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5.メデューサの呪い

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オレは諦めて弁当箱を目の前に置いた。

ご丁寧に使い捨てではない通常の弁当箱だ。

これは食べたら洗って返せということか?

使い棄ての容器であれば気兼ねなく済むものを。

今流行のSDGsってやつか。

溜息をつきながら弁当箱の蓋を開ける。

中にはオムライスが1つ、ドンと構えていた。

「おお、オムライスか」

横から父ちゃんが弁当箱を覗き込みながら言った。

何となく想像はついた。

なぜなら茉はオレにオムライス以外作ったことがない。

他にも作れるらしいが、オレはここ最近、昼食は茉のオムライスばかりだ。

オムライスは好物だから毎日食べても飽きないのだが、目の前で寿司など別のメニューを見てしまうと心は揺らぐ。

「父ちゃん、オムライスと寿司、代えてあげようか?」

父ちゃんのオムライスを見る目が食べたいと言っているように見えたので、とりあえず提案してみた。

オムライスは何度も食べたので、やはりオレは寿司が捨てがたい。

「まさか、そんな一真の彼女が作ったものを奪えるわけがないだろう」

「彼女じゃねーよ」

「彼女でもないのにわざわざ休みにオムライスを作ってくるやつがいるわけないだろう」

「いや、いるじゃん。現に」

オレは茉を彼女にした覚えは1度もない。

付き合ってと言われたこともなければ自分から付き合おうなんてまさか言うはずがない。

相手は茉だ。

茉をそんな目で見ていない。

「一真はわかってないわねぇ」

オレと父ちゃんのやり取りを見ながら母ちゃんは溜息をついた。

「そうだ。一真はわかっていない」

兄キも母ちゃんと同じように溜息をついた。

何なんだ、一体。

「お前、呪いのターゲットにされたんだよ。メデューサって1人のキャラに同じ攻撃ばっかりしてくるだろ?だからこれは・・・オムライス攻撃だ」

「その攻撃を受けてオレはどんなダメージを受けるんだ」

「茉のオムライスしか食べたくなくなる。そして飢える」

「大丈夫だ。オレは今、寿司が食べたい」

「徐々になるんだよ。年が明けたら一真はジ・エンドだ」

何だその不吉な年の終わりは。

オレは茉のオムライスで呪われてやられるのか。

「な?そういうことだよな?母ちゃん」

「そうねぇ」

母ちゃんのさっきの言葉は絶対そういうことじゃなさそうなのに、なぜか否定せずずっと微笑んでいた。
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