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第二章
第三部分
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話は現在に戻る。
暗いエレベーターの中で、沽森byオバチャマは電話をかけている。受電者は自宅にいる梅子である。
「梅子ちゃん、久しぶり。魔法少女省に来てるんだろうけど、全然顔をみせてないもん。別に見たくもないけど、だもん。」
『それは当たり前だよ。キャリアの課長様に、しがない兵隊の係長ごときが面談とかできるわけないじゃん。特に魔法少女省なんて、格差社会の申し子みたいな役所じゃん。身分が違い過ぎて、永遠の妹・梅子は虫けら同然じゃん。』
栄知と話す時の天真爛漫さの欠片もない表情で、電話応対している梅子。
「そんな風に省内力学を理解しているなら話は早いもん。人質解放を要求するもん。もちろん、渋沢栄知くんのことだもん。」
『それは人質じゃないよ。永遠の妹・梅子のお兄ちゃんのお兄ちゃんズなんだから、保護するのが当たり前だよ。』
「今やってることは人質でないと言い切れないもん。自分の胸に手を当てずに、少し前に伸ばせば、お兄ちゃんズに到達するハズだもん。」
梅子はそーっと手を前に出した。
『やめろ!お兄ちゃんズに触るんじゃねえ!』
いつものように、風呂に一緒に入っている梅子桜子の図。
「交渉は決裂したもん。ならばこちらは強硬手段を取るもん。ガチャ。」
『一方的に切られたよ。せいせいした。これでもう要らない電話はかかってこないよ。』
わずかに表情を曇らせた梅子は、浴槽内にスマホを滑らせてしまった。
「こうなると、次の手を打たないといけないだもん。ふう。」
溜息をつきながら、沽森byオバチャマはスマホをローブの中に収めた。
翌日夕方、エレベーターにいる沽森byオバチャマは久里朱を呼んだ。
「久里朱ちゃんに命令を与えるもん。拉致されている渋沢栄知くんを取り返して、保護するもん。」
「栄知が今日学校に来てなかったのは、拉致されてるからなの?」
「誰がどこで拉致してるのよ?」
「渋沢の家だもん。」
「家?栄知の自宅ってこと?それって風邪で学校を休んでるって、だけじゃないの?あるいは、あたしの魅力に恐れをなして引きこもったんじゃないかしら。ぽっ。」
自分の言葉に酔って、突如顔を赤らめた久里朱。
それを見て、沽森byオバチャマはエレベーターの床を軽く踏んで音を立てた。
「そう思うんだったら、それでもいいもん。わざわざ機密情報を公開して損したもん。」
「べ、別に行かないとはいってないわ。風邪をこじらせると心配なだけよ。で、でも、不健全男子のところなのよ。不純物異星人交際になるわよ!」
「エイリアンなら枕営業してもいいもん。」
「えっ?いいの?・・・。って、枕営業なんかするわけないわ。でも異星探査のためならば仕方ないから行くわ。」
こうして、久里朱は栄知の自宅にカジを切った。
暗いエレベーターの中で、沽森byオバチャマは電話をかけている。受電者は自宅にいる梅子である。
「梅子ちゃん、久しぶり。魔法少女省に来てるんだろうけど、全然顔をみせてないもん。別に見たくもないけど、だもん。」
『それは当たり前だよ。キャリアの課長様に、しがない兵隊の係長ごときが面談とかできるわけないじゃん。特に魔法少女省なんて、格差社会の申し子みたいな役所じゃん。身分が違い過ぎて、永遠の妹・梅子は虫けら同然じゃん。』
栄知と話す時の天真爛漫さの欠片もない表情で、電話応対している梅子。
「そんな風に省内力学を理解しているなら話は早いもん。人質解放を要求するもん。もちろん、渋沢栄知くんのことだもん。」
『それは人質じゃないよ。永遠の妹・梅子のお兄ちゃんのお兄ちゃんズなんだから、保護するのが当たり前だよ。』
「今やってることは人質でないと言い切れないもん。自分の胸に手を当てずに、少し前に伸ばせば、お兄ちゃんズに到達するハズだもん。」
梅子はそーっと手を前に出した。
『やめろ!お兄ちゃんズに触るんじゃねえ!』
いつものように、風呂に一緒に入っている梅子桜子の図。
「交渉は決裂したもん。ならばこちらは強硬手段を取るもん。ガチャ。」
『一方的に切られたよ。せいせいした。これでもう要らない電話はかかってこないよ。』
わずかに表情を曇らせた梅子は、浴槽内にスマホを滑らせてしまった。
「こうなると、次の手を打たないといけないだもん。ふう。」
溜息をつきながら、沽森byオバチャマはスマホをローブの中に収めた。
翌日夕方、エレベーターにいる沽森byオバチャマは久里朱を呼んだ。
「久里朱ちゃんに命令を与えるもん。拉致されている渋沢栄知くんを取り返して、保護するもん。」
「栄知が今日学校に来てなかったのは、拉致されてるからなの?」
「誰がどこで拉致してるのよ?」
「渋沢の家だもん。」
「家?栄知の自宅ってこと?それって風邪で学校を休んでるって、だけじゃないの?あるいは、あたしの魅力に恐れをなして引きこもったんじゃないかしら。ぽっ。」
自分の言葉に酔って、突如顔を赤らめた久里朱。
それを見て、沽森byオバチャマはエレベーターの床を軽く踏んで音を立てた。
「そう思うんだったら、それでもいいもん。わざわざ機密情報を公開して損したもん。」
「べ、別に行かないとはいってないわ。風邪をこじらせると心配なだけよ。で、でも、不健全男子のところなのよ。不純物異星人交際になるわよ!」
「エイリアンなら枕営業してもいいもん。」
「えっ?いいの?・・・。って、枕営業なんかするわけないわ。でも異星探査のためならば仕方ないから行くわ。」
こうして、久里朱は栄知の自宅にカジを切った。
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