パイオニアオブエイジ~NWSかく語りき〜

どん

文字の大きさ
93 / 276

第9話『童話を組み立てる』

しおりを挟む
「——名案だ」
 ポツリとマルクが言う。
「そうですね。バラバラにイメージしてたんじゃ切れ切れだけど、ストーリー仕立てにすればその中に入りやすいですよ」
 ルイスがワクワクして言った。
「面白そう! ってか、ここはポールの出番なんじゃないの?」
 キーツが指名すると、ポールは手で制した。
「まぁまぁ、その前にちょっと筋を組み立てんと」
「それじゃ、イメージを全部書き出そう」
 アロンが言って、ポールを中心にイメージを抜き出す。

〇世界一の図書館(ここにあるものはどこにでもあり、ここにないものはどこにもない)
〇名のない力を食べ物にしてしまえ! 大厨房vs.腹ペコ軍団
〇新しい世界の新しい家——建材倉庫の構え――
〇空から綿花が降ってくる――難民の皆さんを包む喜び――
〇妖精と職人の仕立て工房
〇常夏のフルーツパーラー繁盛記——合ってないようで合ってる夫婦——
〇六芒宇宙の大宴会——牧師がホストで何でもアリ――
〇最後に、名のない力の化身・童子が万世の魔女と語り合う

 みんなでやいのやいの言いながらイメージを箇条書きしたが、書記がポールだったため、副題がつけられた。
 いじっていいのと悪いのを心得ているため、まともに落ち着くのもあれば、タイラーたちなどは強引に夫婦にされた(ポカッと殴られたのは言うまでもない)。
「よーし、そんじゃ始めるぞー!」
 懲りないポールが話を組み立てる。
「題名は『名のない力の訪れ』で決まりだな。始まりは、「ここは六芒宇宙。人間たちと想像上の精霊や幻獣が隣り合って住む世界」でどうよ」
「うんうん、それで?」
 オリーブが先を促す。
「こっからなんだよなぁ……レンナちゃんのための絵本なんだから、リアルな方がいいか、メルヘンな表現がいいか」
「……メルヘンなだけじゃ、世界を掬い上げられないだろ」
 タイラーがバッサリ切ると、ポールはあっさり意見を採用した。
「それもそうか。じゃあ「内戦もあればテロもあり、不穏の種は世界中にばらまかれていましたが、明るく優しい平和の花を咲かせている国々がぐるりと周囲を固めていました」ってことで」
「そうそう」
「次はと、「平和の花を咲かせている国々では、世界中を幸福でいっぱいにしようと、汗水流して働いていましたが。ある時大変なことがわかりました。一年後、名のない力という未知のエネルギーがぶつかろうとしているらしいのです」んで、「名のない力は過去に二度も世界に大災害をもたらした、とてつもないエネルギーです。世界をリードする万世の秘法は慌てましたが、世界の根源エネルギー、生命の樹から提案がありました。「世界の密儀を開く天窓の鍵で、私が育てた万世の魔女が心を導管にして、名のない力をわたしに送れば無害化できる」というのです」」
「よしよし」
 タイラーの合いの手が入った。













しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない

文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。 使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。 優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。 婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。 「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。 優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。 父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。 嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの? 優月は父親をも信頼できなくなる。 婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

処理中です...