123 / 276
第12話『共同戦線』
しおりを挟む
グルメ狂騒曲は終わった。
お腹をパンパンにしたキーツとイサクが、隅の簡易ベッドに横たわってうんうん言っている。
「ごめん、こいつホント馬鹿で」
フィリップが身内をなじれば、タイラーも黙ってない。
「馬鹿さ加減ではこっちも負けてない。コラおまえら! 胃薬なんてやらねぇからな。責任もって消化しろ」
はたして、二人は不本意にも仲良くベッドでうめいている。
「ったく、おもたせまで平らげるから」
ポールは手を下に向けてプランプランさせた。
「……ちょっと張り切り過ぎたかしら」
トゥーラが言うと、ポールはカラカラと笑った。
「カッカッカ、なぁに、俺たちが料理の上でも最強コンビだってことを証明しちゃっただけでしょ。見てよ、二人のお腹。ヘソ出てるし」
言って二人のヘソをくすぐると、腹をよじることもできずに叫ぶ。
「やめれ――!」
「勘弁してくださーい」
「……あーあー」
ナタルが二人を憐れむ。
「ポールたちの分、別に確保しておいて正解だったな」
マルクが枕側の柵にもたれて、二人を見下ろしながら言った。
「ポールたち、まだ食べてないんだから食べちゃえよ。後のやつらはナタルの奥さんのマンゴーシフォンケーキをいただこうぜ」
「やったぁ! スイーツは別腹」
オリーブが嬌声を上げて笑いを誘う。
こうしてキーツとイサクは放っておかれることになった。
「ちょっと……起きてる?」
キーツがイサクに話しかけた。
「——起きてる」
「……前から聞きたかったんだけどさ、なんで僕と張り合おうとするんだよ」
「そりゃ、仕事でやり合ったし、軍配はそっちに上がったからだろ」
「そんなのべつに僕がやり手だったからじゃなくて、ただの多数決じゃん」
「——それでも、負けは負けだ」
「……あんまりシンプルハートディグニティで意見尊重されてないだろ?」
「どうせ俺は勢いだけのやつだよ」
「言いたくないけどさ、それって「目糞鼻糞を笑う」に近いと思うんだけど」
「……おまえもか?」
「リーダーの中じゃ体のいいマスコットだよ。……女子にはナメられるばっかりだし」
「……そっか、おんなじか」
「張り合ってんの馬鹿みたいだと思わない?」
「思う」
キーツが手をスッと上げた。
「共同戦線といこうぜ」
イサクがその手をガシッと掴む。
「おう」
めでたく二人は協定を締結したのだった。
お腹をパンパンにしたキーツとイサクが、隅の簡易ベッドに横たわってうんうん言っている。
「ごめん、こいつホント馬鹿で」
フィリップが身内をなじれば、タイラーも黙ってない。
「馬鹿さ加減ではこっちも負けてない。コラおまえら! 胃薬なんてやらねぇからな。責任もって消化しろ」
はたして、二人は不本意にも仲良くベッドでうめいている。
「ったく、おもたせまで平らげるから」
ポールは手を下に向けてプランプランさせた。
「……ちょっと張り切り過ぎたかしら」
トゥーラが言うと、ポールはカラカラと笑った。
「カッカッカ、なぁに、俺たちが料理の上でも最強コンビだってことを証明しちゃっただけでしょ。見てよ、二人のお腹。ヘソ出てるし」
言って二人のヘソをくすぐると、腹をよじることもできずに叫ぶ。
「やめれ――!」
「勘弁してくださーい」
「……あーあー」
ナタルが二人を憐れむ。
「ポールたちの分、別に確保しておいて正解だったな」
マルクが枕側の柵にもたれて、二人を見下ろしながら言った。
「ポールたち、まだ食べてないんだから食べちゃえよ。後のやつらはナタルの奥さんのマンゴーシフォンケーキをいただこうぜ」
「やったぁ! スイーツは別腹」
オリーブが嬌声を上げて笑いを誘う。
こうしてキーツとイサクは放っておかれることになった。
「ちょっと……起きてる?」
キーツがイサクに話しかけた。
「——起きてる」
「……前から聞きたかったんだけどさ、なんで僕と張り合おうとするんだよ」
「そりゃ、仕事でやり合ったし、軍配はそっちに上がったからだろ」
「そんなのべつに僕がやり手だったからじゃなくて、ただの多数決じゃん」
「——それでも、負けは負けだ」
「……あんまりシンプルハートディグニティで意見尊重されてないだろ?」
「どうせ俺は勢いだけのやつだよ」
「言いたくないけどさ、それって「目糞鼻糞を笑う」に近いと思うんだけど」
