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第二章
第三十三部分
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クレーム付けながらも、表情を緩めているトモヨンであった。
「美散、それはちょっと違うぞ。空間を曲げるまでの高温には火鉢では無理だぞ。それは空間が曲がったわけではなく、空気の揺らぎ、もやで、ピッチャーの視覚をごまかしただけだぞ。」
「違いましたか。あたしのでしゃばり。テへっ。」
「ソノ表情、ムカツキマス!」
エロザはさらに怒りを増して、マウンドの土を蹴飛ばした。半巨人パワーで、土が全部吹っ飛んだので、改めてマウンドは盛り土された。
次のバッターはナッキーである。
エロザは、ネクストバッターズボックスでバントの構えを繰り返しているナッキーを見つめている。ナッキーは泣き過ぎて、目が真っ赤に腫れているが、その分、やる気満々である。
「来るですっ。バントなら十分練習してきましたから、楽勝ですっ。」
腰を落として横にしたバットを構えるナッキー。
エロザはセットポジションから力を込めて腕を振った。
『ギュルルル』と唸り音を立てて、ボールはバット目掛けて飛んでいく。
「よし、来たですっ。」
バットをわずかに前に出したナッキー。しかし、ボールはバットに当たらなかった。
「ドンナ構エヲシヨウトモ、バットニハ当タリマセン。ニヤリ。」
エロザは相手を嘲笑し、してやったりの表情である。
「いったい何が起こったですっ?ボールがバットをよけていったですっ!」
エロザはバントしづらい球種、つまりスプリット変化球を選択したのである。
次の変化球も空振りバントとなったナッキー。
「どうしてバットに当たらないですっ?キャプテン、教えてですっ!」
急遽ベンチに戻ってランボウに相談するナッキー。
ランボウのアドバイスは一言だった。
「ボールをもっとよく見ろ!」
「わかったですっ。」
「何ヲ言イ含メラレタカ、ワカリマセンケド、コレデ終ワリニシテ、差シ上ゲマス。」
「かかって来いですっ!」
エロザは変化球を投じた。その瞬間、ナッキーはなんと、逆立ちした。逆立ちと言っても頭を地面に付けた状態である。
そんなナッキーを無視してボールはやってくる。
『ゴチッ。』
「美散、それはちょっと違うぞ。空間を曲げるまでの高温には火鉢では無理だぞ。それは空間が曲がったわけではなく、空気の揺らぎ、もやで、ピッチャーの視覚をごまかしただけだぞ。」
「違いましたか。あたしのでしゃばり。テへっ。」
「ソノ表情、ムカツキマス!」
エロザはさらに怒りを増して、マウンドの土を蹴飛ばした。半巨人パワーで、土が全部吹っ飛んだので、改めてマウンドは盛り土された。
次のバッターはナッキーである。
エロザは、ネクストバッターズボックスでバントの構えを繰り返しているナッキーを見つめている。ナッキーは泣き過ぎて、目が真っ赤に腫れているが、その分、やる気満々である。
「来るですっ。バントなら十分練習してきましたから、楽勝ですっ。」
腰を落として横にしたバットを構えるナッキー。
エロザはセットポジションから力を込めて腕を振った。
『ギュルルル』と唸り音を立てて、ボールはバット目掛けて飛んでいく。
「よし、来たですっ。」
バットをわずかに前に出したナッキー。しかし、ボールはバットに当たらなかった。
「ドンナ構エヲシヨウトモ、バットニハ当タリマセン。ニヤリ。」
エロザは相手を嘲笑し、してやったりの表情である。
「いったい何が起こったですっ?ボールがバットをよけていったですっ!」
エロザはバントしづらい球種、つまりスプリット変化球を選択したのである。
次の変化球も空振りバントとなったナッキー。
「どうしてバットに当たらないですっ?キャプテン、教えてですっ!」
急遽ベンチに戻ってランボウに相談するナッキー。
ランボウのアドバイスは一言だった。
「ボールをもっとよく見ろ!」
「わかったですっ。」
「何ヲ言イ含メラレタカ、ワカリマセンケド、コレデ終ワリニシテ、差シ上ゲマス。」
「かかって来いですっ!」
エロザは変化球を投じた。その瞬間、ナッキーはなんと、逆立ちした。逆立ちと言っても頭を地面に付けた状態である。
そんなナッキーを無視してボールはやってくる。
『ゴチッ。』
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