パイオニアオブエイジ~NWSかく語りき〜

どん

文字の大きさ
45 / 276

第5話『責められるNWS』

しおりを挟む
 同じ頃、民話の里では、オリーブが中心になって施したアースフォローアップのことで、リーダーたちが叱責を受けていた。
 60代過ぎの男性ばかり三人が、よってたかって責める。
「緊迫した情勢はわかっているだろうに、なんであんな派手な真似をするんだ」
「呪界法信奉者だって間抜けじゃない。エネルギーの拮抗には双方とも神経を尖らせているんだ。あんな目立つ行為をすれば、やつらも色めき立つぞ」
「せめて森の中で施せばいいものを、遮るもののない林縁で施すとは。パラティヌスの人間は常識も知らんのか」
「NWSだか何だか知らんが、こんなことがもう一度あってみろ。童話の里に厳重抗議の上、謹慎してもらうぞ」
「修法者が17歳では、配慮も行き届かんだろうさ」
「平身低頭、頭を下げていれば付け上がって。これなら民話の里の手練れが1人で仕事したほうがマシだ」
 際限なく続きそうな非難に、マルクが一言述べた。
「お言葉ですが、代表の力量をけなす発言はおやめください」
「なにーっ?!」
 三人の老人たちが声を揃える。
 マルクは怯まず言った。
「初めに、施したアースフォローアップは、代表の修法陣の力場を頼みにしたもので、呪界法信奉者には察知されなかったはずです。これが第一点。次に、アースフォローアップの真髄は、地力の底上げですから、炎樹の森は言うに及ばず植生遷移前の草本植物にも良い影響があります。これが第二点。さらに、林縁でアースフォローアップを試みたのは、呪界法信奉者に対して委縮するメンバーを鼓舞する意味がありました。失礼ながら、囲って閉じこもるだけのそちらのやり方では、抜本的な対策が打てないのでは? これが第三点です」
「言わせておけばーっ!」
「ホッホッホッホ」
 それまで黙って聞いていた民話の里の長老、バリスネ・エターナリストが高らかに笑った。
「NWSの諸君、君たちの勝ちだ。民話の里には炎樹の森を闊歩できる生きのいい人材などありはしない。老兵がいくら常識を説いても始まらんわい。自分たちの実力を信じて、活力を吹き込んでもらいたい。それをこそ、儂らは長年待ち望んでいたんだからな」
「長老! よそ者を贔屓にするなら、儂らにも考えがありますぞ」
「よそ者、よそ者と退けていた結果がこれだ。炎樹の森は儂らに怨嗟を送ってきているではないか。かつてない危機に駆けつけてくれた彼らこそ唯一の希望だ。行き過ぎた批判は自分たちの首を絞めると知りなさい」
「フン、米つきバッタが」
「な!」
 老人の一人が吐き捨てた悪口に、NWSが反応する。
 三人は横柄に歩いていって、その場を去った。
「すまんな、君たち。みっともないところをお見せした。悪く思わんでやってくれ。森と同じく儂らも病んでおるんだ」
 長老のすまながる言葉に、NWSも波立った神経を鎮める。
「こちらこそ、申し訳ありません。民話の里の事情を考えずに口答えしまして」
 マルクが詫びると、長老は目を細めた。
「君は何という名前かね?」
「はい、マルク・アスペクターと申します」
「それくらいの矜持がなければ、100人からに人間はついてこんわい。よく言ってくれた、儂からも礼を言おう」
「いいえ、もう気にしてません」
「そうか、それならいいが。ところで、儂にできることはあるかね?」
「はい、明日までにNWSメンバーの顔写真付き名簿をお持ちしますので、民話の里への入場許可をいただきたいです。——トイレの問題を失念しておりまして、管理上、カエリウス内にいることが望ましいのです」
「わかった、警備の者に言伝よう」
「それと、今後備品購入などの手間が発生した場合、予算を割きますので里の方にお言付けください。今回はご厚意で防寒着を用意していただきましたが、そのための諸経費ですから」
「そうだな、そうしてくれ」
 マルクと長老が交渉している間、リーダーたちは疲れを押して成り行きを見守っていた。
















しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する

ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。 夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。 社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。 ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。 「私たち、離婚しましょう」 アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。 どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。 彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。 アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。 こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。

婚約破棄されたスナギツネ令嬢、実は呪いで醜くなっていただけでした

宮之みやこ
恋愛
細すぎる一重の目に、小さすぎる瞳の三百眼。あまりの目つきの悪さに、リュシエルが婚約者のハージェス王子に付けられたあだ名は『スナギツネ令嬢』だった。 「一族は皆美形なのにどうして私だけ?」 辛く思いながらも自分にできる努力をしようと頑張る中、ある日ついに公の場で婚約解消を言い渡されてしまう。どうやら、ハージェス王子は弟のクロード王子の婚約者であるモルガナ侯爵令嬢と「真実の愛」とやらに目覚めてしまったらしい。 (この人たち、本当に頭がおかしいんじゃないのかしら!?)

差し出された毒杯

しろねこ。
恋愛
深い森の中。 一人のお姫様が王妃より毒杯を授けられる。 「あなたのその表情が見たかった」 毒を飲んだことにより、少女の顔は苦悶に満ちた表情となる。 王妃は少女の美しさが妬ましかった。 そこで命を落としたとされる少女を助けるは一人の王子。 スラリとした体型の美しい王子、ではなく、体格の良い少し脳筋気味な王子。 お供をするは、吊り目で小柄な見た目も中身も猫のように気まぐれな従者。 か○みよ、○がみ…ではないけれど、毒と美しさに翻弄される女性と立ち向かうお姫様なお話。 ハピエン大好き、自己満、ご都合主義な作者による作品です。 同名キャラで複数の作品を書いています。 立場やシチュエーションがちょっと違ったり、サブキャラがメインとなるストーリーをなどを書いています。 ところどころリンクもしています。 ※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿しています!

魔法使いとして頑張りますわ!

まるねこ
恋愛
母が亡くなってすぐに伯爵家へと来た愛人とその娘。 そこからは家族ごっこの毎日。 私が継ぐはずだった伯爵家。 花畑の住人の義妹が私の婚約者と仲良くなってしまったし、もういいよね? これからは母方の方で養女となり、魔法使いとなるよう頑張っていきますわ。 2025年に改編しました。 いつも通り、ふんわり設定です。 ブックマークに入れて頂けると私のテンションが成層圏を超えて月まで行ける気がします。m(._.)m Copyright©︎2020-まるねこ

天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎ ギルドで働くおっとり回復役リィナは、 自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。 ……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!? 「転ばないで」 「可愛いって言うのは僕の役目」 「固定回復役だから。僕の」 優しいのに過保護。 仲間のはずなのに距離が近い。 しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。 鈍感で頑張り屋なリィナと、 策を捨てるほど恋に負けていくカイの、 コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕! 「遅いままでいい――置いていかないから。」

処理中です...