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第12話『共同戦線』
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グルメ狂騒曲は終わった。
お腹をパンパンにしたキーツとイサクが、隅の簡易ベッドに横たわってうんうん言っている。
「ごめん、こいつホント馬鹿で」
フィリップが身内をなじれば、タイラーも黙ってない。
「馬鹿さ加減ではこっちも負けてない。コラおまえら! 胃薬なんてやらねぇからな。責任もって消化しろ」
はたして、二人は不本意にも仲良くベッドでうめいている。
「ったく、おもたせまで平らげるから」
ポールは手を下に向けてプランプランさせた。
「……ちょっと張り切り過ぎたかしら」
トゥーラが言うと、ポールはカラカラと笑った。
「カッカッカ、なぁに、俺たちが料理の上でも最強コンビだってことを証明しちゃっただけでしょ。見てよ、二人のお腹。ヘソ出てるし」
言って二人のヘソをくすぐると、腹をよじることもできずに叫ぶ。
「やめれ――!」
「勘弁してくださーい」
「……あーあー」
ナタルが二人を憐れむ。
「ポールたちの分、別に確保しておいて正解だったな」
マルクが枕側の柵にもたれて、二人を見下ろしながら言った。
「ポールたち、まだ食べてないんだから食べちゃえよ。後のやつらはナタルの奥さんのマンゴーシフォンケーキをいただこうぜ」
「やったぁ! スイーツは別腹」
オリーブが嬌声を上げて笑いを誘う。
こうしてキーツとイサクは放っておかれることになった。
「ちょっと……起きてる?」
キーツがイサクに話しかけた。
「——起きてる」
「……前から聞きたかったんだけどさ、なんで僕と張り合おうとするんだよ」
「そりゃ、仕事でやり合ったし、軍配はそっちに上がったからだろ」
「そんなのべつに僕がやり手だったからじゃなくて、ただの多数決じゃん」
「——それでも、負けは負けだ」
「……あんまりシンプルハートディグニティで意見尊重されてないだろ?」
「どうせ俺は勢いだけのやつだよ」
「言いたくないけどさ、それって「目糞鼻糞を笑う」に近いと思うんだけど」
「……おまえもか?」
「リーダーの中じゃ体のいいマスコットだよ。……女子にはナメられるばっかりだし」
「……そっか、おんなじか」
「張り合ってんの馬鹿みたいだと思わない?」
「思う」
キーツが手をスッと上げた。
「共同戦線といこうぜ」
イサクがその手をガシッと掴む。
「おう」
めでたく二人は協定を締結したのだった。
お腹をパンパンにしたキーツとイサクが、隅の簡易ベッドに横たわってうんうん言っている。
「ごめん、こいつホント馬鹿で」
フィリップが身内をなじれば、タイラーも黙ってない。
「馬鹿さ加減ではこっちも負けてない。コラおまえら! 胃薬なんてやらねぇからな。責任もって消化しろ」
はたして、二人は不本意にも仲良くベッドでうめいている。
「ったく、おもたせまで平らげるから」
ポールは手を下に向けてプランプランさせた。
「……ちょっと張り切り過ぎたかしら」
トゥーラが言うと、ポールはカラカラと笑った。
「カッカッカ、なぁに、俺たちが料理の上でも最強コンビだってことを証明しちゃっただけでしょ。見てよ、二人のお腹。ヘソ出てるし」
言って二人のヘソをくすぐると、腹をよじることもできずに叫ぶ。
「やめれ――!」
「勘弁してくださーい」
「……あーあー」
ナタルが二人を憐れむ。
「ポールたちの分、別に確保しておいて正解だったな」
マルクが枕側の柵にもたれて、二人を見下ろしながら言った。
「ポールたち、まだ食べてないんだから食べちゃえよ。後のやつらはナタルの奥さんのマンゴーシフォンケーキをいただこうぜ」
「やったぁ! スイーツは別腹」
オリーブが嬌声を上げて笑いを誘う。
こうしてキーツとイサクは放っておかれることになった。
「ちょっと……起きてる?」
キーツがイサクに話しかけた。
「——起きてる」
「……前から聞きたかったんだけどさ、なんで僕と張り合おうとするんだよ」
「そりゃ、仕事でやり合ったし、軍配はそっちに上がったからだろ」
「そんなのべつに僕がやり手だったからじゃなくて、ただの多数決じゃん」
「——それでも、負けは負けだ」
「……あんまりシンプルハートディグニティで意見尊重されてないだろ?」
「どうせ俺は勢いだけのやつだよ」
「言いたくないけどさ、それって「目糞鼻糞を笑う」に近いと思うんだけど」
「……おまえもか?」
「リーダーの中じゃ体のいいマスコットだよ。……女子にはナメられるばっかりだし」
「……そっか、おんなじか」
「張り合ってんの馬鹿みたいだと思わない?」
「思う」
キーツが手をスッと上げた。
「共同戦線といこうぜ」
イサクがその手をガシッと掴む。
「おう」
めでたく二人は協定を締結したのだった。
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