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一口飲んだところで携帯の通知音が鳴った。
ワッキーが新たに何かを送ってきてくれたようだ。
確認すると、昼食の光景が写っていた。
向こうも昼食タイムだったのだろう。
「旅行って・・・どこに行かれる予定だったんですか?」
画像を確認しているオレに躊躇しながらコブラが尋ねてくる。
未練があることをコブラに悟られてはいけない。
つとめて明るく答えた。
「四国だよ」
「四国だったんですか!ぼく高知県出身です」
「おぉ、高知県民だったのか」
高知県も四国の一部なので、もちろん今回の旅行ルートの1つだった。
コブラは話し方も普通で、なまりなどがないから出身地は全く読めていなかった。
「高知のどの辺りに行く予定だったんですか?」
「お、ちょっと待ってくれ」
オレは旅行鞄から旅のルートが書かれたしおりを探し出した。
旅のしおりを作成するのは、このグループのお決まりにしている。
修学旅行みたいでテンションが上がるのだ。
それを見ながらコブラに今回の旅行について説明をした。
話しているうちに少し後悔がよみがえってきたりもしたが、何とか平常心を取り戻した。
いつまでも未練がましく思っていてはコブラにも悪い。
コブラは入学してもサークルには興味がなく、「トリップ47」のサークル名も知らなかった。
しかしオレの話を聞いているうちに少しずつ興味が出てきたようだ。
「面白そうなサークルですね。旅行と聞けばただの遊びですけど、社会見学なら学びですもんね」
「社会見学って小学校の時を思い出す単語だなぁ」
「その地域について学ぶ目的もあるんですよね?だったら立派な社会見学です。楽しんで学べて、一石二鳥ですね」
「興味持ったか?コブラも入れよ。定員なんてないから、参加はいつでも大歓迎だ」
「でも・・・」
コブラの顔が少し曇る。
「旅行できるほどお金に余裕はないです」
「だーかーら、オレと同じバイト紹介してやる、って」
「えぇー、コンビニですかー」
と言いつつ、最初の時よりは否定的な気持ちが薄くなってきている。
仕事の内容には不安が残るだろうが、店長はとても良い人という情報が心を迷わせているのだろう。
こういう時はもう一押しすればふっ切れる。
だいたい「無理」だった状態が曖昧になったら、気持ちは既に「無理じゃないかも」に傾いている。
これが完全な「無理じゃない」になるために、何かきっかけが欲しいものなのだ。
そしてそれは他人によって簡単に乗り越えられる。
「一人前になるまで、オレが面倒見てやるよ」
そう言うと、コブラも踏ん切りがついたようで、コンビニバイトに意欲を示した。
「ではよろしくお願いします。何から何までありがとうございます」
「サークルもお金が溜まったら考えといてくれよな」
「はい。面白そうなので、ぜひ検討します」
それからはトリップ47というサークルがどういうもので、今までどういう活動をしてきたかを説明し、お互い今後どこに行きたいかという話で盛り上がった。
今日出会ったばかりというのが嘘のように打ち解けていた。
もはやさっきまでコブラが体調不良であったことなど、微塵も感じないくらいコブラはよく話し、よく笑っていた。
元気を取り戻せたのはとても良いことだ。
とりあえずオレの選択は間違っていなかったと納得することにした。
ワッキーが新たに何かを送ってきてくれたようだ。
確認すると、昼食の光景が写っていた。
向こうも昼食タイムだったのだろう。
「旅行って・・・どこに行かれる予定だったんですか?」
画像を確認しているオレに躊躇しながらコブラが尋ねてくる。
未練があることをコブラに悟られてはいけない。
つとめて明るく答えた。
「四国だよ」
「四国だったんですか!ぼく高知県出身です」
「おぉ、高知県民だったのか」
高知県も四国の一部なので、もちろん今回の旅行ルートの1つだった。
コブラは話し方も普通で、なまりなどがないから出身地は全く読めていなかった。
「高知のどの辺りに行く予定だったんですか?」
「お、ちょっと待ってくれ」
オレは旅行鞄から旅のルートが書かれたしおりを探し出した。
旅のしおりを作成するのは、このグループのお決まりにしている。
修学旅行みたいでテンションが上がるのだ。
それを見ながらコブラに今回の旅行について説明をした。
話しているうちに少し後悔がよみがえってきたりもしたが、何とか平常心を取り戻した。
いつまでも未練がましく思っていてはコブラにも悪い。
コブラは入学してもサークルには興味がなく、「トリップ47」のサークル名も知らなかった。
しかしオレの話を聞いているうちに少しずつ興味が出てきたようだ。
「面白そうなサークルですね。旅行と聞けばただの遊びですけど、社会見学なら学びですもんね」
「社会見学って小学校の時を思い出す単語だなぁ」
「その地域について学ぶ目的もあるんですよね?だったら立派な社会見学です。楽しんで学べて、一石二鳥ですね」
「興味持ったか?コブラも入れよ。定員なんてないから、参加はいつでも大歓迎だ」
「でも・・・」
コブラの顔が少し曇る。
「旅行できるほどお金に余裕はないです」
「だーかーら、オレと同じバイト紹介してやる、って」
「えぇー、コンビニですかー」
と言いつつ、最初の時よりは否定的な気持ちが薄くなってきている。
仕事の内容には不安が残るだろうが、店長はとても良い人という情報が心を迷わせているのだろう。
こういう時はもう一押しすればふっ切れる。
だいたい「無理」だった状態が曖昧になったら、気持ちは既に「無理じゃないかも」に傾いている。
これが完全な「無理じゃない」になるために、何かきっかけが欲しいものなのだ。
そしてそれは他人によって簡単に乗り越えられる。
「一人前になるまで、オレが面倒見てやるよ」
そう言うと、コブラも踏ん切りがついたようで、コンビニバイトに意欲を示した。
「ではよろしくお願いします。何から何までありがとうございます」
「サークルもお金が溜まったら考えといてくれよな」
「はい。面白そうなので、ぜひ検討します」
それからはトリップ47というサークルがどういうもので、今までどういう活動をしてきたかを説明し、お互い今後どこに行きたいかという話で盛り上がった。
今日出会ったばかりというのが嘘のように打ち解けていた。
もはやさっきまでコブラが体調不良であったことなど、微塵も感じないくらいコブラはよく話し、よく笑っていた。
元気を取り戻せたのはとても良いことだ。
とりあえずオレの選択は間違っていなかったと納得することにした。
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