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6.魔の弁当箱
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年が明けて、クスミから届いた年賀状にはNキャラがいっぱい散らばっていた。
まず年賀状にNキャラのスタンプをいっぱい押しまくったのだろう。
その上に挨拶文が書いてあった。
ザコキャラのスタンプが市販されているとは思えない。
ましてやNキャラだし。
これはきっとクスミの手作りスタンプに違いない。
クスミは手先が器用には見えないが器用なので、Nキャラが関連するものを作るとなると、お茶の子さいさいなのだろう。
年末年始はさすがにお互いの両親が家にいるし、Nキャラにまつわるテレビ番組もないので、兄キは家でゴロゴロしていた。
しかし仕事初めで両親が出ていくと、それに合わせるように冬休みアニメ祭りも復活し、兄キはクスミ家に出向いていった。
ちなみにそのゴロゴロしているうちに勝手にオレの部屋に入って宿題を丸写ししていた兄キは、オレの苦労を知らない。
どうしても年内に嫌なことを終わらせたかったオレは茉の邪魔が入ったせいで大晦日の日まで宿題をやらされる羽目になったのだ。
おかげで紅白歌合戦の前半部分を見逃した。
あれは前半に若者が楽しめるような順番になっているのに。
何が悲しくて演歌から聞き入れなければならないのだ。
全ては茉のせいだ。
茉のオムライスが恋しくなるという兄キが言っていた呪いには幸いかからなかったが、何か別の呪いにはかかっているような気がする。
そんな茉は年が明けると、ピタッとこの家には近寄らなくなった。
本来約束もしていないのにここに来るのがおかしな話だったのだが、前例があるので年が明けると少し不安はあった。
しかしそれも取り越し苦労に終わり、無事に今日始業式を迎えた。
「はぁ~、今回の冬休みはNキャラ溜めが十分できたな」
「Nキャラ溜めって何だよ」
「寝溜めのNキャラバージョンだろ。わかれよ」
年明け早々、Nキャラのことで怒られてしまった。
相変わらずNキャラのことになると兄キは熱い。
というか、ウザい。
「それにしても一真、何か荷物多くないか?」
兄キはオレの方を一瞥して言った。
オレは筆記用具等を入れたリュック以外に紙袋を手にしている。
中には茉が年末、強引にオレに手渡して去った弁当の箱が入っているのだ。
食べた後、母ちゃんは自分が貰ったんだから、と洗ってすらくれなかった。
だからオレはわざわざこれを洗うという無駄な労力を費やした。
おかげでオレの指にあかぎれができている。
「お前、始業式みたいな半日の日に手荷物有りって・・・」
兄キはそう言って笑い始めた。
何がそんなにおかしいのか、オレにはわからない。
「部活やってるわけでもないのに手荷物有りって・・・」
終いには呼吸が苦しくなるくらいひーひー笑いだした。
「そんなにこの光景が面白いか?」
「だって小学校の終業式に荷物いっぱい持ってるやつみたい・・・」
「あれは持って帰らないといけない物を最終日まで持ち越した結果だろ。しかもそれ、兄キだし」
そうだ、思い出した。
兄キは担任の先生が分担して持って帰りなさいと言った荷物を終業式まで持って帰らず、当日を迎えてからオレに泣きついてきたのだった。
オレはもちろん、自分の荷物は早々と持ち帰っていたので、手さげ袋1つの軽装備だったが、兄キにはとても1人では持ちきれないほどの荷物が取り残されていた。
いとこのよしみで仕方なく手伝ってやったが、1番重くて持ちづらいあさがおの鉢を渡された時はそれをそのままぶん投げてやろうかと思ったほどだ。
次回からはオレが口を酸っぱくしながら荷物を持ち帰らせていたからこんな惨事は1回切りで済んだが。
