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第13話『激昂』
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「でも、修法者になったとして。あの人、レンナちゃんに再プロポーズとかするつもりなのかな?」
リサの言葉に、ルイスが思いがけないことを言った。
「あ、俺知らせておいた。運営してる下宿に恋人候補が一緒に住んでるって」
「えっ、そうなの?」
ポールが驚くと、アロンも問い返す。
「それで、エリックはなんだって?」
「「負けてらんねぇ!(笑)」だそうです」
「……あいつ余裕だなぁ」
アロンが感心すると、トゥーラが言った。
「恋愛どころじゃないんじゃないかしら? 修法行が面白くて」
「そうとも言えるけど――ルイス、他にサクシード君のこと何か書いてやったか?」
ポールが聞くと、ルイスが気まずそうに答えた。
「はい……まだ万世の秘法を習い始めたばっかりだけど、男も惚れるようないい男で、レンナちゃんも傍にいるのが楽しそうだ、とだけ」
「それで「負けてらんねぇ!」か。焼け石に水だな」
アロンが吐息をつくと、ナタルが言った。
「諦めた方がいいって書いてたら、どうなってたかな?」
「可哀想じゃない!」
オリーブが突然叫んで立ち上がった。ぎょっとするトゥーラ。
「そんな夢も希望も残ってないように知らせる必要がどこにあるの⁈ そんなことしたらエリックが帰りづらいじゃない。みんなで一緒に待ってようって言ったじゃない! そんなの……そんなの酷いよっ!!」
オリーブが外へ駆け出した。
「オリーブ、どこへ行くの⁈」
さすがのトゥーラも慌てたが、タイラーが「任せろ」とだけ言ってゆっくりドアの外へ歩いていった。
「——なに、この展開。もしかしてオリーブって……」
リサが聞くとアロンが頷いた。
「好きだったんだ、エリックのこと。もしかしたら今もかな」
「バッカねぇ……オリーブとタイラーって付き合って間もないんでしょ? まだ傷は生々しいじゃない」
「だから話を濁そうとしたのに――ポールが蒸し返すのだもの」
トゥーラに責められて、ポールがおたおたする。
「えーっ、俺? っていうか、オリーブがキレたのはナタルの発言でしょうが」
「面目ない。俺はてっきり、オリーブもう大丈夫なのかと」
「5年以上の片思いと、付き合って間もない恋人。どっちの比重が重いのよ」
「そうだよね……ホント、ごめん」
するとアロンが言った。
「いや俺、実は気づいてた。エリックの話が出るたびに、オリーブがしんどそうなの。わかってて話を広げたのは俺だよ」
「ええっ⁈」
「アロン、どうして……」
トゥーラに聞かれて、アロンが円卓の上で腕を組む。
「タイラーのためだよ。酷なようだけど、オリーブは無意識にタイラーにエリックと同じものを求めてる。それじゃタイラーをないがしろにしてるのと同じだ。うやむやにしないで、はっきりさせた方がいいんだ」
トゥーラがショックを受けた。しかし紛れもない事実だった。
「でもさ……何もみんなの前じゃなくったって。二人の間で解決していくって方法もあったんでは?」
ポールが飲み込めずに言うと、アロンはもう一つ指摘した。
「オリーブにしてみれば、今まで聞き役だったトゥーラがいないんだぞ? タイラーにエリックのことが話せるもんか。そしたら晴れてカップルになった君らが妬ましくなるに決まってる」
「オリーブに限って妬むなんて……!」
トゥーラは言ったが、それがどんなに不自然なことか、彼女もよくわかっていた。
リサの言葉に、ルイスが思いがけないことを言った。
「あ、俺知らせておいた。運営してる下宿に恋人候補が一緒に住んでるって」
「えっ、そうなの?」
ポールが驚くと、アロンも問い返す。
「それで、エリックはなんだって?」
「「負けてらんねぇ!(笑)」だそうです」
「……あいつ余裕だなぁ」
アロンが感心すると、トゥーラが言った。
「恋愛どころじゃないんじゃないかしら? 修法行が面白くて」
「そうとも言えるけど――ルイス、他にサクシード君のこと何か書いてやったか?」
ポールが聞くと、ルイスが気まずそうに答えた。
「はい……まだ万世の秘法を習い始めたばっかりだけど、男も惚れるようないい男で、レンナちゃんも傍にいるのが楽しそうだ、とだけ」
「それで「負けてらんねぇ!」か。焼け石に水だな」
アロンが吐息をつくと、ナタルが言った。
「諦めた方がいいって書いてたら、どうなってたかな?」
「可哀想じゃない!」
オリーブが突然叫んで立ち上がった。ぎょっとするトゥーラ。
「そんな夢も希望も残ってないように知らせる必要がどこにあるの⁈ そんなことしたらエリックが帰りづらいじゃない。みんなで一緒に待ってようって言ったじゃない! そんなの……そんなの酷いよっ!!」
オリーブが外へ駆け出した。
「オリーブ、どこへ行くの⁈」
さすがのトゥーラも慌てたが、タイラーが「任せろ」とだけ言ってゆっくりドアの外へ歩いていった。
「——なに、この展開。もしかしてオリーブって……」
リサが聞くとアロンが頷いた。
「好きだったんだ、エリックのこと。もしかしたら今もかな」
「バッカねぇ……オリーブとタイラーって付き合って間もないんでしょ? まだ傷は生々しいじゃない」
「だから話を濁そうとしたのに――ポールが蒸し返すのだもの」
トゥーラに責められて、ポールがおたおたする。
「えーっ、俺? っていうか、オリーブがキレたのはナタルの発言でしょうが」
「面目ない。俺はてっきり、オリーブもう大丈夫なのかと」
「5年以上の片思いと、付き合って間もない恋人。どっちの比重が重いのよ」
「そうだよね……ホント、ごめん」
するとアロンが言った。
「いや俺、実は気づいてた。エリックの話が出るたびに、オリーブがしんどそうなの。わかってて話を広げたのは俺だよ」
「ええっ⁈」
「アロン、どうして……」
トゥーラに聞かれて、アロンが円卓の上で腕を組む。
「タイラーのためだよ。酷なようだけど、オリーブは無意識にタイラーにエリックと同じものを求めてる。それじゃタイラーをないがしろにしてるのと同じだ。うやむやにしないで、はっきりさせた方がいいんだ」
トゥーラがショックを受けた。しかし紛れもない事実だった。
「でもさ……何もみんなの前じゃなくったって。二人の間で解決していくって方法もあったんでは?」
ポールが飲み込めずに言うと、アロンはもう一つ指摘した。
「オリーブにしてみれば、今まで聞き役だったトゥーラがいないんだぞ? タイラーにエリックのことが話せるもんか。そしたら晴れてカップルになった君らが妬ましくなるに決まってる」
「オリーブに限って妬むなんて……!」
トゥーラは言ったが、それがどんなに不自然なことか、彼女もよくわかっていた。
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