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第二章
第九話
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「最終的な約束にハグは入ってないですわ。ついでにキスも。」
「ちっ。引っかからなかったか。しかもキスも削除とはお兄ちゃん、知能犯だよ!」
(ほっ。)
「どうして楡浬が安堵するんですの?」
(べ、別になんでもないわよ。)
「コイツ、油断ならないね。」
大悟とのハグ勝負に敗退した桃羅はボソっと呟いた。
(よし。明日から頑張るわよ。リベンジの本格活動を開始するわ。完膚なきまでに粉々になった学校の姿が、目からウロコで浮かび出すわ。)
「ビミョーに用語法が狂ってますわ。それに学校を破壊するのはまだ早くてよ。」
「拙速は仕事の基本だわ。早ければ間違いがあってもカンタンに修正できるのよ。早起きは三文小説よ。」
「説得力の急降下を助長してますわ。」
(ジョジョ?大悟は奇妙な暴言を吐いておけばいいのよ。)
大悟と楡浬は仲良く口論していた。入部で少し見通しがよくなったため、フンイキは上昇していた。
用務員手帳を持っているため、引き続き豪華なホテル暮らしもできて、生活は快適であった。
「ではお風呂に入りますわ。」
(大悟。どれだけあんたが唐変木で朴念仁だからと言っても、お風呂での作法はわかってるでしょうね。いくらアタシの体が超絶魅力的でセクシーだからと言って、見ちゃダメなんだからねっ。)
「わかってますわ。だからこうしてシャンプーハットを被って、目がシミないようにしておりますわ。」
(バカッ!それじゃあ、顔から下が丸美屋のふりかけじゃないの!)
「言ってる意味がわかりませんわ。」
(言語明瞭意味不明って言う元総理大臣の名言があるんだから!じゃなくて、ちゃんと顔全体を隠しなさいよ。)
大悟はミイラのように顔をタオルでぐるぐる巻きにした。
「これで体を洗うとか、美しさのかけらもありませんわ。」
(体はアタシのなんだから、美の極致局長なのよ。)
「どこの役所ですの?」
『さわさわ。』
「あれ?楡浬。オレの体を洗ってくださるのかしら。目が見えないと、背中が洗いにくくて助かりますわ。スポンジを使う手つきもよくて気持ちいいですわ。」
(大悟。アタシがそんなことできると思う?アタシの現況、フィギュアなのよ。)
「あっ、そうですわね。それでは、この手はいったい誰のものですの?」
「これだけじゃ足りないよね。じゃあ、自慢のこれをスポンジ代わりに使うよ。鼻血出血大サービスだからね。ぷるん、ぷるん、ぷるん。」
「ハンドボールが当たってるような感触ですわ。気持ちいいですけど。って、楡浬、変なことするんじゃありませんわ。」
(だから、アタシじゃないって言ってるでしょ。第一、アタシのは、それより、ほんの少しだけ、大きくないわよ。ナノレベルでね。)
「それは誇大広告ですわ。日本広告審査機構に相談しますわよ。ということはいったい誰がこんなことを?」
「お兄ちゃん。モモだよ!一度こうしてみたかったんだ。てか、小さい頃はいつも一緒にお風呂に入ってたよね。ついにオトナになってから、入浴できたよ。ウレシイ!」
「桃羅!どうしてここにいるんですの?」
「モモはこの学校の生徒なんだから、用務員室に出入りは自由だよ。これからはずっとここにいるからね。」
桃羅も全裸で入浴していた。お風呂だから、それ自体はワイセツではない。
「いくら兄妹でもこんなことは許されませんわ!男湯と女湯は別々ですわよ。」
「今やお兄ちゃんは女子だから、そんな問題はないよ。愛し合う男女、いや女女、ジョジョはスタンダードなんだよ。」
「ここではスタンドは使えませんわ!」
(ふたりとも変な言葉を使わないでよ!)
