特売フイギュアワゴンの中に手を入れたら、人生変わるので注意してください。

木mori

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第四章

第五話

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ついにこの日がやってきた。
楡浬は相変わらず沈黙の潜水艦。
大悟はマイペースで、最近は朝の掃除まで引き受けていた。

「これが最後の掃除かと思うと、寂しくなりますわ。」

『ガラガラ。ガタンガタン。』
三輪車支配人教師が、いつものように床との不協和音を鳴らしながらやってきた。
「いよいよ選挙の日がやってきたぞ。宴の開幕じゃ!パチパチパチパチ。」

ひとりでテンションをあげている三輪車支配人教師。クラスには選挙厭世観が流れていた。地方の首長選挙で、与野党相乗り候補が圧勝するケースと同じく、戦う前から結果が見えているものほど、つまらない選挙はない。

「なんじゃ、そのもり下がり方は。せっかくの期中イベント発生だというのに。仕方ないのう。では投票を開始するぞ。即日ソッコー開票だからな。」
三輪車に積んでいた投票箱を教壇に置いた三輪車支配人教師。

「候補者は現委員長と宇佐鬼大悟のふたりでよいな。他にはいないな。」
なぜかニヤリと目を細めた三輪車支配人教師。

『ガラガラガラ。』
教室の引き戸が開かれた。遅刻者か?とクラス中が注目した。

「ちゃお~す!」
ひとりの女子高生が入ってきた。見知らぬ顔であるが、この学校の制服を着ていることから転校生らしい。
「今日からこのクラスに転校してきた傘お化けじゃ。みんな仲良くしてくれ。」

「傘?」「お化け?」「だって、見るからにフツーの女子高生じゃん?」
静寂を極めていたクラスは大騒ぎに転じていた。

みつあみツインテを弄んでいる傘お化け。心なしか、恥ずかし気な様子が見て取れる。背中には白い羽根があり、天使である。

「ウチはその名の通り、傘お化けだよ~。こうすればあっという間に大変身!」
番傘を被ると、いつもの一つ目に変わった傘お化け。

(きゃあああ!コワい!大悟、助けて~)
大悟の右肩が、バーゲンセールワゴンに襲いかかるオバチャンのように、鬼気迫る表情で乱気流を巻き起こしている。

「さあ、せっかくこの姿に戻ったんだから、路上パフォーマンスを見せてやるよ!」
傘お化けは、傘を開いて、グルグルと体を回転させて、その上にボールを乗せた。ボールは傘の上で踊るように回転運動している。

「あらよっと!」
次に黒板消しを乗せてこれも見事に回転。さらに、カバン、制服などを次々と傘に乗せて操る。

「ようし、次は大物だよ~!」
ついには、椅子と机も回転させた。

「仕上げはこれだよ!」

「うわあああ!」

傘の上で絶叫する三輪車支配人教師が目を回していた。当然ながら三輪車同乗のままである。

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ヤンヤ、ヤンヤ!」」」」」」」」」」」」」」」」」」
日頃から三輪車支配人教師に対するステルス不満パワーが爆発したのか、クラスはお祭り騒ぎになった。
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