進芸の巨人は逆境に勝ちます!

木mori

文字の大きさ
39 / 76
第二章

第二部分

しおりを挟む
「アラアラ、コントロールヲ誤リマシタ。チョット、力ガ入リ過ギタヨウデス。ダカラユックリ投ゲテイルノデスガ、ツイ、チカラガ入ッテシマイマシタ。ゴメンサナイ。悪気ハ全然アリマセンケド。オーホホホッ。」
 ピッチャーは、悪意オーラに包まれた表情でナッキーに詫びを入れた。
「くっそーですっ。あんな顔を見せられたら、痛みを飛ばすしかないですっ。」
「ナッキー、無理をするな。そんな色になっているんだから、相当に痛いだろ。」
 ベンチからランボウが大きな声を出した。
「大丈夫ですっ。走れるですっ。なんの故轢死ですっ。」
 よろけながらベースに足タッチして、小幅なリードを開始するナッキー。
「イイデスネ。ソウコナクチャイケマセンネ。デハ投球ヲ続行シマショウ。ピカチュウ。」
 今度は試合中にもかかわらず、コンパクトを取り出して、光をナッキーに当てた。名前はコンパクトだが、長さ1メートルはあるデカブツである。
「ま、眩しいですっ!」
 眼が眩んで、顔を逸らしたナッキーに、ピッチャーはロージンバックを投げつけた。
『バサッ!』
「ロージンバックを投げるなんて、反則だろ!」
 ベンチからランボウが大きな声を出した。人間視点では、セメント袋サイズである。
「投ゲタノハ、コンパクトノ中ノ、ファンデーションデス。コレニハ罰則ガアリマセン。女子デスカラ、試合中モ、オ化粧直シスルノハ、ゴク普通ノコトデス。オーホホホッ。」
「塁に出ると、牽制球でわざと叩く、ランナーに当てる、それも走れないように足に。試合中なのに化粧始めて、ミラーを当てて目をくらましたところで、ファンデーションで視界を奪うで、タッチアウト。これって反則じゃないの?」
 美散は怪訝な顔でランボウに質問した。
「反則ではない。」
「え~っ!だったら巨人軍も真似すれば?目には目をだよ。」
「それは無理だな。化粧品が買えないし、だいいち化粧が似合わないんだよ!」
「キャプテンって、そんなに醜女?」
美散はランボウを見て自ら頷くと、ランボウから殴られた。
「ナッキーさん、残念でしたわね。これでこの試合のMVPは、手の届かないところに置かれましたわ。代わりにこのツルをあげましょう。骨を折らずにツルを折ってくださいな。ほーほほほつ。」
すでにバッターボックスに立っていたトモヨンは、四角の赤い折り紙をナッキーに飛ばした。
「チクショウですっ。トモヨンには別のところで、お札(サツ)参りしてやるですっ。」
無料の礼(れい)よりも札の方がはるかに高価で、ナッキーは損する前提である。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦

未羊
ファンタジー
気が付くとまん丸と太った少女だった?! 痩せたいのに食事を制限しても運動をしても太っていってしまう。 一体私が何をしたというのよーっ! 驚愕の異世界転生、始まり始まり。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

悪役令嬢と弟が相思相愛だったのでお邪魔虫は退場します!どうか末永くお幸せに!

ユウ
ファンタジー
乙女ゲームの王子に転生してしまったが断罪イベント三秒前。 婚約者を蔑ろにして酷い仕打ちをした最低王子に転生したと気づいたのですべての罪を被る事を決意したフィルベルトは公の前で。 「本日を持って私は廃嫡する!王座は弟に譲り、婚約者のマリアンナとは婚約解消とする!」 「「「は?」」」 「これまでの不始末の全ては私にある。責任を取って罪を償う…全て悪いのはこの私だ」 前代未聞の出来事。 王太子殿下自ら廃嫡を宣言し婚約者への謝罪をした後にフィルベルトは廃嫡となった。 これでハッピーエンド。 一代限りの辺境伯爵の地位を許され、二人の幸福を願ったのだった。 その潔さにフィルベルトはたちまち平民の心を掴んでしまった。 対する悪役令嬢と第二王子には不測の事態が起きてしまい、外交問題を起こしてしまうのだったが…。 タイトル変更しました。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

処理中です...