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第15話『虹球界の未来予想図とシエナ』
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「私……フミナさんのブルーブリーズブランドに参加させてもらおうかな……」
メグがそう言い出して、パティが手を打った。
「そう! 私もそう思った。で、妊婦さんのためのマタニティドレス作るの」
「わかってるぅ! 私もそう思ったの」
「やっぱり⁈」
二人は手を取り合って喜んでいる。
「え? なんでマタニティドレスなんですか。虹球界に往ってまで頑張って子ども作ることないじゃないですか」
ミルラが問うと、パティが人差し指を横に振った。
「違うんだな。子どもを育てる環境が整ってて、お母さんが健康なら、元気な子供に囲まれて暮らしたくなるよ、きっと。謂わばマタニティドレスは豊かな生活のシンボルなわけ」
「あ、そうか。それって虹球界の未来予想図なんですね⁈」
「そういうこと!」
「私もブルーブリーズブランドに参加するぅ!」
「大歓迎!」
さっきから生産修法はそっちのけである。
オリーブとトゥーラは苦笑するしかなかった。
どうやら因果界のための生産修法には義務感が付きまとうようだ。
すると、それまで横になりながら話を聞いていたシエナが起き上がった。
気づいたトゥーラが側に行く。
「無理しないで、休んでいていいのよ」
シエナはゆっくり首を振った。
「いえ、大丈夫です、よくなりました。それに、さっきからみんなの話を聞いてて、何だか自分が恥ずかしくて……」
「えっ?」
「難民の人たちに比べたら、ずっと恵まれてるのに、私は簡単に赤ちゃんを育てるのに弱気になって……。せっかく私をお母さんに選んでくれた赤ちゃんに顔向けできないです。できたら両親に喜んでほしいけど、大事なのは母親としての責務を引き受けることで、反対にあっても赤ちゃんを全力で守ることですよね」
シエナの瞳に力強さが宿る。トゥーラは静かに頷いた。
「そんなに難しい問題? 最悪、母子家庭だって国の手厚い保護の下、サポート体制は万全だよ。万世の秘法に携わってる人にそんな堕ろすとか簡単に言ってほしくないな。それ聞いた瞬間、生まれ直してこいってここまで出かかったよ」
パティが厳しく諫めた。オリーブがフォローする。
「そうね、でもこれは聞きかじりだけど、初めての妊娠に動揺しない母親はいないって。それは仕方のないことなのよ。そう思って許してあげようよ」
「はーい、ごめんねシエナ」
仕方なく、パティは語気を和らげた。シエナは言った。
「ううん、そう𠮟咤激励してもらえてすごく助かる。私、変わるから、赤ちゃんのために」
「うん……!」
パティは理解を示しながら、少しシエナが羨ましくなった。
「……シエナが妊娠してるって今日わかったっていうのも、なんか運命を感じるね」
メグが仲を取り持つように言って、ミルラが無邪気に笑った。
「赤ちゃんが話題にしてほしかったんじゃないですか?」
「そうかもね!」
クリオが手を叩いて賛同する。
「是非、シエナにはブルーブリーズブランドの精神を受け継いでもらいたいよね」
オリーブが輝かしい笑顔で言うと、ぼそっとパティが言った。
「オリーブさん、後に続けですよ」
メグがそう言い出して、パティが手を打った。
「そう! 私もそう思った。で、妊婦さんのためのマタニティドレス作るの」
「わかってるぅ! 私もそう思ったの」
「やっぱり⁈」
二人は手を取り合って喜んでいる。
「え? なんでマタニティドレスなんですか。虹球界に往ってまで頑張って子ども作ることないじゃないですか」
ミルラが問うと、パティが人差し指を横に振った。
「違うんだな。子どもを育てる環境が整ってて、お母さんが健康なら、元気な子供に囲まれて暮らしたくなるよ、きっと。謂わばマタニティドレスは豊かな生活のシンボルなわけ」
「あ、そうか。それって虹球界の未来予想図なんですね⁈」
「そういうこと!」
「私もブルーブリーズブランドに参加するぅ!」
「大歓迎!」
さっきから生産修法はそっちのけである。
オリーブとトゥーラは苦笑するしかなかった。
どうやら因果界のための生産修法には義務感が付きまとうようだ。
すると、それまで横になりながら話を聞いていたシエナが起き上がった。
気づいたトゥーラが側に行く。
「無理しないで、休んでいていいのよ」
シエナはゆっくり首を振った。
「いえ、大丈夫です、よくなりました。それに、さっきからみんなの話を聞いてて、何だか自分が恥ずかしくて……」
「えっ?」
「難民の人たちに比べたら、ずっと恵まれてるのに、私は簡単に赤ちゃんを育てるのに弱気になって……。せっかく私をお母さんに選んでくれた赤ちゃんに顔向けできないです。できたら両親に喜んでほしいけど、大事なのは母親としての責務を引き受けることで、反対にあっても赤ちゃんを全力で守ることですよね」
シエナの瞳に力強さが宿る。トゥーラは静かに頷いた。
「そんなに難しい問題? 最悪、母子家庭だって国の手厚い保護の下、サポート体制は万全だよ。万世の秘法に携わってる人にそんな堕ろすとか簡単に言ってほしくないな。それ聞いた瞬間、生まれ直してこいってここまで出かかったよ」
パティが厳しく諫めた。オリーブがフォローする。
「そうね、でもこれは聞きかじりだけど、初めての妊娠に動揺しない母親はいないって。それは仕方のないことなのよ。そう思って許してあげようよ」
「はーい、ごめんねシエナ」
仕方なく、パティは語気を和らげた。シエナは言った。
「ううん、そう𠮟咤激励してもらえてすごく助かる。私、変わるから、赤ちゃんのために」
「うん……!」
パティは理解を示しながら、少しシエナが羨ましくなった。
「……シエナが妊娠してるって今日わかったっていうのも、なんか運命を感じるね」
メグが仲を取り持つように言って、ミルラが無邪気に笑った。
「赤ちゃんが話題にしてほしかったんじゃないですか?」
「そうかもね!」
クリオが手を叩いて賛同する。
「是非、シエナにはブルーブリーズブランドの精神を受け継いでもらいたいよね」
オリーブが輝かしい笑顔で言うと、ぼそっとパティが言った。
「オリーブさん、後に続けですよ」
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