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さて、そうと決まれば準備をしなくては。

家に帰ってくるや否や、早速明日の準備に取り掛かった。

前もってお芝居を見に行く用に、服は準備していた。

その服に合わせて用意しておいた鞄に大事な乗車券を入れ替える。

そうだ、そうだ。

カメラを持って行かなくちゃ。

こちらに引っ越してきてから、孫の写真を撮り溜めようと買ったデジタルカメラを引出しから取り出す。

電子機器にはそれほど強くはないが、デジカメくらいであれば使える。

ボタン1つで撮影できるし、失敗してもすぐ撮り直すことができる利点が気に入って、使い方をマスターしたのだった。

覚えてしまえば操作は簡単で、今や娘よりも使いこなせている。

このカメラを持ってベジタブルランドへ行くのだ。

夫が叶えられなかった夢を叶えに。

年甲斐もなくワクワクしてきた気持ちをどうにか抑えて、今日はいつもより早めに床についた。

翌朝、天気は快晴だった。

起き上がってカーテンを開けた時の雲1つない空色が私を幸せな気分にしてくれる。

思えば出かける時にそれほど天気を気にしたことがないくらい、私は晴れ人間だった。

旅行に出かけた時も、雨具の用意を忘れたことを旅行を終えて帰ってきてから気づくほどだ。

ただ、今日は晴れであって欲しいと願っていた。

1人で遠出をするのは初めてだし、天気が悪くても不満を言い合える相手もいない。

なので、この快晴が私には本当にありがたかった。
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