パイオニアオブエイジ~NWSかく語りき〜

どん

文字の大きさ
151 / 276

第15話『難民の生活』

しおりを挟む
「そういえばカピトリヌスの難民のお母さんって、栄養状態が悪い状況で出産するから、お母さんも赤ちゃんも大変なんですってね」
 クリオが話の流れを継いで言うと、ミルラが言った。
「あ! 動画で見たことあります。お乳が出なくて粉ミルクで看護師さんが育ててるとこ。赤ちゃんもやせ細ってて泣きたくなりました」
「衛生状態が悪いから、産褥熱に苦しむお母さんも多いんでしょ? それなのに赤ちゃんも亡くなる確率が高いし、女性は身も心もボロボロですよね」
 メグが顔をしかめて言うと、パティが端的に言った。
「男が堪え性がないのよ」
 その言葉を受けてトゥーラが言った。
「問題はそんなに単純じゃないのよ……ベースにあるのは貧困なの。貧しい国では、そもそもまともに仕事に就けている人が少なくて、子どもの時から劣悪な国営農場で下働きさせられたり、とにかく収入がなさすぎる。そういう人たちが大人になって結婚しても、カチカチの地面は耕しても豆くらいしか育たない。結局、子どもを働かせるのがいくらか収入を増やす手段で、教育も受けられずに朝から晩まで働きどおし。だから、たとえ赤ん坊のうちに死んでしまったとしても、子どもを作り続けるしかないのよ」
 しくしくとミルラが泣き出した。涙ぐんでいるのはみんな同じだ。
「でも……もう少しの辛抱ですよね。世界の大変革が終わったら、そういう人たちはみんな虹球界に受け入れてもらえるんでしょ?」
 メグが鼻をすすりながら言うと、オリーブが答えた。
「そうね……虹球界の受け入れ体制を整えているのは、降霊界の人たちだけど。彼らだって虹球界には往ったことがないんだから、衣食住が整うにはちょっと時間が必要かな……」
「各国の大使館が中心になって、難民の人たちに虹球界の存在を知らせたり、生産修法のレクチャーをしたりするのは、もう始まっていると聞いたわ」
「いくら栄養価が高いからって、レトルトパウチばっかりじゃ飽きますもんね」
 トゥーラの言葉にパティは何度も頷いた。
「生産修法をレクチャーするのってどうなんでしょう? だって、イメージ力が基本ですよ。ましてや食べ物をイメージするのって、難しいんじゃないですか」
 クリオが疑問を口にすると、それにはトゥーラが答えた。
「それがね、難民の人たちはとってもイメージ力がクリアなのだそうよ。イメージ力を養ってもらうための、動画を見ただけでも大喜びなのですって。もともと余計な雑念がないから、生命の樹の加護は受けやすいでしょ? 万世の秘法の指導員も驚くほどの上達ぶりで、修法作物もそれはそれは瑞々しいそうよ」
「すご――い!」
「どうせなら、その人たちに私の作った修法作物を食べてほしかったな。だって、因果界往きの悪党のためなんて、やる気なくしますよ!」
 ミルラが怒り出すと、オリーブもトゥーラも吹き出した。
「悪党だって生まれた時から悪党じゃないわよ。それに、悪党の気持ちを理解するために、進んで悪党になる道を選んだ魂だっているでしょ。根っから悪い人なんていないわ。優しさを分けられる人には分けられるし、心の底にはピカピカの光が宿ってる。私たちがそれを信じなかったら世界の大変革は成功しないわ。理屈じゃなくて魂で理解しなくちゃね」
「はーい」
 オリーブの励ましに、みんな優等生になって返事した。
















しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完 独身貴族を謳歌したい男爵令嬢は、女嫌い公爵さまと結婚する。

水鳥楓椛
恋愛
 男爵令嬢オードリー・アイリーンはある日父が負った借金により、大好きな宝石だけでは食べていけなくなってしまった。そんな時、オードリーの前に現れたのは女嫌いと有名な公爵エドワード・アーデルハイトだった。愛する家族を借金苦から逃すため、オードリーは悪魔に嫁ぐ。結婚の先に待ち受けるのは不幸か幸せか。少なくとも、オードリーは自己中心的なエドワードが大嫌いだった………。  イラストは友人のしーなさんに描いていただきました!!

【完結】悪役令嬢と呼ばれた私は関わりたくない

白キツネ
恋愛
 アリシア・アースベルトは飛び級により、転生者である姉、シェリアと一緒に王都にある学園に通うことが可能になった。しかし、学園の門をくぐった時にある女子生徒出会う。  彼女は自分を転生者だと言い、何かとアリシアに突っ掛かるようになってきて…!?  面倒なので関わってこないでほしいな。そう願いながらもこちらからは何もしないことを決意する。けれど、彼女はこちらの気持ちもお構いなしに関わろうと嫌がらせをしてくる始末。  アリシアはそんな面倒な相手と関わりながら、多くのことに頭を悩ませ続ける。 カクヨムにも掲載しております。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

姉の婚約者と結婚しました。

黒蜜きな粉
恋愛
花嫁が結婚式の当日に逃亡した。 式場には両家の関係者だけではなく、すでに来賓がやってきている。 今さら式を中止にするとは言えない。 そうだ、花嫁の姉の代わりに妹を結婚させてしまえばいいじゃないか! 姉の代わりに辺境伯家に嫁がされることになったソフィア。 これも貴族として生まれてきた者の務めと割り切って嫁いだが、辺境伯はソフィアに興味を示さない。 それどころか指一本触れてこない。 「嫁いだ以上はなんとしても後継ぎを生まなければ!」 ソフィアは辺境伯に振りむいて貰おうと奮闘する。 2022/4/8 番外編完結

王弟が愛した娘 —音に響く運命—

Aster22
恋愛
弟を探す旅の途中、身分を隠して村で薬師として生きていたセラは、 ハープの音に宿る才を、名も知らぬ貴族の青年――王弟レオに見初められる。 互いの立場を知らぬまま距離を縮めていく二人。 だが、ある事件をきっかけに、セラは彼の屋敷で侍女として働くことになり、 知らず知らずのうちに国を巻き込む陰謀へと引き寄せられていく。 人の生まれは変えられない。 それでも、何を望み、何を選ぶのかは、自分で決められる。 セラが守ろうとするものは、弟か、才か、それとも―― キャラ設定・世界観などはこちら       ↓ https://kakuyomu.jp/my/news/822139840619212578

「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」

イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。 ある日、夢をみた。 この国の未来を。 それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。 彼は言う。 愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?

処理中です...