魔境放眼は地獄へ行く

木mori

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第三章

第十三話・ひと肌

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帰宅後、白弦は、大悟が黒霞雨と結婚することになったいきさつを全員に話した。


「諸悪、いや地球悪の根源は愛人二号だよ。愛人二号とお兄ちゃんがやっと許嫁不等式になったのはいいことだけど、肝心のお兄ちゃんがひきこもりの饅頭人に拉致されたなんて。いや拉致ってレベルじゃないよね。結婚って言ったら、永遠の片道切符だよね。」


「仕方ないでしょ。アタシは何も知らなかったんだから。」


「愛人二号はそれでいいわけ?」


「いいなんて全然思ってないわよ。そんなことがわかってたら、あんな怪談の舞台にしかならない場所にはお金もらっても行かなかったわよ。すべてアタシが悪いのよ。キッシンジャーでただの害悪にしかならない存在だけど、許嫁だからね。う、う、う。」


 楡浬の可憐な顔が、流れる涙で洗われる。強い口調だった桃羅も矛先を失い、言葉を失っていた。騙流と衣好花はふたりのやり取りを黙って聞いていたが、騙流はダルマで、衣好花は帽子で、目頭を押さえていた。


「お主たち。このまま放置でいいのか。自分の兄、抱っこプレイヤー、ショターゲット、そして許嫁じゃろ。それでいいなら、存在のあまりの軽さに大悟は自嘲するしかないじゃろうな。実に哀れな飼い犬じゃったわけじゃ。」


「そ、そんなことないわ。アタシは助けられたんだから、借りを返さないといけないわ。許嫁の立場はフィフティフィフティなんだから。いいわよ。大悟を連れ戻して、アタシに膝まづかせてお礼を言わせないとね。」


「お兄ちゃんにそんなひどいことさせないよ。お兄ちゃんにあたしのパンチラを見せたら食い付いて離れなくなるはずだよ。」


《まる、お姫様抱っこがないと血液循環、悪化する。これから寒くなる、しもやけ発症。痒さでだんまり。》


「あたいがショタイゴちゃんにしたことに責任があるです。憾痛の字。」


「みながそう言うなら仕方ないのう。妾にはメリットがないのじゃが、ひとハダカ脱ぐかの。」


 白弦は幼女制服を捲りあげて胸まで見せた。


「「《「脱がんでいい!」》」


「でも大悟がどこにいるのか、つるぺたはわかってるの?饅頭人居住区って、地獄にあるんじゃないの。ウサミミでも危険すぎて容易には近づけないわよ。」


「大丈夫じゃ。地獄を通らずとも簡単に行けるハズじゃ。この前のマンションから繋がっておるわ。」
 こうして、五人は黒霞雨のマンションに向かった。
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