特売フイギュアワゴンの中に手を入れたら、人生変わるので注意してください。

木mori

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第一章

第七話

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ガラス張りのバスルームに移動する楡浬。そこでセーラー服に手をかける楡浬。
「大悟。ちゃんと目隠してるでしょうね。ずらしたりしたら体ごと燃やしちゃうからねね。」

(ぜえぜえ。これは目隠しじゃねえ。顔全体を覆う猿轡だろうが。それどころかこれじゃミイラじゃないか。息が苦しいぞ。)
 大悟は全身をタオルでグルグル巻きにされていた。

「フィギュアでも呼吸するのかしら。そんなのいらないと思ったんだけど。」

(体はほとんど動かないけど、生物なんだから、手荒な扱いはやめてくれ。)

「その姿のフィギュアだけでもキモイのに、生きているとか、キモイの10乗だわ。」

(せめて2乗にしろ。それにここまで一緒にいたのに、今更なんだよ。)

「バ、バカね。このシチュエーションを考えなさいよ。す、すごく恥ずかしいんだからね。」
 楡浬はスルスルと衣擦れの音を発信させている。受信者はたったひとりである。

(そ、そうだな。これはやっぱりヤバい状況かな。精神統一が必要だな。)

「変な部位に神経を集中させないでよね。大脳のみに思考をフォーカスするのよ。」
(わ、わかってるよ。余計なことを言うと抑制しようとする部分に逆流するんだからな。)

 大悟の戯言をスルーしつつ、バスルームにシャワーの音を響かせる楡浬。
「はああ。気持ちいいわ。シャワーなんて、死んでからまったく浴びてなかったから、いつ以来かしら?生き返るわ~。」

(すでに蘇っているだろう。ブバー。熱いじゃないか!)

 楡浬は自分の右肩に強烈な温水ビームを浴びせ掛けた。
「変なこと言うからよ。そこで般若心経でも唱えててよ。」

(そうするよ。ここで高見の見物といくぜ。早速だが、あまりない胸でお湯が弾かれているのがよく見えるぞ。)

「あまりない胸って何よ。バカにするんじゃないわよ。・・・。ちょっと待ちなさいよ。ま、まさかとは思うけど。」
 楡浬の鳶色の眼が白くなっていた。タイルの床に転落した白いタオルが投影されていたのである。

(小さな滝のような眺めだ。これはなかなか風流だな。)

「きゃあああああ!どヘンタイ!ぺ天使!」
 顔を顰めて慌てて胸を隠す楡浬。

(楡浬が俺にシャワーを掛けたからだろうが。人生はすべて自己責任原則だ。)

「そういう問題じゃないわよ!アタシの筋肉のコヤシになれ!!!」
 楡浬は左フックを右肩に喰らわして、大悟は楡浬の右肩にめり込んで意識を失った。
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