*いにしえのコトノハ*9 苦くて、甘くて、時々しょっぱい

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「無理無理無理無理。コンビニなんてぼくには無理です」

ブンブンと顔を振って否定する。

そこまで振って何ともないということは、頭痛はすっかり治ったらしい。

「無理って決めつけるなよ」

「いや、無理ですって。コンビニってレジ以外にも品出しとか冬はおでんとかも出してるし、レンジで温めるか聞かなきゃだし、公共料金の対応もあるし、宅配便も取り扱ってますよね?」

「あぁ、一通り何でもそろってるのがコンビニの魅力だからな」

「そんなにたくさんのこと、ぼくできませんって。足手まといになって終わりです」

「だったら余計にチャンスじゃん。そのまま社会人になって就職した時そのレベルから始めるのと、今からそういう経験積んでおいてレベル5くらいから始めるのと全然違うし」

でも・・・とコブラの顔が曇る。

どうしてこいつはこんなネガティブな考えなのだろう。

過去に何かトラウマでもあるのか。

「オレはコンビニは最高だと思ってるよ。さっきコブラが言ったような仕事がいっぱいあるし、1つの職場でこんないろんな体験ができるって珍しいだろ?まあ仕事量に対して時給は割が合わないと思うこともあるけど、店長が優しいからそういうの気にならないし」

「店長、優しい方なんですか」

「仏みたいな人だよ。オレだって最初は全然仕事できなくて、飲み物と本を一緒に袋に入れて客に怒られたこともあるし、電子マネーのレジ打ちに戸惑って長蛇の列作ったことあるし。コンビニだぜ?スーパーじゃないっつーの」

オレが面白おかしく言うと、コブラがプッと吹き出した。

「他にも失敗はあるけど店長は本っ当ーに良い人で、何があっても最後は良い経験できて良かったじゃない、で締めてくれる。失敗は成功のもとって教えてくれる。こういう考えの人だから頑張ろうって思えるし、時給が低くても目をつぶれる。やっぱり良い人が一緒だと働きやすいよ」

かくいうオレも最初はコンビニでバイトなんて嫌だった。

いろんなことをしなくちゃいけないし、時給もそれほど高くない。

それでもここを選んだのは、1度ここで買い物をした時にたまたまバイトが失敗しているところに出くわして、店長が優しく慰めているのを見たからだ。

客がいる手前、そうしているだけかと思ったが、オレが店を出てからも優しく接していて、あんな人と一緒だったらオレも安心すると思った。
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