パイオニアオブエイジ~NWSかく語りき〜

どん

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第24話『トリオの休憩』

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 次に休憩に入ったのは、ポールとナタル、そしてやっと村人から解放されたキーツだった。
 キンキラキンの総スパンコールの衣裳から解放されて、キーツは気持ちよさそうに湖岸のベンチで羽を伸ばした。
「あ~、肩が凝った」
 ゴキゴキ首を鳴らすキーツに、ナタルが一言。
「お疲れさん」
「ああいう衣裳が着られるのも、歌手ならではだよね。意に反して似合ってたぜ」
「いや、ホントに肩幅にあってなくてさ、窮屈だったんだよ」
「あらま」
「でも、すごいよね。キーツの班の女性メンバー。別に採寸したわけじゃないんだろ?」
 ナタルが感心すると、キーツが目の前で手を横に振った。
「いやいや、彼女たち抜け目ないからね。お触りついでにメジャー持ってたってことも考えられるし!」
「よく我慢できるよな。俺だったら「気安く触んな」って、手くらい叩くぞ」
「メジャーデビュー目指すなら、平身低頭は基本だよ。それに、彼女たちもあれでリーダーとして立ててくれてるわけだし」
「あの有り様で?」
「ナメられているようにしか見えないだろうけど。ウチの女性メンバーはしおらしいところもあるよ。みんな結婚してないし、他に欲求のはけ口がないんじゃないかな。僕のことは年の離れた弟的ポジションから動いてないし、ちゃんと遠慮すべきことは遠慮してくれるしね」
「へぇ……知らなかったよ」
 ナタルがキーツの観察眼に感じ入る。
「まぁ、キーツがそれでいいんなら、いいんだけどさ」
 吐息とともにポールが言った。
「むしろ、リーダーの中でポジションに一番苦労してるのは、アロンだと思うよ。女子は崇拝者ばっかりだし、男子は女子に見向きもされなくていじけてるし。あれじゃアロンの実力主義なところは相当抑えないと、班に亀裂が入りかねないよ。あまり話聞いたことないけど……僕らといる時と班に指示を出してる時では人格が違うって、前に……オリーブだったかな? 聞いたことあるよ」
「アロンは知性派の上、よく気が回るから、微調整に気力割いてるんだろうなぁ。……フラストレーション溜まりそ」
 ナタルが目をつむって眉をしかめた。
「本来、姑息なことはしなくていいタイプなのにねぇ。リサのことで一揉めあったからな……自分を犠牲にしても、班実績向上のため踏ん張ってんだなぁ。うっ、健気!」
 ポールが肘を上げて目を覆う。
「それにしても、ランスさんって何気にポジション取り絶妙じゃないかい? リーダーの中でも一番年上なのに、コピー取りとか長老への連絡とか、使いっ走りみたいなことしてんのに。結局、誰からも一目置かれて」
「そういえば、そうだね……」
「あれ、二人とも知らないの? 古代の賢者の言葉にあるんだよ。『水の低きに就くが如し』っていうやつ。水が低い方に流れるように、自然の成り行きは止めようとしても止められない、ってこと。キーツの言う平身低頭にも通じる言葉だよ。ランスさんは自分を低くすることで、多くの人の心が流れて集まるようにしてるんだよ。有名な処世術なのに!」
「へーっ、知らなかった!」
「なるほどねぇ」
 ナタルとキーツはまた一つ、ポールから学んだのだった。




















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