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第一章
第十八部分
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翌日の実技コース。指導員高原を見たヴァーティはビミョーな違和感にとらわれた。
「あれ?メイドの様子がなんとなく違うわ。」
ヴァーティは高原の指を見つめた。
「メイドがマニキュアしてるわ。それにピアスもしてるわよ!」
表情をほとんど変えない高原であるが、ちょっと照れた様子がヴァーティにもわかった。
「天変地異でもあったのかしら、ハートにね。」
「な、なんでもありませんデス。」
不気味に思うが引き続き高原の指導は厳しい。いや変に機嫌を損ねたのか、ヴァーティは再度補習となってしまった。
「特に厳しくしたつもりはありませんデス。指導が厳しいのは本校の特長デス。他の受講生も同じ指導を行っているのデス。」
「もう補習ばかり。イジメに遭ってるのか、あたしの運転才能がないのか、わからなくなってきたわ。」
さすがにヴァーティの気持ちも下方修正を余儀なくされていた。
そこにひょっこり、所長代理の五竜が現れた。
「相変わらず、落第生活をたしなんでいるようだな。」
「何よ、その言い方!別にあたしのことなんだから、ほっといてよ。」
ヴァーティは眉間に深々とシワを寄せて、五竜を睨んでいる。五竜の方はその視線を気にすることもなく、涼しい顔である。
「補習回数すごいな。回数券でも発行すれば良かったかな。これは過去最高、いや最低記録更新、つまりギネスブックに書き込まれてしまうレベルかな。ははは。」
「何よ。そこでボケーとしてるメイドの指導が悪いのよ。教官を変えてほしいわ。」
「指導員を変えたらうまくいくとでも?それならそれでもいいけど、その辺りから聞こえる音を検討の材料にしてくれ。」
『ビシバシ!』
「ああ~!」「いい~!」「うう~!」
何台もの教習車から快感を表現するような多数の声が溢れている。
「ぞぞ~。」
ヴァーティの背中に悪寒が走って、教習車変更意欲を奪い去った。
「自分の技術の拙劣が原因とわかったかな。」
「わからないわ。でもわかったことがあるわ。あんたはあたしを追い込んで自分の快感を得るドSね。メイドと一緒よ。教習車全体がドSなんだわ。」
憤然としたヴァーティは地面へ強大なプレッシャーを与えて地響きが起こったかのようである。
「あれ?メイドの様子がなんとなく違うわ。」
ヴァーティは高原の指を見つめた。
「メイドがマニキュアしてるわ。それにピアスもしてるわよ!」
表情をほとんど変えない高原であるが、ちょっと照れた様子がヴァーティにもわかった。
「天変地異でもあったのかしら、ハートにね。」
「な、なんでもありませんデス。」
不気味に思うが引き続き高原の指導は厳しい。いや変に機嫌を損ねたのか、ヴァーティは再度補習となってしまった。
「特に厳しくしたつもりはありませんデス。指導が厳しいのは本校の特長デス。他の受講生も同じ指導を行っているのデス。」
「もう補習ばかり。イジメに遭ってるのか、あたしの運転才能がないのか、わからなくなってきたわ。」
さすがにヴァーティの気持ちも下方修正を余儀なくされていた。
そこにひょっこり、所長代理の五竜が現れた。
「相変わらず、落第生活をたしなんでいるようだな。」
「何よ、その言い方!別にあたしのことなんだから、ほっといてよ。」
ヴァーティは眉間に深々とシワを寄せて、五竜を睨んでいる。五竜の方はその視線を気にすることもなく、涼しい顔である。
「補習回数すごいな。回数券でも発行すれば良かったかな。これは過去最高、いや最低記録更新、つまりギネスブックに書き込まれてしまうレベルかな。ははは。」
「何よ。そこでボケーとしてるメイドの指導が悪いのよ。教官を変えてほしいわ。」
「指導員を変えたらうまくいくとでも?それならそれでもいいけど、その辺りから聞こえる音を検討の材料にしてくれ。」
『ビシバシ!』
「ああ~!」「いい~!」「うう~!」
何台もの教習車から快感を表現するような多数の声が溢れている。
「ぞぞ~。」
ヴァーティの背中に悪寒が走って、教習車変更意欲を奪い去った。
「自分の技術の拙劣が原因とわかったかな。」
「わからないわ。でもわかったことがあるわ。あんたはあたしを追い込んで自分の快感を得るドSね。メイドと一緒よ。教習車全体がドSなんだわ。」
憤然としたヴァーティは地面へ強大なプレッシャーを与えて地響きが起こったかのようである。
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