「……おまえもか?」
「リーダーの中じゃ体のいいマスコットだよ。……女子にはナメられるばっかりだし」
「……そっか、おんなじか」
「張り合ってんの馬鹿みたいだと思わない?」
「思う」
キーツが手をスッと上げた。
「共同戦線といこうぜ」
イサクがその手をガシッと掴む。
「おう」
めでたく二人は協定を締結したのだった。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
黄金の魔族姫
風和ふわ
恋愛
「エレナ・フィンスターニス! お前との婚約を今ここで破棄する! そして今から僕の婚約者はこの現聖女のレイナ・リュミエミルだ!」
「エレナ様、婚約者と神の寵愛をもらっちゃってごめんね? 譲ってくれて本当にありがとう!」
とある出来事をきっかけに聖女の恩恵を受けれなくなったエレナは「罪人の元聖女」として婚約者の王太子にも婚約破棄され、処刑された──はずだった!
──え!? どうして魔王が私を助けてくれるの!? しかも娘になれだって!?
これは、婚約破棄された元聖女が人外魔王(※実はとっても優しい)の娘になって、チートな治癒魔法を極めたり、地味で落ちこぼれと馬鹿にされていたはずの王太子(※実は超絶美形)と恋に落ちたりして、周りに愛されながら幸せになっていくお話です。
──え? 婚約破棄を取り消したい? もう一度やり直そう? もう想い人がいるので無理です!
※拙作「皆さん、紹介します。こちら私を溺愛するパパの“魔王”です!」のリメイク版。
※表紙は自作ではありません。
【第一部完結】翡翠色の風に乗せて〜私はダメなんかじゃない〜
碧風瑠華
ファンタジー
「お前はダメだ」と言われつづけましたが、ダメだったのは貴方です。
「せっかく離れたのに、また関わるなんて……!」
ルクレ伯爵家の令嬢セリーヌは、第三王子アランディルの婚約者候補に選ばれてしまった。
根本的に合わないあの人との関わりに、心を痛めながらも逃れる方法を静かに模索していく。
※第一部完結済
※他サイトにも掲載中です。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
王弟が愛した娘 —音に響く運命—
Aster22
恋愛
弟を探す旅の途中、身分を隠して村で薬師として生きていたセラは、
ハープの音に宿る才を、名も知らぬ貴族の青年――王弟レオに見初められる。
互いの立場を知らぬまま距離を縮めていく二人。
だが、ある事件をきっかけに、セラは彼の屋敷で侍女として働くことになり、
知らず知らずのうちに国を巻き込む陰謀へと引き寄せられていく。
人の生まれは変えられない。
それでも、何を望み、何を選ぶのかは、自分で決められる。
セラが守ろうとするものは、弟か、才か、それとも――
キャラ設定・世界観などはこちら
↓
https://kakuyomu.jp/my/news/822139840619212578
姉の婚約者と結婚しました。
黒蜜きな粉
恋愛
花嫁が結婚式の当日に逃亡した。
式場には両家の関係者だけではなく、すでに来賓がやってきている。
今さら式を中止にするとは言えない。
そうだ、花嫁の姉の代わりに妹を結婚させてしまえばいいじゃないか!
姉の代わりに辺境伯家に嫁がされることになったソフィア。
これも貴族として生まれてきた者の務めと割り切って嫁いだが、辺境伯はソフィアに興味を示さない。
それどころか指一本触れてこない。
「嫁いだ以上はなんとしても後継ぎを生まなければ!」
ソフィアは辺境伯に振りむいて貰おうと奮闘する。
2022/4/8
番外編完結
「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」
イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。
ある日、夢をみた。
この国の未来を。
それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。
彼は言う。
愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる