進芸の巨人は逆境に勝ちます!

木mori

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第二章

第三部分

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「さあ、勝負はわたくしとですわよ。普段はこのユニフォームについて、何も思うことはありませんが、このピッチャーに対面すると、どうしても気が荒海のようになるのですわ。あのユニフォーム、いやドレスは高級ブランドの『エロ雌(めす)』ですわ。それにひきかえ、こちらはアディダサ製品。これでは試合に集中できませんわ。」
ユニフォームの裾を引っ張って、ややふてくされ気味のトモヨンに、ピッチャーはニンマリした様子で反応した。
「野球ハ、ユニフォームデ、ヤルモノデハ、アリマセン。エロガントデ、ヤルノデス。」
「あの女子の野球は、エレガントではなく、エロガントなのですわ。」
すでにピッチャーはスカートの裾をチラチラさせているが、ちょっと上まで引っ張りあげて、美しく引き締まった太ももがわずかにコンニチワした。
「ボク、ドラエロ悶。この勝負、ピッチャーの勝ち。」
ネコ型ロボットの視覚センサー(目)はしっかり判定した。
「戦ウ前ニ勝ツトハ、コノコトデス。オーホホホッ。」
「ホント、ムカつきますわ!初めから頭部狙いでもけっこうですから、どんどん投げてきなさいですわ。」
「ソレデハ遠慮ナク、イカセテモライマス。」
ナッキーの時とは別人のような、ダイナミックなフォームで投げ込んできたピッチャー。
『ビューン』という轟音が頭部に向かった、かと思いきや、外角低めにキレイに決まった。しかし、ストライクゾーンからは少々外れていた。ピッチャーのスカートが軽やかに翻った。
「ボク、ドラエロ悶。今のはギリギリストライク。」
「はあ?今のどこがストライクですの?」
「ボク、ドラエロ悶のストライクゾーンだよ、スカートから見えるあの絶対領域は。だらり。」
だらしなく、ざらついた舌を出したドラエロ悶。
「こんな審判員じゃ、野球になりませんわ。ランボウちゃん、なんとか言ってくださいな!」
「なんとか。」
声のトーンからして、抗議する意思は微塵もなさげなランボウ。
「いつの時代のギャグですの!もういいですわ。ならば、このバットにモノを言わせるだけですわ。」
次の投球は内角高めだったが、ドラエロ悶は、さっきとまったく同じ動作、判定だった。
「コチラガ追イ込ミマシタ。サア、次ハ、ドウナサルノカシラ。」
三球目は真ん中高めのボール球であったが、トモヨンはなんとか、ファールにした。
「ボールに当てることができました。次はこちらから当てて差し上げますわ。」
トモヨンはボールをかすめた。チップである。
「ピッチャー、危ないですわよ。」
バットがピッチャー目掛けて飛んでいった。
ピッチャーはひらりとスカートの中身を見せながら、エロガントによけた。
「うまくおよけになりましたわね。では奥の手、折り鶴バットを使いますわ。バットに付けている無数の折り鶴は、釘のように固いので、釘バットです。これも折れ易いので、お気をつけあそばせ。ほーほほほっ。」
トモヨンはバットをピッチャーに向けて、狙いうち宣言。バットは狙って折れるものでもなくルール内。
「ナラバ次デ、決着ヲツケマショウ。オシリボール。握力パワーデ、ボールヲ、オシリ形に曲ゲテ差シ上ゲマス。」
ピッチャーが投げたボールは、物理的に折れ曲がっただけでなく、スプリットのように鋭く変化する。バットはオシリボールに当たると、先端部分が折れてピッチャーへ飛んだ。
「狙い通り。服を破って下着露出。勝ちましたわ!」
なぜか一塁には走らず、打席で勝利のツルを折り始めたトモヨン。
折れ残ったバットのグリップに食い込み、その形状があまりにもエロガントであった。
「ボク、ドラエロ悶。今のはエロ過ぎてアウト!」
「ピッチャーがアウトということはわたくしの勝ちですわね。ほーほほほっ。」
「ボク、ドラエロ悶。アウトは攻撃側にしか適用されないので、バッターアウトだよ。」
「そ、そんな!ピッチャーがエロアウトなのに、こちらがアウトって、おかしいですわ。」
「ボク、ドラエロ悶がルールブックなので、アウトはアウトだよ。」
 こうして、巨人軍はツーアウトとなった。

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