特売フイギュアワゴンの中に手を入れたら、人生変わるので注意してください。

木mori

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第一章

第三話

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 金色ツインテ女子は床に倒れていたが、シナリオ通りの正義系プロレスラーのように立ち上がった。

「アタシ、いったいどうしたのかしら。肩こりがひどいわね。何か運動でもしたんだっけ?」
金色ツインテ女子は右肩に手を当てた。
そこにはビミョーな硬さの違和感があった。

「肩こりも高じるとこんなに盛り上がってしまうのかしら。それになんだか奇妙な突起物もあるわ。まさかの吹き出物?」

(ぐぅぅぅ。)

 肩から変な音が聞こえるわ。骨が出っ張ったのかしら。
金色ツインテ女子は人差し指と親指で至極小さな突起物をつまんでみた。

(ぎゃああ!)
肩のそばを震源地とする悲鳴が、耳たぶを揺らした。

(どこを掴んでるんだ!神聖な水源地だぞ!)

「どこから声出してるのよ。・・・って、ここしかないわね。ラストリゾートにはほど遠い、死地だわね。」
 ブリーフ姿の高さ10センチぐらいの天使が、金色ツインテ女子の右肩に乗って立っていた。足は肩の肉と同化しているように見える。

 金色ツインテ女子は右肩に顔を向けて、大きく息を吸い込んで、一気に台風のように吐き出した。

「このどヘンタイ~!アタシの純情無垢な肩を汚すんじゃないわよ!」

(ぶわー!いったい何をする。そんな不埒なことをするヤツは、悪魔呼ばわりされるぞ!)

「だってアタシは悪魔、沙汰中楡浬(さたなか ゆり)だし。」

(沙汰中?あの、悪魔の中の極悪悪魔か!でもたしか、天使ラッサール高校に滅ぼされたんじゃ?)

「その通りよ。一度消滅させられたけど、リベンジしたいという強固な復活意志でようやく蘇ったのよ。でも記憶を失っていたわ。それがさっきのショック療法で、思い出したってわけね。見たところ、あんたは天使ね。それも最下級クラスの。」

(その通りだ。最下級クラス天使だ。どうだ、すごいだろ?って、自分で言いながら沈んでしまう。)

「落ち込むのは勝手だけど、アタシを呼んだのはあんたでしょ。お陰で復活できたけど、お礼なんて言わないわよ。」

(そんなものはいらない。たしかに、声を掛けたのはオレだ。アキバにうろついてるはぐれ天使に対して無作為に声掛けしたんだが、まさか悪魔にキャッチされるとは。こうなったのも何かの因縁だ。しばらくここに住まわせてくれ。)

「ずいぶんと図々しいわね。勝手にひとの肩に乗ってきて、しかもアタシに命令するとか。」

(仕方ないだろ。オレの名前は宇佐鬼大悟。天使偕成高校二年で天下一品の落ちこぼれだ。)

「何よ、その自己紹介。落ちこぼれを堂々と表明できるのは、真の優等生の『へりくだり特権』なんだけど。それに天使の名前って、フツー横文字じゃないの?」

(いちいちうるさいな。カタカナの呼び方は尊称だ。下級天使には称号なぞないんだから、これが本名だ。オレは誰かに呪いをかけられて、こんな姿にされて、この店で売られていたんだ。早くオレを買ってくれ。さもないと。)

「さもないと?」
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