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第三章
第十五話・居住区
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こうして、発見した通路から居住区への進路を得た桃羅たち。
「饅頭人居住区って、アタシは入ったことないけど、つるぺたはどんなところか知ってるのよね?」
「そちにつるぺたと呼ばれるのは納得いかんぞ。一度身体検査してどちらが真のつるぺたか勝負する必要があるのう。妾が知ってるのは屯田兵が開拓していた頃だけじゃ。当時は地獄の辺境地で、誰も住んでいない荒涼とした場所だったんじゃ。今はどうなっているのか妾にもわからん。」
「なんだか、すごく怖そうな気がするんだけど。こうなったら、愛人二号を先鋒に任命して防波堤になってもらう必要があるね。その自己犠牲精神だけは褒めてやるよ。」
「まだやるなんて言ってないでしょ。そんな大事な仕事はリーダーが全うすべきじゃないの。」
「それはそうかも。じゃあ、先導者は決定だね。ねえ、リーダーつるぺたさん。」
「いきなり妾なのか。選考過程に納得いかんのう。」
目を吊りあげて両手を腰での抗議のポーズの白弦。幼女の決めポーズはマニア必見である。
「まあまあ、そう言わずにリーダーなんだから。今からお兄ちゃんに出会った時のシチュエーションを想像してみなよ。あたしたち、レスキュー隊がお兄ちゃんの目の前に現われた時、お兄ちゃんの目に映るのは、先頭を歩く女子になるはずだよ。そこでインプリンティングの理論からすれば、マザー認定されるのは、つるぺたになるはずだよ。」
「たしかにそういうシミュレーションが成立するのう。了解した。妾が先鋒を務めるぞ。」
(つるぺたがいちばん前でもお兄ちゃんの目線からすれば、二番目にいるあたしと目線が合うはずなのに。やっぱり頭脳は幼女レベルだね。)
「おい大悟妹よ。なんだかニヤケているように見えるがのう?」
「な、なんでもないよ。じゃあこの態勢で行こうよ。」
白弦を先頭にして、二番三番は桃羅と楡浬。その後ろに騙流と衣好花が並ぶという遊園地列車。そのドラクエのフィールドキャラ小隊は、通路から居住区へ足を踏み入れた。
「ここが饅頭人の住んでいるところ?これじゃ、人間界と変わりないよ。」
桃羅たちの目に映ったのは、都会の駅前のような商店街の街並み。でも大きな違和感がある。
「太陽がなくて薄暗い。街灯で明るくしてるようじゃ。そこは地獄と同じじゃな。」
「街を歩いているのは饅頭人ばかりだね。甘い香りが漂ってるけど、その数が多くて、甘さが充満して、むせかえりそうだよ。」
騙流はダルマを口に当てており、衣好花も手で口元を押さえていた。
「さて、大悟がどこにいるのか、探す必要があるんじゃが、その前にやらなきゃいけないことがもう出てきたようじゃな。」
10人の饅頭人が白弦たちの前に現われた。『ううう』という唸り声を上げている。
「饅頭人居住区って、アタシは入ったことないけど、つるぺたはどんなところか知ってるのよね?」
「そちにつるぺたと呼ばれるのは納得いかんぞ。一度身体検査してどちらが真のつるぺたか勝負する必要があるのう。妾が知ってるのは屯田兵が開拓していた頃だけじゃ。当時は地獄の辺境地で、誰も住んでいない荒涼とした場所だったんじゃ。今はどうなっているのか妾にもわからん。」
「なんだか、すごく怖そうな気がするんだけど。こうなったら、愛人二号を先鋒に任命して防波堤になってもらう必要があるね。その自己犠牲精神だけは褒めてやるよ。」
「まだやるなんて言ってないでしょ。そんな大事な仕事はリーダーが全うすべきじゃないの。」
「それはそうかも。じゃあ、先導者は決定だね。ねえ、リーダーつるぺたさん。」
「いきなり妾なのか。選考過程に納得いかんのう。」
目を吊りあげて両手を腰での抗議のポーズの白弦。幼女の決めポーズはマニア必見である。
「まあまあ、そう言わずにリーダーなんだから。今からお兄ちゃんに出会った時のシチュエーションを想像してみなよ。あたしたち、レスキュー隊がお兄ちゃんの目の前に現われた時、お兄ちゃんの目に映るのは、先頭を歩く女子になるはずだよ。そこでインプリンティングの理論からすれば、マザー認定されるのは、つるぺたになるはずだよ。」
「たしかにそういうシミュレーションが成立するのう。了解した。妾が先鋒を務めるぞ。」
(つるぺたがいちばん前でもお兄ちゃんの目線からすれば、二番目にいるあたしと目線が合うはずなのに。やっぱり頭脳は幼女レベルだね。)
「おい大悟妹よ。なんだかニヤケているように見えるがのう?」
「な、なんでもないよ。じゃあこの態勢で行こうよ。」
白弦を先頭にして、二番三番は桃羅と楡浬。その後ろに騙流と衣好花が並ぶという遊園地列車。そのドラクエのフィールドキャラ小隊は、通路から居住区へ足を踏み入れた。
「ここが饅頭人の住んでいるところ?これじゃ、人間界と変わりないよ。」
桃羅たちの目に映ったのは、都会の駅前のような商店街の街並み。でも大きな違和感がある。
「太陽がなくて薄暗い。街灯で明るくしてるようじゃ。そこは地獄と同じじゃな。」
「街を歩いているのは饅頭人ばかりだね。甘い香りが漂ってるけど、その数が多くて、甘さが充満して、むせかえりそうだよ。」
騙流はダルマを口に当てており、衣好花も手で口元を押さえていた。
「さて、大悟がどこにいるのか、探す必要があるんじゃが、その前にやらなきゃいけないことがもう出てきたようじゃな。」
10人の饅頭人が白弦たちの前に現われた。『ううう』という唸り声を上げている。
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