体温で、人間界に無事に戻ってきたことを実感するのであった。
「お兄ちゃん。ショボショボ魔女はちょっとたいへんになっちゃったんだよ。」
「どうしたんだ。風邪でもひいたのか。」
「ただの風邪ならいいんだけど。心の風邪をひいたみたいなんだよ。地獄行きバトルにダルマ一号に負けちゃってから、すっかり、寒空に舞い散る落ち葉のように心が折れてるんだよ。」
「楡浬と衣好花、どちらも心配だな。」
大悟と桃羅たち三人は、沈みゆく冬の夕日のように、家路を急いだ。
すぐに大悟家に着くと、玄関には楡浬が腰に手を当てて、屈強な門番をしていた。本来名前が書かれている胸のゼッケンには『BL激ラブ!』と書かれている。
「よく心臓が動いたままで帰って来れたわね。てっきり、長方形の木の箱に入って微動だにしない理科実験標本人形での帰宅を予想してたけど。」
「薄いジャージ姿で、急に盛り上がった胸部を強調するポリシーは立派だな。」
「ほっといてよ。どんな風に死んでるのか、シミュレーションが多すぎて、アタマがメモリー不足に陥ってたんだからねっ。」
「それは悪かったな。今度は脳停止のフローチャートをプリントにして置いておこう。」
「あんたって、ホント、バカね。グスグスン。」
楡浬は大悟の広い胸にぬれた頬を押し付けた。大悟は楡浬の体温で、人間界に無事に戻ってきたことを実感するのであった。
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