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第一章
第八話
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白いセーラー服の楡浬は、背中の黒く大きな羽根をこれ見よがしに広げて、白い大きな校門の前に立っている。朝10時で、一般の生徒はすでに登校済みである。大悟は一晩かけて沈み込んだ筋肉から浮上していた。
「よし、この天使偕成高校に入学してやるわよ。これでアタシの大願成就は赤子のクビを折るよりカンタンよ。赤子滅殺はラクチンだからね。アハハハ。」
(それじゃ、ただの弱い者限定の殺人鬼じゃないか。)
「アタシは悪魔なんだから、それぐらいまけときなさいよ。」
(いいか。この天使偕成高校は、伝統ある天使ラッサール高校を潰した新進気鋭の高校だ。ハンバーガー店のバイト採用のようにはいかないぞ。)
「わかってるわよ。でもちょっと心配なのは、民族差別なんだけど。悪魔だと入学できないとか?」
(それは大丈夫だ。天使学校はダイバシティには神経を尖らせている。天使が民族差別をするようでは下界に示しがつかないからな。門戸は万民に開かれている、表面上はな。)
「最後に喉に刺さるような付属語が付いてたけど。」
(それは学校の門を叩いてからだ。)
「さて、アタシはこれからどうすればいいの。学校って校門くぐれば入学できるんだっけ?」
(そんなことをオレに聞くな!って、楡浬は天使ラッサール高校に入学してたんじゃないのか?制服着てるし。)
「入学するも何も、廃校だったんだから、手続きなんかしてないわよ。制服は単なるコスだし。」
(だったらどうやって入学するつもりだったんだよ。)
「学校なんて、行けば誰でも入れるじゃない。この学校だって、鉄の門は開いてるんだから、こうして足を踏み入れれば大丈夫でしょ。」
鉄門のレール部分を超えた途端、楡浬に衝撃が走った。
「痛い!足が痺れるわ!」
(いてえ!)
ふたりが同時に悲鳴を上げた。
「これは電流が通ってるわね。一見何の変哲もない校門にこんな仕掛けがあるなんて。しかし、どうして大悟まで痛がるのよ?」
(よく考えろ。オレは楡浬の体に密着してるんだぞ。それも半端ないレベルだ。足が根を張ってるんだからな。合体していると言ってもいい。)
「いやぁ!なんて破廉恥な物言いをするのよ。アタシと大悟にはそんなただれた肉体関係はないはずよ。」
(お前の方が、エロランクを比較級から最上級に引き上げてるじゃないか!)
「そこの女子、不法侵入で逮捕しますわ。」
漆黒の長い髪は腰まで真っ直ぐに降りて、黒い切れ長な瞳によく似合っている。鼻筋はしっかり通っており、微妙に骨っぽい頬の白さを引き立てている。真っ赤なブレザーは背の高さを優雅に見せて、タイトなスカートからスラリと伸びる脚は、眩しい限りである。加えて、天使らしく、しっかりと純白の羽根を広げている。
(せ、生徒会長!)
一瞬声を漏らした大悟は、楡浬の首を電柱のようにして器用に隠れた。
「このアタシにこんな子供騙し、じゃない高校生騙しのトラップを仕掛けたのはあなたかしら?」
「そうですわ。しかし、騙しとは聞き捨てなりませんわ。これは不法侵入者を学内に入れないための防犯グッズですわ。ここの生徒ならば生徒手帳か、徽章、体操服、部活ユニフォームに内蔵されたセンサーで、この電撃を防げるのですわ。こうして、無防備にすると。」
そう言って生徒会長は、ブレザーと生徒手帳を投げ捨てて、スカート一枚+ブラジャー一枚になって、校門を内側から跨いだ。『ビビビ!』さっきよりも大きな音と光が発せられて生徒会長の体を電流が蹂躙した。
「あああ~!」
生徒会長は悲鳴ではなく、自ら声を出してその場に倒れた。
「よし、この天使偕成高校に入学してやるわよ。これでアタシの大願成就は赤子のクビを折るよりカンタンよ。赤子滅殺はラクチンだからね。アハハハ。」
(それじゃ、ただの弱い者限定の殺人鬼じゃないか。)
「アタシは悪魔なんだから、それぐらいまけときなさいよ。」
(いいか。この天使偕成高校は、伝統ある天使ラッサール高校を潰した新進気鋭の高校だ。ハンバーガー店のバイト採用のようにはいかないぞ。)
「わかってるわよ。でもちょっと心配なのは、民族差別なんだけど。悪魔だと入学できないとか?」
(それは大丈夫だ。天使学校はダイバシティには神経を尖らせている。天使が民族差別をするようでは下界に示しがつかないからな。門戸は万民に開かれている、表面上はな。)
「最後に喉に刺さるような付属語が付いてたけど。」
(それは学校の門を叩いてからだ。)
「さて、アタシはこれからどうすればいいの。学校って校門くぐれば入学できるんだっけ?」
(そんなことをオレに聞くな!って、楡浬は天使ラッサール高校に入学してたんじゃないのか?制服着てるし。)
「入学するも何も、廃校だったんだから、手続きなんかしてないわよ。制服は単なるコスだし。」
(だったらどうやって入学するつもりだったんだよ。)
「学校なんて、行けば誰でも入れるじゃない。この学校だって、鉄の門は開いてるんだから、こうして足を踏み入れれば大丈夫でしょ。」
鉄門のレール部分を超えた途端、楡浬に衝撃が走った。
「痛い!足が痺れるわ!」
(いてえ!)
ふたりが同時に悲鳴を上げた。
「これは電流が通ってるわね。一見何の変哲もない校門にこんな仕掛けがあるなんて。しかし、どうして大悟まで痛がるのよ?」
(よく考えろ。オレは楡浬の体に密着してるんだぞ。それも半端ないレベルだ。足が根を張ってるんだからな。合体していると言ってもいい。)
「いやぁ!なんて破廉恥な物言いをするのよ。アタシと大悟にはそんなただれた肉体関係はないはずよ。」
(お前の方が、エロランクを比較級から最上級に引き上げてるじゃないか!)
「そこの女子、不法侵入で逮捕しますわ。」
漆黒の長い髪は腰まで真っ直ぐに降りて、黒い切れ長な瞳によく似合っている。鼻筋はしっかり通っており、微妙に骨っぽい頬の白さを引き立てている。真っ赤なブレザーは背の高さを優雅に見せて、タイトなスカートからスラリと伸びる脚は、眩しい限りである。加えて、天使らしく、しっかりと純白の羽根を広げている。
(せ、生徒会長!)
一瞬声を漏らした大悟は、楡浬の首を電柱のようにして器用に隠れた。
「このアタシにこんな子供騙し、じゃない高校生騙しのトラップを仕掛けたのはあなたかしら?」
「そうですわ。しかし、騙しとは聞き捨てなりませんわ。これは不法侵入者を学内に入れないための防犯グッズですわ。ここの生徒ならば生徒手帳か、徽章、体操服、部活ユニフォームに内蔵されたセンサーで、この電撃を防げるのですわ。こうして、無防備にすると。」
そう言って生徒会長は、ブレザーと生徒手帳を投げ捨てて、スカート一枚+ブラジャー一枚になって、校門を内側から跨いだ。『ビビビ!』さっきよりも大きな音と光が発せられて生徒会長の体を電流が蹂躙した。
「あああ~!」
生徒会長は悲鳴ではなく、自ら声を出してその場に倒れた。
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