特売フイギュアワゴンの中に手を入れたら、人生変わるので注意してください。

木mori

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第四章

第六話

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その中で楡浬ひとりが、冬の時代の真っ只中にいた。
(傘お化け、コワいよ~、やめてよ~。)
傘お化けは楡浬の恐怖回避リクエストに応えたのか、傘を取り元の女子高生に復帰して、大きく深呼吸した。

「さあ、準備運動もできたし~。ウチも体を動かしてもいいかな~。」

「いったい何をするつもりですの。転校生は自己紹介したら、自分の席に着いて、隣の人に教科書を見せてもらうことが長い間のしきたりですわ。」

「いつの時代の話だよ!そもそも机もないし。そんなことより、ウチも選挙に出るから~!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「・・・・・・。」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ええええ?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


クラスの全壁に、『驚』という文字がぎっしり書き込まれたかの印象を受けた。
「みんな。ウチに投票してくれたら、大道芸連発してやるよ~!」


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「・・・。」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


クラス中が人間に見つかったセミのように固まった。
「なんなら、恥ずかしいポーズを強要されても検討するよ~。チラチラ。」


今度はスカートの裾を軽くつまんで、絶対領域の一部分をチラ見せした傘お化け。


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「・・・。」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

数秒間の沈黙を経て空気に色が付いた。

「やって!」「エロお化け最高!」「風が吹いたわ!」「山が動いたみたい!」「こんな大道芸見たかったの!」
急に称賛の喝采が巻き起こった。クラスメイトの歓迎の仕方としてはノーマルではないが、とにかく人気は取れた模様である。

「ちょっと、転校してきて、いきなりクラス委員長選挙に出ていいの?先生、何とか言ってよ。その三輪車はダテじゃないよね?だって先生は狂師なんだから。あたい、ウマい!プププ。」
笑う状況ではないが、自分のダジャレにウケながら委員長がまったくもっての正論をぶつけてきた。

「三輪車はダテじゃからな。」
身も蓋もない暴言が三輪車支配人教師から飛び出した。

「ほれ。補助輪なしでは乗れんからの。」

「三輪車に乗れないなんて、小脳の機能がマヒしてるよ。早く保健室に行かなきゃ。」

「そうじゃな。って、小脳マヒが保健室で治るか!まあマヒしてる前提で話をすれば、委員長選挙への転校生出馬はOKじゃ。」

「実に説得性のかけらどころか、花粉もないけど、先生がそう言うなら仕方ない。先生には過分だけど。あたい、ウマい!プププ。」
委員長の牙城は脆かった。

三輪車支配人教師は投票箱に視線を飛ばした。

「せっかくじゃから、こっちを表にしよう。」

三輪車支配人教師が、投票箱を裏にすると、自分自身のイラストが挨拶してきた。三輪車上で、スカートめくってあっかんべをしている。さらに上から見ると、投票口では、三輪車が小さな口を大きくあけている、あ~んのポーズ。そのだらしない口に投票用紙を投入する仕組みであるが、それを見ると、ムカついて穴に投げ込みたくなる。結果、ぐしゃぐしゃの投票用紙がどんどん溜まっていく。

「これが投票促進の秘訣じゃ。これで我がクラスの投票率は常に百%じゃ!」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「自慢にならねー!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

クラスメイトたちは次々と投票用紙を投げ込んでいき、全員の投票があっという間に完了した。
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