48 / 91
第二章
第十九話
しおりを挟む
「たしかに、アイドルになりたい女子は、フツー、目立ちたがり屋で、フードで顔を隠したりしないだろう。」
「そ、そうでござるか?この頬かむりは忍者の象徴。イスラム教徒と同じく、安易に他人に顔を晒してはならぬとの掟でござる。禁則の字。」
「イスラム教徒に怒られますわ。アイドルが顔を見せないんじゃ、話になりませんわ。アイドルは世の人々に笑顔を見せて、幸せを振りまくのが役割です。そんな引きこもりのようなやり方では人の心を冬眠させてしまいますわ。フードをお取りなさい。」
「さ、さようでござるか。しかし、これを取るといろいろとまずいことになりそうでござる。希望的極力、回避の字。」
「何もったい付けてるのよ。アイドルになろうとか言ってる娘が恥ずかしがったらダメよ。」
「でもこれを被るのが我が家の、伝統の字。」
「よいではないか、よいではないか。ひひひ。」
「楡浬様。人格、いや神格が変わってらっしゃいますわ。」
「そんなことないわ。アタシはただこの子を、なんてったってアイドルにしたいだけなのよ。ひひひ。」
「最後の3文字で、真っ直ぐな自己主張がクセ球に変わりましたわ。」
「ほらほら脱げ脱げ脱げ~。これも衣好花のためなのよ。情けは人のためになるのよ。ひひひ。」
完全にセクハラおやじ属性を獲得した楡浬。自分願望の押し売り業者を標榜中。
「アイドルになるのは拙者の宿命。仕方ないでござる。ご先祖様、これから行う不埒をどうかお許しあれ。開帳の字。」
衣好花はフードの先端に手を入れて、あっさりと脱いだ。
「うおお~。こ、これは半端ないレベルですわ!」
オレンジの髪は背中までかかるストレートのセミロング、アイラインのくっきりした瞳はひときわ目立ち、通った鼻筋とやや小振りの口元はしっかりと自己主張している。小さな頭には大きな赤いリボンを冠した典型的美少女である。
「ちょっと、これは反則じゃないの。見せたいものを隠して、いいところで一気に晒す。ヒーローをよりよく見せるための演出だわ。」
「オレの好み、真ん中高めのストレートですわ!」
「何よ、その性飢餓状態的青少年反応は!女のくせに。罰当たりは『天誅で黒轢死するのよ!』、どか~ん!」
「そのネーミング、すごくイタイですわ!ぐおおお~。」
楡浬は御幣バットを全力スイングして大悟を打った。大悟は絶叫しながら夕暮れで赤くなった空に見事に溶け込んだ。
「そ、そうでござるか?この頬かむりは忍者の象徴。イスラム教徒と同じく、安易に他人に顔を晒してはならぬとの掟でござる。禁則の字。」
「イスラム教徒に怒られますわ。アイドルが顔を見せないんじゃ、話になりませんわ。アイドルは世の人々に笑顔を見せて、幸せを振りまくのが役割です。そんな引きこもりのようなやり方では人の心を冬眠させてしまいますわ。フードをお取りなさい。」
「さ、さようでござるか。しかし、これを取るといろいろとまずいことになりそうでござる。希望的極力、回避の字。」
「何もったい付けてるのよ。アイドルになろうとか言ってる娘が恥ずかしがったらダメよ。」
「でもこれを被るのが我が家の、伝統の字。」
「よいではないか、よいではないか。ひひひ。」
「楡浬様。人格、いや神格が変わってらっしゃいますわ。」
「そんなことないわ。アタシはただこの子を、なんてったってアイドルにしたいだけなのよ。ひひひ。」
「最後の3文字で、真っ直ぐな自己主張がクセ球に変わりましたわ。」
「ほらほら脱げ脱げ脱げ~。これも衣好花のためなのよ。情けは人のためになるのよ。ひひひ。」
完全にセクハラおやじ属性を獲得した楡浬。自分願望の押し売り業者を標榜中。
「アイドルになるのは拙者の宿命。仕方ないでござる。ご先祖様、これから行う不埒をどうかお許しあれ。開帳の字。」
衣好花はフードの先端に手を入れて、あっさりと脱いだ。
「うおお~。こ、これは半端ないレベルですわ!」
オレンジの髪は背中までかかるストレートのセミロング、アイラインのくっきりした瞳はひときわ目立ち、通った鼻筋とやや小振りの口元はしっかりと自己主張している。小さな頭には大きな赤いリボンを冠した典型的美少女である。
「ちょっと、これは反則じゃないの。見せたいものを隠して、いいところで一気に晒す。ヒーローをよりよく見せるための演出だわ。」
「オレの好み、真ん中高めのストレートですわ!」
「何よ、その性飢餓状態的青少年反応は!女のくせに。罰当たりは『天誅で黒轢死するのよ!』、どか~ん!」
「そのネーミング、すごくイタイですわ!ぐおおお~。」
楡浬は御幣バットを全力スイングして大悟を打った。大悟は絶叫しながら夕暮れで赤くなった空に見事に溶け込んだ。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
夫に愛想が尽きたので離婚します
しゃーりん
恋愛
次期侯爵のエステルは、3年前に結婚した夫マークとの離婚を決意した。
マークは優しいがお人好しで、度々エステルを困らせたが我慢の限界となった。
このままマークがそばに居れば侯爵家が馬鹿にされる。
夫を捨ててスッキリしたお話です。
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる