進芸の巨人は逆境に勝ちます!

木mori

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第一章

第二十四部分

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「やっと見つけてくれたわね。」
「か、かわいい!今まで、こんなかわいいお人形、見たことないよ。抱きっ!」
美散は足元にあった人形らしきものを捕まえて、自分の胸に抱いた。
「く、苦しいわ!やめて、離しなさいよ~!」
 慌てて、美散は人形を下に降ろした。
「人形がしゃべった!何これ!誰が作ったの。これが魔法?どこかで明確に見たことあるような顔つきね。・・・。って、あたしソックリじゃない。」
 美散ソックリな人形は、美散のはるか下から、不機嫌そうに、両手を腰に当てて見上げている。
「あんたがアタシの元凶ね。ずいぶんとみすぼらしい顔しているわね。」
「また喋った!しかもすごくかわいいよ。物の言い方はちょっとアレだけど。」
「さすが、ワシじゃな。人間サイズ改造手術魔法は成功したようじゃ。」
「やっぱりあたしを改造したんじゃない!この嘘つき婆ちゃん!」
「そう怒るな。でもこれで人間界に戻ることも可能になったんじゃからな。」
「そもそも、あたしが人間の大きさに戻るんじゃなくて、このかわいらしい人形を作っただけじゃないの?てか、この人形って、あたしなの?」
「そういうことじゃ。顔はよく似ておるし、胸なんかは寸分たがわない比率で、再構成されておるぞ。」
「そこはちゃんと配慮してよ。いちばん改造したかった部位なんだけど。」
「結局、改造して欲しかったんじゃな。」
「ちょっと、アタシを放置してふたりで遊んでるんじゃないわよ。」
「ごめんね。人形ちゃん。それにしてもかわいいね。食べたいちゃいぐらい。抱きっ。」
 今度ははらりと避けた人形。
「アタシにもちゃんと名前があるんだから。智流美(ちるみ)よ。これからは智流美と呼びなさいよ!」
「智流美ちゃんでちゅか~。本当にあたしに似てかわいいでちゅね~。それにしてもずいぶんベタなネーミングでちゅね~。」
「何、赤ちゃんプレイしてるのよ。ネーミングセンスは、改善できないわ。思考回路が共通化しているんだから、アウトプットは同じようなものになってしまうのよ。」
「共通化?見えない線か何かで繋がっているっていうこと?」
「まあそんなものよ。原因分析には深入りしないことをオススメするわ。」
「智流美はかわいいんだけど、性格が玉に瑕モノだね。」
「勝手にキズモノにしないでよ。だいたい、自分がかわいいって、どこまでナルシスなのよ?」
「ボッチアンドビッチのコラボだからだよ!」
「はあ?意味がビタイチわからないわよ。」
「ボッチは常に自分ひとり、ビッチは盲目的な愛を一途にぶつけることだよ。つまり、自分を異常なまでに愛でるという性癖を具現化したらこうなるんだよ。」
「理解不能だわ!こんなのから生まれてきたアタシは、呪いにまみれた薄幸美少女だわ!」
智流美も自称美少女を標榜する点で、同じ属性であった。
「婆ちゃん。あたしはこれからどうすればいいの?」
「それは球場の外に行けばわかる。それを体感してから、この取説を読むがよい。」
「そうなんだ。まあいいや。魔法がホンモノかどうかもわからないから、ちゃんと確認させてもらうよ。あれ?智流美がいないよ。魔法が消えちゃったのかな。とにかく行動しよっと。」

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