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第3話
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「外国へはいつ?」
「明日です」
「明日?」
「善は急げ、ですから。告白の結果がどうであれ、向こうで仕事を探そうと思っています」
「一応留学経験もありますし、向こうの生活には慣れているので、薄々向こうでの生活を考えていたんです」
そう言って、女性は微笑んだ。
外国か。
英語が嫌いな僕には外国なんて未知の世界だから、実感がわかない。
「頑張って下さい。仕事も恋も」
とりあえず、僕にはこれしか言えなかった。
数多く言葉を掛けても、無駄になるような気がした。
「あ、忘れるところでした」
女性は突然何かを思い出し、バッグの中から何かを取り出した。
そしてそれをおもむろに僕に手渡した。
これは…花柄のハンカチだ。
「これをあなたに持っていて欲しいんです」
「これは彼から貰った大切なものじゃないですか。受け取れません」
「いいえ、あなたに持っていてもらいたいんです」
このハンカチを?
僕が?
一体何の為に?
「これのおかげで、私は彼に出会う事ができました。だからせめて、きっかけを作ってくれたあなたに持っていて欲しいんです」
「でも…これがまた彼と向こうで出会えるきっかけになるかもしれませんよ。彼の連絡先、知ってるんですか?」
「いいえ、大体の地名しか聞いていないので知りません」
「だったら持っていかないと」
「いいえ、今度は自分が積極的に動いて、彼と出会ってみせたいんです。自分の力を信じたいんです」
「今までは消極的過ぎでした。積極的に会おうとしなければ、出会える確率なんてないに等しいのに、ハンカチに偶然を期待したりなんかして」
「………」
「でもこれが私にこういう考えを持たせるきっかけになった事に違いはないから、あの日の偶然も結果的に良かったと思っています」
「これを糧に、これからは自分で未来を変えていこうと思います」
「…何かすごいですね。そういう前向きな考えができるようになるって」
「だから、それはあなたのおかげでもあるんですよ」
「記念にこのハンカチ、受け取って下さい。私のワガママですけど、お願いします」
ここまで言われて受け取らなければ、僕は最低男だ。
僕は返した時同様、両手でハンカチを受け取った。
「明日です」
「明日?」
「善は急げ、ですから。告白の結果がどうであれ、向こうで仕事を探そうと思っています」
「一応留学経験もありますし、向こうの生活には慣れているので、薄々向こうでの生活を考えていたんです」
そう言って、女性は微笑んだ。
外国か。
英語が嫌いな僕には外国なんて未知の世界だから、実感がわかない。
「頑張って下さい。仕事も恋も」
とりあえず、僕にはこれしか言えなかった。
数多く言葉を掛けても、無駄になるような気がした。
「あ、忘れるところでした」
女性は突然何かを思い出し、バッグの中から何かを取り出した。
そしてそれをおもむろに僕に手渡した。
これは…花柄のハンカチだ。
「これをあなたに持っていて欲しいんです」
「これは彼から貰った大切なものじゃないですか。受け取れません」
「いいえ、あなたに持っていてもらいたいんです」
このハンカチを?
僕が?
一体何の為に?
「これのおかげで、私は彼に出会う事ができました。だからせめて、きっかけを作ってくれたあなたに持っていて欲しいんです」
「でも…これがまた彼と向こうで出会えるきっかけになるかもしれませんよ。彼の連絡先、知ってるんですか?」
「いいえ、大体の地名しか聞いていないので知りません」
「だったら持っていかないと」
「いいえ、今度は自分が積極的に動いて、彼と出会ってみせたいんです。自分の力を信じたいんです」
「今までは消極的過ぎでした。積極的に会おうとしなければ、出会える確率なんてないに等しいのに、ハンカチに偶然を期待したりなんかして」
「………」
「でもこれが私にこういう考えを持たせるきっかけになった事に違いはないから、あの日の偶然も結果的に良かったと思っています」
「これを糧に、これからは自分で未来を変えていこうと思います」
「…何かすごいですね。そういう前向きな考えができるようになるって」
「だから、それはあなたのおかげでもあるんですよ」
「記念にこのハンカチ、受け取って下さい。私のワガママですけど、お願いします」
ここまで言われて受け取らなければ、僕は最低男だ。
僕は返した時同様、両手でハンカチを受け取った。
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