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第一章
第六話
しおりを挟む「よく考えたらアタシは最近復活したばかりで住む場所がなかったわ。あんた、いや名前は大悟って言ったかな。大悟はどこに住んでいるのよ。」
鶯谷駅の周辺をうろつく楡浬であったが、すでに太陽は沈んで真っ暗になっていた。
(天使偕成高校は全寮制だったから、そこにいた。学校に入学できれば寮に入れるぞ。)
「だったらすぐに転入するしかないわね。」
(でももう夜だ。今夜はどうするんだ?まさか野宿ってわけにはいかないし。いや待てよ。悪魔なら何でもできるんじゃないのか。木の上で寝泊まりとか。)
「そんなことできるわけないでしょ。そりゃあ、昔の悪魔は住環境も劣悪で、そんなことをしてたみたいだけど、現代に適応した結果、そんな野蛮な悪魔はいなくなったわ。ということで、大悟、泊まるところを手配しなさいよ。」
(ならばどこかのホテルに泊まるしかないだろう。幸いこの鶯谷駅周辺にはたくさんのホテルがあるぞ。楡浬、少しはお金持ってるよな。)
「あと少しだけね。でもこの地域のホテルって、ずいぶんネオンが激しいわね。料金も休憩 3,000円とか安いわね。」
(ちょっと待て。休憩って、2時間とか書いてあるぞ。これって、まさか・・・。)
「ホテルヨンモリッツ、ラグジュアリーな夜を演出します♥と書いてあるわね。素敵そうなホテルね。ここにするわよ。」
(おいおい。このホテルって、フツーのと違うんじゃ?)
「ホテルにフツーとかフツーじゃないとかあるの?高級かそうじゃないかくらいの区別じゃないの?」
(その分類方法自体は正しいけど、いろんなジャンルがあると思うぞ。)
「いろんなジャンルってどういうこと?」
(い、いや。健全な青少年にはまだ早いっていうか。)
楡浬の右肩に立ちながらも足の膝をくっ付けてモジモジしているフィギュア大悟。
「いいから入るわよ。受付は無人なのかしら?部屋も自分で選ぶようになってるし。面倒が省けていいわね。」
狭いエレベーターに乗って4階の部屋に入って、絶叫した楡浬。
「すごくゴージャスな部屋じゃないの。こんな大きなベッドだなんて初めてだわ。キャッキャッ!」
初めての告白でOKをゲットした女子中学生のようにはしゃぎまくる楡浬。
(ここがどんな場所かわかってるのか。)
「ホテルじゃないの?寝泊まりするだけの施設じゃないの?」
(それはそうだが、ここはだ、ダンジョンが一緒に泊まる・・・)
「ダンジョン?そんな迷路のように複雑でもないし、部屋の数も少ないけど。こんなところで迷う大悟には、規格外の方向音痴認定してあげるわ。」
(オレは方向感覚には自信があるんだ!男女がひとつのベッドに泊まるホテルだっていうことだよ!)
「男女が一緒!そ、そんな、破廉恥じゃない。なんてスーパHな大悟なの?」
(直球過ぎる表現はやめてくれ。だから、ここに泊まるっていうことはそういうことだ。)
「でもそんなのなんてことないじゃない。大悟はここにいるんだから、いかがわしい行為は初めから禁止されてるわ。ふふん。」
(そ、そうだった~!それならいいけど。じゃあ、風呂は?)
「ガーン!・・・なんちゃって。それも目隠しすればいいんだからなんの問題もないわ。」
(そ、僧かな。)
「その通りよ。出家した気持ちになれば色即是空よ。」
(天使が出家とかするか!)
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