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3.不器用で器用なあの子
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何なら覗いている茉と目が合って、出たー!なんて騒ぎ出しそうだ。
そうなると、それはそれでうるさい。
「どうしても様子が知りたかったら声を盗み聞きするに留めてくれ」
「何でよ」
それは兄キが茉と顔を合わせたらギャーギャーうるさいからだ、とは言えない。
「兄キとクスミは一応カップルになったんだ。邪魔しないでやってくれよ」
言いながら自分で言った言葉を疑いたくなってくる。
兄キとクスミって、一応恋人なんだよな?
全然そんなふうに見えないけど。
兄キはクスミというか、クスミの周りにあるNキャラしか眼中になさそうだけど。
それでもまぁクスミが兄キに好意を抱いていることは間違いないし、兄キもそんなクスミに付き合っているわけだから恋人で間違いないのだろう。
ないのだろうけど、言葉にすると何か変な感じだ。
「そっかー。そういえばそうよね。2人は恋人だもんね」
茉も2人の関係を認めると、急に物わかりが良くなった。
「じゃあ盗み聞きで我慢する」
おい!
会話は盗み聞きするんかい!
まぁ部屋を覗き見しようとするのをやめさせただけでも快挙だ。
これは兄キに後でジュースの1本でもおごってもらわねばなるまい。
さて、兄キの部屋は廊下に出て1番奥だ。
ここから少し距離はあるが、兄キはでかい声で話すから耳をすませる必要はない。
クスミは・・・少し小さいが、部屋のドアが完全に閉まっていないせいで、こちらが無言であればかろうじて聞こえるレベルだ。
「うおー、Nキャラじゃんこれー!!」
急に兄キの叫び声が聞こえて、オレと茉は顔を見合わせた。
あれだ、卵の上に描いたケチャップNキャラのことを言っている。
「はい。好きな絵を描いていいと言われたのでNキャラしか頭に浮かびませんでした」
マジかよ。
そんなにクスミの日常はNキャラで埋め尽くされているのか?
休憩時間に描いていると言って見せられたNキャラぎっしりのノートを思い出す。
Nキャラ以外は何も描いていなかったノート。
Nキャラのことしか考えられずにNキャラばかり描かれていたノート。
あれはクスミの頭の中の光景なのか。
恐るべし、ファン魂。
「ケチャップでよくこんな細かく描けたなぁ」
兄キはやたらケチャップNキャラのことを褒めている。
それほど着目していなかったが、そんな上出来だったか?
どうせ食べてなくなるんだから、気にしないで早く食べたらいいのに。
「おっ、お決まりの でよ ってのもそこに描いてあるじゃん。すげーな」
兄キの部屋から聞こえてくるのはひたすらNキャラを褒める言葉だけで、なかなか味の感想が出てこない。
「早く食べなさいよ」
痺れを切らして茉がボソッと言った。
全くだ。
兄キの横にいればオレもすかさず突っ込みを入れているだろう。
Nキャラにこだわりすぎなんだよ、2人とも。
「おい、ちょっと待ってくれ。これ携帯の待ち受け画面にするから写真撮っとくわ」
「え!?」
兄キの待ち受け発言に、茉は得体のしれない物を見るかのような顔つきになった。
「何か写真に撮るみたいなこと言ってるわよ?気持ち悪っ」
「・・・・・・・・・」
茉の反応は正しい。
眠くなるくらい正しい。
でもこんなことが日常茶飯事だから、オレはもうそれが当たり前のようになっていて、茉のような反応を取ることすらできなくなってしまった。
それほど2人のNキャラ熱はすごいということだ。
多分それをエネルギー化したら、お風呂の湯1週間分くらいは沸かせそうだ。
そうなると、それはそれでうるさい。
「どうしても様子が知りたかったら声を盗み聞きするに留めてくれ」
「何でよ」
それは兄キが茉と顔を合わせたらギャーギャーうるさいからだ、とは言えない。
「兄キとクスミは一応カップルになったんだ。邪魔しないでやってくれよ」
言いながら自分で言った言葉を疑いたくなってくる。
兄キとクスミって、一応恋人なんだよな?
全然そんなふうに見えないけど。
兄キはクスミというか、クスミの周りにあるNキャラしか眼中になさそうだけど。
それでもまぁクスミが兄キに好意を抱いていることは間違いないし、兄キもそんなクスミに付き合っているわけだから恋人で間違いないのだろう。
ないのだろうけど、言葉にすると何か変な感じだ。
「そっかー。そういえばそうよね。2人は恋人だもんね」
茉も2人の関係を認めると、急に物わかりが良くなった。
「じゃあ盗み聞きで我慢する」
おい!
会話は盗み聞きするんかい!
まぁ部屋を覗き見しようとするのをやめさせただけでも快挙だ。
これは兄キに後でジュースの1本でもおごってもらわねばなるまい。
さて、兄キの部屋は廊下に出て1番奥だ。
ここから少し距離はあるが、兄キはでかい声で話すから耳をすませる必要はない。
クスミは・・・少し小さいが、部屋のドアが完全に閉まっていないせいで、こちらが無言であればかろうじて聞こえるレベルだ。
「うおー、Nキャラじゃんこれー!!」
急に兄キの叫び声が聞こえて、オレと茉は顔を見合わせた。
あれだ、卵の上に描いたケチャップNキャラのことを言っている。
「はい。好きな絵を描いていいと言われたのでNキャラしか頭に浮かびませんでした」
マジかよ。
そんなにクスミの日常はNキャラで埋め尽くされているのか?
休憩時間に描いていると言って見せられたNキャラぎっしりのノートを思い出す。
Nキャラ以外は何も描いていなかったノート。
Nキャラのことしか考えられずにNキャラばかり描かれていたノート。
あれはクスミの頭の中の光景なのか。
恐るべし、ファン魂。
「ケチャップでよくこんな細かく描けたなぁ」
兄キはやたらケチャップNキャラのことを褒めている。
それほど着目していなかったが、そんな上出来だったか?
どうせ食べてなくなるんだから、気にしないで早く食べたらいいのに。
「おっ、お決まりの でよ ってのもそこに描いてあるじゃん。すげーな」
兄キの部屋から聞こえてくるのはひたすらNキャラを褒める言葉だけで、なかなか味の感想が出てこない。
「早く食べなさいよ」
痺れを切らして茉がボソッと言った。
全くだ。
兄キの横にいればオレもすかさず突っ込みを入れているだろう。
Nキャラにこだわりすぎなんだよ、2人とも。
「おい、ちょっと待ってくれ。これ携帯の待ち受け画面にするから写真撮っとくわ」
「え!?」
兄キの待ち受け発言に、茉は得体のしれない物を見るかのような顔つきになった。
「何か写真に撮るみたいなこと言ってるわよ?気持ち悪っ」
「・・・・・・・・・」
茉の反応は正しい。
眠くなるくらい正しい。
でもこんなことが日常茶飯事だから、オレはもうそれが当たり前のようになっていて、茉のような反応を取ることすらできなくなってしまった。
それほど2人のNキャラ熱はすごいということだ。
多分それをエネルギー化したら、お風呂の湯1週間分くらいは沸かせそうだ。
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