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7.ロックオン
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そして翌日。
高校生の1日は早い。
途中、何もなかったかのように時間は過ぎ、あっという間に昼食の時間だ。
「カズマー」
またもや4時間目の英語教師が出ていって間もなく、茉が声を上げながら現れた。
それは昨日の時点でわかっていたから構わないのだが、あろうことか茉はそのまま教室に入ってきて、オレの机の真ん前までやってきたのだ。
昼休憩が始まったばかりだから昨日と同様、教室の中にはクラスメイトが残っていて、オレと茉は注目の的となった。
しまった!
昨日と同じように茉が現れた時点で廊下に出たら良かった。
しかし茉はオレの名を呼びながら、元々そうするつもりであったかのように教室の中に入り込んできていたし、オレが動いても廊下で留まっていなかったような気はするが。
「はい、お待ちかね」
茉はそう言いながら例のポリ袋を机の上に置いた。
中には昨日リクエストをしたオムリッチが入っていると思われる。
「サンキュー。この年でオムリッチ食えると思ってなかったわ」
「大げさね。そんなに高くないでしょ」
「昼食に1000円以上は高校生にとっては贅沢だ」
そもそもえぬたまで食べられるオムライスは500円で腹一杯になるし。
なのであえて1000円以上出してオムリッチを選択することはない。
憧れではあるが。
「確かに高校生がオムリッチをオーダーすることはなかったかな」
茉はバイト時代を思い出して発言しながら、もう1つ手にしていたトートバッグを机に置いた。
そして周りを見回して、オレたちが話しているうちに出ていったクラスメイトの席から椅子を持ってきてオレの目の前に座った。
え?
何だこれ?
「・・・何してんの?」
「何って、お昼ご飯食べるんだけど」
茉は当たり前のように答える。
いやいや待て待て。
おかしいだろう、それは。
「自分の教室に戻って食べろよ」
「何でよ。どこで食べてもいいじゃない」
「良くねえよ。ここで兄キとクスミも食べるんだから狭いだろ」
「あの2人ならあそこで食べてるじゃない」
「え?」
オレは茉が指差した先を見る。
そこにはクスミの席で昼食を食べ始めているクスミと兄キがいる。
おい!
何でいつもここに来るのに今日は来ないんだ。
オレは席を立って2人の元へ近寄った。
「おい!!」
オレが声をかけると、クスミだけが反応を見せた。
兄キは変わらず食べ続けている。
「何でお前たちここで食べているんだ」
「何で、って決まってるだろう。お前の席、メデューサがいるじゃないか」
やはりオレの席に近寄ってこなかったのはそういう理由か。
「あいつが勝手に座ってきたんだ。いつも通り、オレの席で食べろよ」
「嫌だよ。何でメデューサとお昼を共にしなきゃいけないんだ」
「それはオレのセリフだ。何であいつと2人で食べないといけないんだ」
「一真はターゲットにされたんだから仕方ないだろ?」
「そんなバカげた理由があるか」
オレはオムリッチをリクエストしただけだ。
それがどうしてあいつと食べないといけなくなっているんだ。
「ユノモトくん、戻らないとメデューさんがこちらを見てます」
「何っ!?まずい。クスミっち!絶対目合わせるなよ?石にされちまう!オレこの前されたし」
それは防衛反応で自ら勝手に石になったんだろう。
「一真、早く戻れよ。あいつがこっちに来たらややこしいだろ」
「兄キたちも一緒に来てくれよ。2人きりで食べたくない」
「ダメだ。オレたち2人の時間を邪魔するな」
「うっ」
そう言われたら何も言い返せない。
2人は何を隠そう恋人同士なのだ。
急にそれをアピールしてくるなんて。
高校生の1日は早い。
途中、何もなかったかのように時間は過ぎ、あっという間に昼食の時間だ。
「カズマー」
またもや4時間目の英語教師が出ていって間もなく、茉が声を上げながら現れた。
それは昨日の時点でわかっていたから構わないのだが、あろうことか茉はそのまま教室に入ってきて、オレの机の真ん前までやってきたのだ。
昼休憩が始まったばかりだから昨日と同様、教室の中にはクラスメイトが残っていて、オレと茉は注目の的となった。
しまった!
昨日と同じように茉が現れた時点で廊下に出たら良かった。
しかし茉はオレの名を呼びながら、元々そうするつもりであったかのように教室の中に入り込んできていたし、オレが動いても廊下で留まっていなかったような気はするが。
「はい、お待ちかね」
茉はそう言いながら例のポリ袋を机の上に置いた。
中には昨日リクエストをしたオムリッチが入っていると思われる。
「サンキュー。この年でオムリッチ食えると思ってなかったわ」
「大げさね。そんなに高くないでしょ」
「昼食に1000円以上は高校生にとっては贅沢だ」
そもそもえぬたまで食べられるオムライスは500円で腹一杯になるし。
なのであえて1000円以上出してオムリッチを選択することはない。
憧れではあるが。
「確かに高校生がオムリッチをオーダーすることはなかったかな」
茉はバイト時代を思い出して発言しながら、もう1つ手にしていたトートバッグを机に置いた。
そして周りを見回して、オレたちが話しているうちに出ていったクラスメイトの席から椅子を持ってきてオレの目の前に座った。
え?
何だこれ?
「・・・何してんの?」
「何って、お昼ご飯食べるんだけど」
茉は当たり前のように答える。
いやいや待て待て。
おかしいだろう、それは。
「自分の教室に戻って食べろよ」
「何でよ。どこで食べてもいいじゃない」
「良くねえよ。ここで兄キとクスミも食べるんだから狭いだろ」
「あの2人ならあそこで食べてるじゃない」
「え?」
オレは茉が指差した先を見る。
そこにはクスミの席で昼食を食べ始めているクスミと兄キがいる。
おい!
何でいつもここに来るのに今日は来ないんだ。
オレは席を立って2人の元へ近寄った。
「おい!!」
オレが声をかけると、クスミだけが反応を見せた。
兄キは変わらず食べ続けている。
「何でお前たちここで食べているんだ」
「何で、って決まってるだろう。お前の席、メデューサがいるじゃないか」
やはりオレの席に近寄ってこなかったのはそういう理由か。
「あいつが勝手に座ってきたんだ。いつも通り、オレの席で食べろよ」
「嫌だよ。何でメデューサとお昼を共にしなきゃいけないんだ」
「それはオレのセリフだ。何であいつと2人で食べないといけないんだ」
「一真はターゲットにされたんだから仕方ないだろ?」
「そんなバカげた理由があるか」
オレはオムリッチをリクエストしただけだ。
それがどうしてあいつと食べないといけなくなっているんだ。
「ユノモトくん、戻らないとメデューさんがこちらを見てます」
「何っ!?まずい。クスミっち!絶対目合わせるなよ?石にされちまう!オレこの前されたし」
それは防衛反応で自ら勝手に石になったんだろう。
「一真、早く戻れよ。あいつがこっちに来たらややこしいだろ」
「兄キたちも一緒に来てくれよ。2人きりで食べたくない」
「ダメだ。オレたち2人の時間を邪魔するな」
「うっ」
そう言われたら何も言い返せない。
2人は何を隠そう恋人同士なのだ。
急にそれをアピールしてくるなんて。
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