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第24話『キーツの恋バナ』
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「いいなぁ……」
キーツがランスたちの盛り上がりを見て、コップ片手に呟いた。
ナタルが聞きつけて返した。
「えっ、ランスさんたち? そうだね……アヤさんは本当にお似合いの人だし、村の人たちのお眼鏡にも適ったみたいだし。ランスさんもきっと胸を撫で下ろしてるね」
「うん」
このパスクア村のテーマソングが出来そうだった。
「ね、結婚って楽しい?」
突然、キーツが尋ねた。
ナタルはびっくりしたが、既婚者の貫禄で言った。
「楽しいよ。毎日驚きと発見があって、生活に張り合いが生まれるし。何より一人じゃ乗り越えられないことも、二人なら解決策が見つかるし。子どもが生まれたら、この子のためならって頑張れる」
「ふぅん」
「……キーツは結婚というか、恋愛対象者はいないのかい?」
「いやぁ……僕は夢を叶えようって、そればっかりで。そっちの方面には全然ベクトル向けてないから、恋愛はものすごく下手だと思うんだよね」
「そうかな……さっき休憩中に話していた時も思ったけど、キーツは他者への眼差しがとっても優しいよね。恋愛だっておんなじだと思うよ。思いやりがなかったら恋愛じゃないもんね」
と、そこへポールが乱入してきた。
「そうそう、それは俺も意外だった。顔調ってんのにもったいねぇ、とか思ってたけど。もしかして不感症かも、と思わないこともなかったけどな」
「ヒドいなぁ……僕だって人並みに恋愛感情くらいあるよ!」
「おっ、いるんじゃん。誰?」
「ナイショ」
「ちょっと、そこまで言っといてそれはないでしょうが。とっとと白状しろ!」
「けしかけるのはよくないよ、ポール」
ナタルがたしなめると、その顔をビシッと指差すポール。
「幸せボケしたあんたじゃ、説得力ないでしょうに」
「キーツ、思いを育むのも恋愛だからね。ポールに煽られて言いたくもないのに言っちゃダメだよ」
「ケンカ売ってんの? あーん?」
ポールがナタルに絡もうとした時だった。
「……メリッサだよ」
「えっ?!」
二人がフリーズする。頭の中でその名前を反芻した。
「メリッサ・デパーシュ。ポールの班の、栗色のセミロングで八重歯のかわい子ちゃん」
「へぇーっ、そう! ふーん、なるほどメリッサちゃんっすか……さすがお目が高い!」
ポールがナタルとキーツの間に割って入る。
「相談に乗りまっせ! カーパス区出身で首都のモール勤務のハウスマヌカン。27歳、彼氏いない歴二年、ただいま婚活中の超お薦め娘とくらぁ。いいじゃん、いいじゃん! 押し切っちまえ」
「ちょ、ガチ情報はどうなの」
ナタルが驚いてポールを押さえにかかる。
じろっとキーツが睨む。
「……知ってるよ。よく友だちと僕の曲聴きに来てくれるから」
「あっ、そう……進展はしないわけ?」
「話はよく聞きなよ。彼女は僕のこと、恋愛対象に見てないんだ。歌を聴けるだけでいいんだってさ」
「いや、それ脈アリでしょ⁈」
ポールが手で突っ込む横で、ナタルが目を点にしていた。
キーツがランスたちの盛り上がりを見て、コップ片手に呟いた。
ナタルが聞きつけて返した。
「えっ、ランスさんたち? そうだね……アヤさんは本当にお似合いの人だし、村の人たちのお眼鏡にも適ったみたいだし。ランスさんもきっと胸を撫で下ろしてるね」
「うん」
このパスクア村のテーマソングが出来そうだった。
「ね、結婚って楽しい?」
突然、キーツが尋ねた。
ナタルはびっくりしたが、既婚者の貫禄で言った。
「楽しいよ。毎日驚きと発見があって、生活に張り合いが生まれるし。何より一人じゃ乗り越えられないことも、二人なら解決策が見つかるし。子どもが生まれたら、この子のためならって頑張れる」
「ふぅん」
「……キーツは結婚というか、恋愛対象者はいないのかい?」
「いやぁ……僕は夢を叶えようって、そればっかりで。そっちの方面には全然ベクトル向けてないから、恋愛はものすごく下手だと思うんだよね」
「そうかな……さっき休憩中に話していた時も思ったけど、キーツは他者への眼差しがとっても優しいよね。恋愛だっておんなじだと思うよ。思いやりがなかったら恋愛じゃないもんね」
と、そこへポールが乱入してきた。
「そうそう、それは俺も意外だった。顔調ってんのにもったいねぇ、とか思ってたけど。もしかして不感症かも、と思わないこともなかったけどな」
「ヒドいなぁ……僕だって人並みに恋愛感情くらいあるよ!」
「おっ、いるんじゃん。誰?」
「ナイショ」
「ちょっと、そこまで言っといてそれはないでしょうが。とっとと白状しろ!」
「けしかけるのはよくないよ、ポール」
ナタルがたしなめると、その顔をビシッと指差すポール。
「幸せボケしたあんたじゃ、説得力ないでしょうに」
「キーツ、思いを育むのも恋愛だからね。ポールに煽られて言いたくもないのに言っちゃダメだよ」
「ケンカ売ってんの? あーん?」
ポールがナタルに絡もうとした時だった。
「……メリッサだよ」
「えっ?!」
二人がフリーズする。頭の中でその名前を反芻した。
「メリッサ・デパーシュ。ポールの班の、栗色のセミロングで八重歯のかわい子ちゃん」
「へぇーっ、そう! ふーん、なるほどメリッサちゃんっすか……さすがお目が高い!」
ポールがナタルとキーツの間に割って入る。
「相談に乗りまっせ! カーパス区出身で首都のモール勤務のハウスマヌカン。27歳、彼氏いない歴二年、ただいま婚活中の超お薦め娘とくらぁ。いいじゃん、いいじゃん! 押し切っちまえ」
「ちょ、ガチ情報はどうなの」
ナタルが驚いてポールを押さえにかかる。
じろっとキーツが睨む。
「……知ってるよ。よく友だちと僕の曲聴きに来てくれるから」
「あっ、そう……進展はしないわけ?」
「話はよく聞きなよ。彼女は僕のこと、恋愛対象に見てないんだ。歌を聴けるだけでいいんだってさ」
「いや、それ脈アリでしょ⁈」
ポールが手で突っ込む横で、ナタルが目を点にしていた。
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