好きで好きで苦しいので、出ていこうと思います

ooo

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4話(攻め視点③)

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 トントントン

 今日は俺の最後の日。
 ガラッと扉を開け、今日の日のために綺麗に着飾った彼女の傍に駆け寄った。

「徹くん!おはよ!」

 彼女は黄色いワンピースを着ていて、髪の毛はふわふわに巻いている。

「今日、すごくかわいい」

「えへへ」と笑う彼女はいつも以上に可愛くて、愛おしかった。

 つい先日のことだった。あのお見合いの日のことを彼女に言ったのは。
 そして今日出かけるのは彼女と最後のお別れをするため。ずっと見ないふりをしてきた事実と向き合わなければ行けない時が来てしまったのだ。
 彼女はきっともう分かっているんだろう。だから担当医に無理を言って一時帰宅の許可を取ってくれた。

 ベタな一日を過ごした。

 オシャレなカフェに行き、久々に外出だと喜ぶ彼女を落ち着かせて
 人気のある水族館へ行きイルカのショーを見る
 お昼は水族館に併設されたレストランで軽くランチ
 頬張る彼女が愛おしい。
 ディナーまで時間があったから彼女をショッピングモールに連れてきた。
 彼女が入院する前はよく2人で来ていたところだ。

 あぁ、なんでこんなにも時間の流れが早い。

 彼女との時間を楽しもうとすればするほど、彼女を愛おしく思えば思うほど、ダメだと分かっていても時間が止まればいいのにと願ってしまう。

 時計の針は18時を指していて、彼女の携帯は鳴り止まない。

「徹くん、お別れなんだね」

 彼女はワンピースの裾をぎゅっと握りながら言った。

 何を言っても後悔してしまいそうで何もいえずただ彼女を見つめることしか出来ない。

「婚約者が徹くんでよかった。2人別々になるけど、私ずっと忘れない」

 短い人生で短い1日が終わる。
 俺も彼女が婚約者で良かった、心からそう思う。

「俺も、」

「俺も忘れない」そう、言いかけた時だった。彼女の右手が、細い指は口に触れる。

「恨んでないよ、大好きだよ。だから忘れて。」

 彼女の指は震えている。大きい瞳に涙も溜まっている。

 忘れられるのか、彼女のことを。最愛の人を。ずっと守ると誓った相手を。
 視界がぼやける。喉の奥がツンとして、目に力が入る。
 泣いているのだ。彼女が好きで、どうしようもなくて、やるせなくて。

 彼女の手を取る。そっと握った。
 壊れないように、壊れないように。

「俺は、ちゃんと今を見るよ。」

 俺がそう言うと彼女は笑った。

 大好きだったよ。今までありがとう。

 そんな思いを込めて、最後に本当に最後に、彼女とギュッと抱きしめあった。


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攻め▶︎七篠徹 ななしの とおる
受け▶︎九条叶人 くじょう かなと

名前出てきてなかった気がするので即興で決めました
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