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第16話『観客の評価』
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いつの間にか、周りに人垣ができていた。
演奏が終わると、囃す声と熱烈な拍手が送られた。
ポールとトゥーラも惜しみない拍手を送っている。
カフェ『ビアンコ・ディアマンテ』の店長、ドミンゴ・ボアはいたく感激してキーツの手を握った。
「素晴らしい曲です! 昔懐かしのバラード進行でクリシェが効いてます。それなのに恋の曲じゃないところが青くて楽しいです。これは青春の歌ですね」
「はい、テーマは青春です」
キーツは嬉しそうに同意した。店長は何度も頷いた。
「現在の自分から少年の自分へのエール。有限の世界でも臨界を突破しようとする若いエネルギーが迸ってます。どうですか、キーツさん。小さな店ですが、ここで定期演奏会を開きませんか?」
「い、いいんですか⁈」
意外な申し出にキーツの声が上ずる。ドミンゴ店長は両手を広げてチャーミングに笑った。
「もちろんです。演奏料も弾みますよ。アマチュアなんて謙遜だ。是非、ウチの店の専属ミュージシャンになってください」
「あ、ありがとうございます!」
両手で握って、深々と頭を下げるキーツ。目には涙が光っていた。
「やったじゃんか、キーツ!」
ポールが細い骨ばった肩を揺すった。キーツがハッとして礼を言う。
「ありがとう、ポールのおかげで屋根のある場所で演奏できるよ」
「何言ってんの、これがあーたの実力ですよ。よかったぜ、歌。キーツの思いが凝縮したような作詞だったな」
「……うん!」
ポールは賑やかに歌の感想を話していた聴衆に語りかけた。
「皆さん、ミュージシャン、キーツ・エグランティーンの演奏はどうでしたか?」
人々は口々に言葉を贈った。
「最高――!」
「かっちょいいよな」
「10代の頃思い出した」
「なんか浸れた」
「古臭い感じはしなかったよな」
ポールは何度も頷いて、最後にコールした。
「定期演奏会に来てくれるかな⁈」
「いいとも――‼」
キーツは再び勢いよく頭を下げた。
「よろしくお願いします!!」
演奏が終わると、囃す声と熱烈な拍手が送られた。
ポールとトゥーラも惜しみない拍手を送っている。
カフェ『ビアンコ・ディアマンテ』の店長、ドミンゴ・ボアはいたく感激してキーツの手を握った。
「素晴らしい曲です! 昔懐かしのバラード進行でクリシェが効いてます。それなのに恋の曲じゃないところが青くて楽しいです。これは青春の歌ですね」
「はい、テーマは青春です」
キーツは嬉しそうに同意した。店長は何度も頷いた。
「現在の自分から少年の自分へのエール。有限の世界でも臨界を突破しようとする若いエネルギーが迸ってます。どうですか、キーツさん。小さな店ですが、ここで定期演奏会を開きませんか?」
「い、いいんですか⁈」
意外な申し出にキーツの声が上ずる。ドミンゴ店長は両手を広げてチャーミングに笑った。
「もちろんです。演奏料も弾みますよ。アマチュアなんて謙遜だ。是非、ウチの店の専属ミュージシャンになってください」
「あ、ありがとうございます!」
両手で握って、深々と頭を下げるキーツ。目には涙が光っていた。
「やったじゃんか、キーツ!」
ポールが細い骨ばった肩を揺すった。キーツがハッとして礼を言う。
「ありがとう、ポールのおかげで屋根のある場所で演奏できるよ」
「何言ってんの、これがあーたの実力ですよ。よかったぜ、歌。キーツの思いが凝縮したような作詞だったな」
「……うん!」
ポールは賑やかに歌の感想を話していた聴衆に語りかけた。
「皆さん、ミュージシャン、キーツ・エグランティーンの演奏はどうでしたか?」
人々は口々に言葉を贈った。
「最高――!」
「かっちょいいよな」
「10代の頃思い出した」
「なんか浸れた」
「古臭い感じはしなかったよな」
ポールは何度も頷いて、最後にコールした。
「定期演奏会に来てくれるかな⁈」
「いいとも――‼」
キーツは再び勢いよく頭を下げた。
「よろしくお願いします!!」
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