パイオニアオブエイジ~NWSかく語りき〜

どん

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第2話『ツリーリジェネレーション班』

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――ツリーリジェネレーション班——
「ツリー班は日程上、修法一本に集中してもらうことになるが。1日6千本というのは最低の完了本数にしたい。というのも、マーカー班が講習明けに実践に入ると、MAX5千9百本前後と予測されるからだ」
 マルクが早速、問題提起した。
「100本、フォローする必要があるわけか……。6千本って修法が3分で完了する場合の計算でしょ」
 ポールが手元の電卓で割り出す。
「そうだ。俺たちでさえ2分はかかる修法だからな。あんまり位階差はないとはいえ、日程を考えると、スタートダッシュは必須というところだ」
「ツリー班に配属されるメンバーの習得度が気になりますね」
 ルイスが指で唇を押し上げて言った。
「ツリー班はツリー班で講習しとくか」
 タイラーが首をこきこき鳴らして言う。
「うん、それがいいかもね。技術って実践してないと廃れるし」
 ポールは一方で、なぜ5班の男性メンバーが参加しないのか考えていた。
「講習は各班で実施してもらうとして……問題は班編成だな。講習を終えたばかりのマーカー班のメンバーをどう受け入れるべきか」
 マルクは手元の名簿を見て難しい顔をしていた。
「そうだね、やっぱりツリー班と一緒にやってもらった方が、覚えも早いし切磋琢磨できるよね。効率上げるためにも必要なんじゃない」
 ポールの言葉にタイラーが続く。
「確かにな――ツリー班にはその辺りも含めて伝えた方がいいだろう」
「ただな……いつもの班編成と違って、10人以上になると、どうしても脇が甘くなる。そこをどうするか」
 マルクは考えあぐねていた。
「仕方ないんじゃない? 手間だけど、俺たちが現場の安全確認を毎回することぐらいは」
 ポールが言うと、ルイスも続いた。
「マーカー班の仕事の後に作業に入るんですから、そこまで神経使わなくてもいいんじゃないですか? 代表の修法陣もあることですし」
「いや、そこが今までの仕事と違うところだ。俺たちにも十分な心積もりがないと、いざという時に対応できない。マルクの心配はそこだろ?」
「そうなんだ。実際のところ、カエリウス上層の因果界で戦場になってる月の洞は東端で、俺たちの現場はほぼ北から西にかけて。呪界法信奉者の大躍進でもない限り、鉢合わせることはないにしても。……万が一の事態を想定しておかないと」
 タイラーとマルクはあくまで慎重だ。
「どうだろ? 俺たちはテレパスオープン状態で仕事するっていうのは。状況も進捗も確認出来て、一石二鳥だと思うんだけど。それが無理なら定例の会合開くとかさ。もちろんテレパスで」
 ポールの案に続き、ルイスも追加案を出す。
「では、こういうのはどうですか? 今回参加しないメンバーに、連絡係をお願いするんです。細々としたやり取りを一括する中継点ができれば手間がなくなるし、いざという時にも対処しやすくなると思うんです」
「うん、それくらい準備しておけばいい感じだな」
「あと北区……東寄りのアンバーフットは俺が担当するよ。ただ今回女性メンバーの面倒は見れないが」
「ありがとう、タイラー! そうしてもらえると助かる。今回、女性メンバーが意外と多かったのも気になってたんだ」
「えっ、じゃあ仕事断ったのって男性が多いんですか?」
「というか、女性は全員参加だ」
「あらま、怖いもの知らずだこと」
 ますます力関係が女性に傾きそうであった。
 そこへいくと――4人の視線がナタルに集まる。もちろん、オリーブにやっつけられていた。思わず出る溜め息。
「……ナタルにここで連絡係を起ち上げてもらったら?」
 ポールが妥協案を出すと、マルクが首を振った。
「俺もそう思ったんだが、現場作業を共有してもらわないと、今後のリーダーシップが取れなくなるだろうと。——ナタルも逃げ出したいのはやまやまなんだが、家庭のこともあるし、現状維持で踏みとどまることに決めたようだな」
「ギリギリの合格ラインってとこか」
「うわっ、黄信号点滅!」
 タイラーの眉がピクピクしているのを見て、ポールがおののいた。
「女性が全員参加なのに、男どもが不参加とは。どうなってんだ、ポール?」
 火の粉がポールに飛んできた。後頭部を掻きながら彼は言う。
「……それが、わかんないんだよね」
「わからない?」
「タイラーのとこほどじゃないけどさ、5班って俺にやいやい言われて効率上げてるだろ? 男が参加しないってことになれば、俺がどう出るかわかりきってると思うんだよね。手前みそだけど骨はあるメンバーだと思うし。で、さっきから考えてるんだけど、さっぱり原因が浮かんでこないのよ」
「またメンバーにご高説ぶったんじゃねぇか。それをフォローしないですっかり忘れてるっていうのはな……」
「5班あるあるだってんでしょ。お調子こいてすみませんね!」
 ポールのすまし顔をタイラーが睨んだ。

 














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