このやろう、あの時の感謝の言葉でも出たら懐かしのお笑いエピソードで済んだものを、自分が迷惑をかけたことも忘れて笑ってやがる。
許せない。
まず年賀状にNキャラのスタンプをいっぱい押しまくったのだろう。
その上に挨拶文が書いてあった。
ザコキャラのスタンプが市販されているとは思えない。
ましてやNキャラだし。
これはきっとクスミの手作りスタンプに違いない。
クスミは手先が器用には見えないが器用なので、Nキャラが関連するものを作るとなると、お茶の子さいさいなのだろう。
年末年始はさすがにお互いの両親が家にいるし、Nキャラにまつわるテレビ番組もないので、兄キは家でゴロゴロしていた。
しかし仕事初めで両親が出ていくと、それに合わせるように冬休みアニメ祭りも復活し、兄キはクスミ家に出向いていった。
ちなみにそのゴロゴロしているうちに勝手にオレの部屋に入って宿題を丸写ししていた兄キは、オレの苦労を知らない。
どうしても年内に嫌なことを終わらせたかったオレは茉の邪魔が入ったせいで大晦日の日まで宿題をやらされる羽目になったのだ。
おかげで紅白歌合戦の前半部分を見逃した。
あれは前半に若者が楽しめるような順番になっているのに。
何が悲しくて演歌から聞き入れなければならないのだ。
全ては茉のせいだ。
茉のオムライスが恋しくなるという兄キが言っていた呪いには幸いかからなかったが、何か別の呪いにはかかっているような気がする。
そんな茉は年が明けると、ピタッとこの家には近寄らなくなった。
本来約束もしていないのにここに来るのがおかしな話だったのだが、前例があるので年が明けると少し不安はあった。
しかしそれも取り越し苦労に終わり、無事に今日始業式を迎えた。
「はぁ~、今回の冬休みはNキャラ溜めが十分できたな」
「Nキャラ溜めって何だよ」
「寝溜めのNキャラバージョンだろ。わかれよ」
年明け早々、Nキャラのことで怒られてしまった。
相変わらずNキャラのことになると兄キは熱い。
というか、ウザい。
「それにしても一真、何か荷物多くないか?」
兄キはオレの方を一瞥して言った。
オレは筆記用具等を入れたリュック以外に紙袋を手にしている。
中には茉が年末、強引にオレに手渡して去った弁当の箱が入っているのだ。
食べた後、母ちゃんは自分が貰ったんだから、と洗ってすらくれなかった。
だからオレはわざわざこれを洗うという無駄な労力を費やした。
おかげでオレの指にあかぎれができている。
「お前、始業式みたいな半日の日に手荷物有りって・・・」
兄キはそう言って笑い始めた。
何がそんなにおかしいのか、オレにはわからない。
「部活やってるわけでもないのに手荷物有りって・・・」
終いには呼吸が苦しくなるくらいひーひー笑いだした。
「そんなにこの光景が面白いか?」
「だって小学校の終業式に荷物いっぱい持ってるやつみたい・・・」
「あれは持って帰らないといけない物を最終日まで持ち越した結果だろ。しかもそれ、兄キだし」
そうだ、思い出した。
兄キは担任の先生が分担して持って帰りなさいと言った荷物を終業式まで持って帰らず、当日を迎えてからオレに泣きついてきたのだった。
オレはもちろん、自分の荷物は早々と持ち帰っていたので、手さげ袋1つの軽装備だったが、兄キにはとても1人では持ちきれないほどの荷物が取り残されていた。
いとこのよしみで仕方なく手伝ってやったが、1番重くて持ちづらいあさがおの鉢を渡された時はそれをそのままぶん投げてやろうかと思ったほどだ。
次回からはオレが口を酸っぱくしながら荷物を持ち帰らせていたからこんな惨事は1回切りで済んだが。
このやろう、あの時の感謝の言葉でも出たら懐かしのお笑いエピソードで済んだものを、自分が迷惑をかけたことも忘れて笑ってやがる。
許せない。
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