楡浬の声は、浴室の蒸気に混じって雲散霧消した。
こうして、三人の部活と共同生活は波乱と共に幕を開けた。
「ちっ。引っかからなかったか。しかもキスも削除とはお兄ちゃん、知能犯だよ!」
(ほっ。)
「どうして楡浬が安堵するんですの?」
(べ、別になんでもないわよ。)
「コイツ、油断ならないね。」
大悟とのハグ勝負に敗退した桃羅はボソっと呟いた。
(よし。明日から頑張るわよ。リベンジの本格活動を開始するわ。完膚なきまでに粉々になった学校の姿が、目からウロコで浮かび出すわ。)
「ビミョーに用語法が狂ってますわ。それに学校を破壊するのはまだ早くてよ。」
「拙速は仕事の基本だわ。早ければ間違いがあってもカンタンに修正できるのよ。早起きは三文小説よ。」
「説得力の急降下を助長してますわ。」
(ジョジョ?大悟は奇妙な暴言を吐いておけばいいのよ。)
大悟と楡浬は仲良く口論していた。入部で少し見通しがよくなったため、フンイキは上昇していた。
用務員手帳を持っているため、引き続き豪華なホテル暮らしもできて、生活は快適であった。
「ではお風呂に入りますわ。」
(大悟。どれだけあんたが唐変木で朴念仁だからと言っても、お風呂での作法はわかってるでしょうね。いくらアタシの体が超絶魅力的でセクシーだからと言って、見ちゃダメなんだからねっ。)
「わかってますわ。だからこうしてシャンプーハットを被って、目がシミないようにしておりますわ。」
(バカッ!それじゃあ、顔から下が丸美屋のふりかけじゃないの!)
「言ってる意味がわかりませんわ。」
(言語明瞭意味不明って言う元総理大臣の名言があるんだから!じゃなくて、ちゃんと顔全体を隠しなさいよ。)
大悟はミイラのように顔をタオルでぐるぐる巻きにした。
「これで体を洗うとか、美しさのかけらもありませんわ。」
(体はアタシのなんだから、美の極致局長なのよ。)
「どこの役所ですの?」
『さわさわ。』
「あれ?楡浬。オレの体を洗ってくださるのかしら。目が見えないと、背中が洗いにくくて助かりますわ。スポンジを使う手つきもよくて気持ちいいですわ。」
(大悟。アタシがそんなことできると思う?アタシの現況、フィギュアなのよ。)
「あっ、そうですわね。それでは、この手はいったい誰のものですの?」
「これだけじゃ足りないよね。じゃあ、自慢のこれをスポンジ代わりに使うよ。鼻血出血大サービスだからね。ぷるん、ぷるん、ぷるん。」
「ハンドボールが当たってるような感触ですわ。気持ちいいですけど。って、楡浬、変なことするんじゃありませんわ。」
(だから、アタシじゃないって言ってるでしょ。第一、アタシのは、それより、ほんの少しだけ、大きくないわよ。ナノレベルでね。)
「それは誇大広告ですわ。日本広告審査機構に相談しますわよ。ということはいったい誰がこんなことを?」
「お兄ちゃん。モモだよ!一度こうしてみたかったんだ。てか、小さい頃はいつも一緒にお風呂に入ってたよね。ついにオトナになってから、入浴できたよ。ウレシイ!」
「桃羅!どうしてここにいるんですの?」
「モモはこの学校の生徒なんだから、用務員室に出入りは自由だよ。これからはずっとここにいるからね。」
桃羅も全裸で入浴していた。お風呂だから、それ自体はワイセツではない。
「いくら兄妹でもこんなことは許されませんわ!男湯と女湯は別々ですわよ。」
「今やお兄ちゃんは女子だから、そんな問題はないよ。愛し合う男女、いや女女、ジョジョはスタンダードなんだよ。」
「ここではスタンドは使えませんわ!」
(ふたりとも変な言葉を使わないでよ!)
楡浬の声は、浴室の蒸気に混じって雲散霧消した。
こうして、三人の部活と共同生活は波乱と共に幕を開けた。
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