57 / 76
第二章
第二十部分
しおりを挟む
美散はからだをばたつかせて抵抗するが、エロザの押さえつけるパワーに、なすがままになっている。
「ソレデハ、頂キマス。」
顔の前で手を合わせてから、エロザは美散の胸に顔をうずめた。
「クッ!」
その瞬間、エロザの動きは急停止した。
「お前たち、いったい何をしているんだ?」
玲駆が愕然とした表情で、ベッドのふたりを見ていた。
「美散、エロザ。お前たちは巨人の病気になっただけでなく、そういう趣味だったのか?」
「コ、コレハ、何カヲ間違ッテマス。」
「言い方がビミョーに変だけど。」
「イエ、ユニフォームノ下カラ、脱ガセルベキ、ダッタデショウカ?」
「妄想した以上の関係だったのか~?」
その場所から逃げ出した玲駆は、少し離れた部屋にさしかかった時、足に急ブレーキがかかった。
そこには、二本のカーテンが掛かっていたが、何かがあるという感覚が玲駆に働いた。そのカーテンの隙間から見えたもの。そこには、たくさんの蓑虫がぶら下がっていた。それも蠢いていた。よく見ると、蓑虫からは頭が出ていた。若い男女たちだった。
「美散もあの中のひとりなのか。美散はもう初めてをエロザに奪われてしまったんだな。」
玲駆は自分自身の中に閉じ込めていた何かが湧き上がってくるのを感じた。
美散が巨人症だったことすら驚かなかった玲駆は、泣きながら走り出して、船を駆け降りていった。
「すごくヤバいところをレイちゃんに見られてしまったよ。レイちゃんには百合は早すぎるよ。まだ薔薇の花が咲いていないのに。」
美散は鉛のようになった空気をかなり先読みしていた。強いていえば、百合と薔薇に優先順位など存在しない。
すでにエロザは、美散への攻撃を停止していた。その表情は、ニンマリを超して、『ヘラヘラ』となっていた。
「コレデ、ワタクシノ、ガチ勝チデス。ワハハハ~!」
エロザは、立ち上がって腰に手を当てて、非常に堅い勝利宣言を行った。
美散はよくわからなかったが、肩にズシンと敗北感がのしかかっていた。
「ソレデハ、頂キマス。」
顔の前で手を合わせてから、エロザは美散の胸に顔をうずめた。
「クッ!」
その瞬間、エロザの動きは急停止した。
「お前たち、いったい何をしているんだ?」
玲駆が愕然とした表情で、ベッドのふたりを見ていた。
「美散、エロザ。お前たちは巨人の病気になっただけでなく、そういう趣味だったのか?」
「コ、コレハ、何カヲ間違ッテマス。」
「言い方がビミョーに変だけど。」
「イエ、ユニフォームノ下カラ、脱ガセルベキ、ダッタデショウカ?」
「妄想した以上の関係だったのか~?」
その場所から逃げ出した玲駆は、少し離れた部屋にさしかかった時、足に急ブレーキがかかった。
そこには、二本のカーテンが掛かっていたが、何かがあるという感覚が玲駆に働いた。そのカーテンの隙間から見えたもの。そこには、たくさんの蓑虫がぶら下がっていた。それも蠢いていた。よく見ると、蓑虫からは頭が出ていた。若い男女たちだった。
「美散もあの中のひとりなのか。美散はもう初めてをエロザに奪われてしまったんだな。」
玲駆は自分自身の中に閉じ込めていた何かが湧き上がってくるのを感じた。
美散が巨人症だったことすら驚かなかった玲駆は、泣きながら走り出して、船を駆け降りていった。
「すごくヤバいところをレイちゃんに見られてしまったよ。レイちゃんには百合は早すぎるよ。まだ薔薇の花が咲いていないのに。」
美散は鉛のようになった空気をかなり先読みしていた。強いていえば、百合と薔薇に優先順位など存在しない。
すでにエロザは、美散への攻撃を停止していた。その表情は、ニンマリを超して、『ヘラヘラ』となっていた。
「コレデ、ワタクシノ、ガチ勝チデス。ワハハハ~!」
エロザは、立ち上がって腰に手を当てて、非常に堅い勝利宣言を行った。
美散はよくわからなかったが、肩にズシンと敗北感がのしかかっていた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦
未羊
ファンタジー
気が付くとまん丸と太った少女だった?!
痩せたいのに食事を制限しても運動をしても太っていってしまう。
一体私が何をしたというのよーっ!
驚愕の異世界転生、始まり始まり。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる