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第6話『脅威』
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あれから約3か月——NWSが炎樹の森の仕事に本腰を入れ始めた頃だった。
繁緑の四月茶瑞の六日、マルクがある人物に突然呼び出された。
すると2時間後、全員炎樹の森から引き揚げるようにとの指示があって、リーダー10人が緊急会議を開くことになったのだった。
訳もわからず集められたリーダーらの不審をよそに、マルクが放った言葉とは――?
「どうやら、約1年後にこの世界の宇宙法則が変わるらしい……」
「えっ、どういうこと⁈」
思わず問い返すポールを一旦手で制して、マルクが続ける。
「それがどうも万世の魔女だけが往ける第五層、生命樹界からのお達しらしい。ちょうどその時に名のない力とかいうエネルギー体がこの世界に衝突するんだそうだ」
「万世の魔女って、レンナちゃんじゃんか! 何それ、聞いてないよ」
ポールが叫んだが、それ以上に衝撃的な事態に、リーダーたちは騒然となった。
名のない力がこの世界に衝突——⁈
「えらいこっちゃ……」
ナタルが呆然と呟いたが、全員同感だった。
「もちろん、第三層降霊界の人たちは知ってるんだろうな」
アロンが言うと、マルクは二度頷いた。
「そうなんだ、万世の策士によると、今蜂の巣を突いた騒ぎらしい」
「そりゃそうだよ、僕らにしたって「なんじゃそりゃ!」な話だもん」
キーツが大きな目を強ばらせていった。
「お偉方がいくら騒いでもよ、末端の俺たちに通達されるのはどうしても時間差があるからな」
タイラーが裏事情を言い当てた。
「でもさ、衝突するったって世界が崩壊するわけじゃないから、こんな落ち着いた切り出し方するんだろ?」
ポールがもっと本質的なところを突いた。
「そうなんだ。結論から言うとだな、万世の魔女、つまり代表が生命の樹から下賜された天窓の鍵だけで、対処できるようだぞ」
「どうやって⁈」
「万世の策士によると……万世の魔女の心を媒体に、名のない力と生命の樹を繋ぐ導管になって、エネルギー変換するんだそうだ」
「天窓の鍵はレンナさんの心と名のない力を繋ぐツールということですか」
ランスが青ざめて言うと、マルクは慎重に頷いた。
「そんな――今度の仕事じゃないけど、レンナちゃんの心が何かに塞がれるようなことがあったら……」
「被害は甚大、か」
オリーブの言葉にタイラーが被せる。
「そんな危ない仕事させられますかっての! なんでそんな紙一重の方法しかないわけ⁈」
激昂するポールに、マルクが珍しくうろたえた。
「俺に言われても……」
「マルクを責めてんじゃないよ、俺は生命の樹に言ってんだよ。そんなことしたらレンナちゃんどうなるんだよ! まさか命奪われるとかじゃないだろうな!!」
「そうですよ、よりによって心が媒体なんて、ヘタしたら一生廃人ってことも――」
ルイスの言葉に一層どよめく面々。
「聞いてくれ。万世の魔女は生命の樹の提案を甘受することに決めたそうだ。万世の秘法はこの案件を万世の魔女に一任する代わりに、予測される混乱に備える、ということに決まった」
「それで俺たちが呼び返されたのか……」
タイラーが腕組みして呟くと、トゥーラも続いた。
「レンナちゃんには役目に集中してもらわないと――私たちの面倒を見ている場合じゃないもの」
「生命の樹はこの時を見越してレンナちゃんに天窓の鍵を渡してたんだろ。なんだよ、子飼いしてたみたいなやり口は‼」
「あったまくる」
ポールの激昂とオリーブの静かな怒り。
不可視の生命の樹を呪わない者はいなかった。
もはやレンナの身内と言ってもいいくらいに親しいNWSのリーダーたちの怒りは天井知らずだった。
緊急会議は紛糾したまま続くのだった。
繁緑の四月茶瑞の六日、マルクがある人物に突然呼び出された。
すると2時間後、全員炎樹の森から引き揚げるようにとの指示があって、リーダー10人が緊急会議を開くことになったのだった。
訳もわからず集められたリーダーらの不審をよそに、マルクが放った言葉とは――?
「どうやら、約1年後にこの世界の宇宙法則が変わるらしい……」
「えっ、どういうこと⁈」
思わず問い返すポールを一旦手で制して、マルクが続ける。
「それがどうも万世の魔女だけが往ける第五層、生命樹界からのお達しらしい。ちょうどその時に名のない力とかいうエネルギー体がこの世界に衝突するんだそうだ」
「万世の魔女って、レンナちゃんじゃんか! 何それ、聞いてないよ」
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名のない力がこの世界に衝突——⁈
「えらいこっちゃ……」
ナタルが呆然と呟いたが、全員同感だった。
「もちろん、第三層降霊界の人たちは知ってるんだろうな」
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「そうなんだ、万世の策士によると、今蜂の巣を突いた騒ぎらしい」
「そりゃそうだよ、僕らにしたって「なんじゃそりゃ!」な話だもん」
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「でもさ、衝突するったって世界が崩壊するわけじゃないから、こんな落ち着いた切り出し方するんだろ?」
ポールがもっと本質的なところを突いた。
「そうなんだ。結論から言うとだな、万世の魔女、つまり代表が生命の樹から下賜された天窓の鍵だけで、対処できるようだぞ」
「どうやって⁈」
「万世の策士によると……万世の魔女の心を媒体に、名のない力と生命の樹を繋ぐ導管になって、エネルギー変換するんだそうだ」
「天窓の鍵はレンナさんの心と名のない力を繋ぐツールということですか」
ランスが青ざめて言うと、マルクは慎重に頷いた。
「そんな――今度の仕事じゃないけど、レンナちゃんの心が何かに塞がれるようなことがあったら……」
「被害は甚大、か」
オリーブの言葉にタイラーが被せる。
「そんな危ない仕事させられますかっての! なんでそんな紙一重の方法しかないわけ⁈」
激昂するポールに、マルクが珍しくうろたえた。
「俺に言われても……」
「マルクを責めてんじゃないよ、俺は生命の樹に言ってんだよ。そんなことしたらレンナちゃんどうなるんだよ! まさか命奪われるとかじゃないだろうな!!」
「そうですよ、よりによって心が媒体なんて、ヘタしたら一生廃人ってことも――」
ルイスの言葉に一層どよめく面々。
「聞いてくれ。万世の魔女は生命の樹の提案を甘受することに決めたそうだ。万世の秘法はこの案件を万世の魔女に一任する代わりに、予測される混乱に備える、ということに決まった」
「それで俺たちが呼び返されたのか……」
タイラーが腕組みして呟くと、トゥーラも続いた。
「レンナちゃんには役目に集中してもらわないと――私たちの面倒を見ている場合じゃないもの」
「生命の樹はこの時を見越してレンナちゃんに天窓の鍵を渡してたんだろ。なんだよ、子飼いしてたみたいなやり口は‼」
「あったまくる」
ポールの激昂とオリーブの静かな怒り。
不可視の生命の樹を呪わない者はいなかった。
もはやレンナの身内と言ってもいいくらいに親しいNWSのリーダーたちの怒りは天井知らずだった。
緊急会議は紛糾したまま続くのだった。
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