31 / 203
2.新居からの新生活
31.働いたあとの入浴は……
しおりを挟む
「ふぃ~っ」
労働のあとの風呂はいい。社会人になった気分。
普通なら家に籠っているか、婚姻先の家に囲われる人生しかない。
そもそも、男の求人がないから自立する術がない。極狭少な職種しか無い。
それでもしないと、男にお金儲けはできない。
「自転車くらいならマキナは買ってくれる、だろうなあ~」
しかし、車購入や運転免許を取るお金はねだれない。
「……あのまま、働かせてくれないかな~」
そうすれば、少しは自由にできるお金ができる。もしダメなら、夜のお店か何か、特殊な接客業で探すしかないだろう。
『あの……。俺、帰るわ』
お風呂の扉越しにケイト先輩が話しかけてきた。赤井さんとの話は終わったのかな?
「あ、はい。お疲れ様でした。気を付けて帰ってください」
『それじゃ』
『キョウさん。私も帰ります。マキナさんのご飯は温めてあげてくださいね』
「はい。ありがとうございます。お気を付けて」
赤井親子は一緒に帰るようだ。ええっと、なんだっけ?
訊きたいことがあったんだけど思い出せない。また、今度で良いか……。
ドアの開閉音がすると、家の中は静寂に包まれ、チャプチャプと時折お湯の跳ねる音しか聞こえない。
「明日は……部活ない……し、何……するかな……」
お湯の温かさで睡魔が襲ってきた。お風呂を上がって復習するか……。
お風呂を上がってスウェットを着ると、自室に上がってカバンから作業着とお弁当箱を取り出した。
そこまでして、洗濯機の使い方を訊いて置けば良かったと後悔した。まあ、見れば分かるか……。
作業着、ジャージと弁当箱を持ってダイニングに入ると食器は洗われていた。
洗い物くらいするのに、と思いながらお弁当箱を洗って食器カゴに伏せておく。
ジャージと作業着など汚れものをランドリーに持っていき、洗濯機に放り込む。
操作パネルを睨んで見ると、量と時間を設定してスタートボタンを押すだけみたい。
洗濯機をスタートさせると、勉強道具をダイニングに持ってきて、今日の復習をする。
ああ~まだ何か忘れてるなあ~と、考えながらタブレット操作やノートに書き込んで復習していると、玄関からドアの開閉音がした。
「お帰りなさい」
「ん、ただいま」
急いで玄関へマキナを迎えに行って、カバンを受け取る。
「食事ですか? お風呂に入ります?」
「風呂は食事のあとで」
「分かりました」
急いでダイニングに戻り、勉強道具を端に寄せて片付けると、料理の皿をレンジに入れて温める。
マキナは、ダイニングに入ってくると冷蔵庫に直行して缶を取り出し開けると、その場で一口飲んだ。
缶ビールとかかな?
「くうう~、この一口が堪らん!」
「お酒って、そんなに美味しいですか?」
「ん~、そうでもない……」
じゃあ、なんで飲むんだよ? って、オブラートに包んで訊いてみる。
「ルーチンになってるな。ほろ酔いすると気持ちいいが、美味くはない。それと──」
食前に炭酸を飲むと食が進むんだ、と言う。なるほど。
ボクのタブレットやノートを見ながら立ったまま、また一口飲んでる。
食器棚からスモールグラスを取り出して、マキナの席に置く。
料理が温まる間にお風呂の追い焚きを始める。
「温まりましたよ」
温まった料理とよそったご飯を席に置いて、ソースやマヨネーズなど調味料も添える。
タブレットから手を放したマキナは座って食べ始める。
対面に座ると、空いたグラスにビールを注ぐ。冷えたものを飲むと知っていたならグラスを冷やして置ければ良かったけど、仕方ない。
「今日はありがとうございました。何かいろいろ迷惑かけて」
「なんでもない。しかし、お前は、もうちょっと……気を付けろ」
「……はい」
グラスが空いたので、また注ぐ。
「あの仕事って、どうやったらできますか?」
「……はあ? 仕事って清掃か?」
「そうです」
「お前に仕事をさせる心算はないぞ。仕事してどうする?」
「それは……」
働いてお金を稼ぐ言い訳が思い付かない。
「お前は卒業まで大人しくしていればいいんだ。頼むから心配させないでくれ」
「…………」
心配させるなと聴いて言葉を継げなかった。でも……。
「ほら……社会勉強です、よ。社会に出て女性が働くのを見て大変さを知る、とか。男の立場で新しい発想が生まれる、とか……」
じ~っと、マキナはボクを視る。心の中を見透かすように。
グラスを呷ると、ボクに差しだす。また、ビールを注ぐ。
そのグラスをテーブルに置くと、泡の立ち具合を見るように見入っていた。
労働のあとの風呂はいい。社会人になった気分。
普通なら家に籠っているか、婚姻先の家に囲われる人生しかない。
そもそも、男の求人がないから自立する術がない。極狭少な職種しか無い。
それでもしないと、男にお金儲けはできない。
「自転車くらいならマキナは買ってくれる、だろうなあ~」
しかし、車購入や運転免許を取るお金はねだれない。
「……あのまま、働かせてくれないかな~」
そうすれば、少しは自由にできるお金ができる。もしダメなら、夜のお店か何か、特殊な接客業で探すしかないだろう。
『あの……。俺、帰るわ』
お風呂の扉越しにケイト先輩が話しかけてきた。赤井さんとの話は終わったのかな?
「あ、はい。お疲れ様でした。気を付けて帰ってください」
『それじゃ』
『キョウさん。私も帰ります。マキナさんのご飯は温めてあげてくださいね』
「はい。ありがとうございます。お気を付けて」
赤井親子は一緒に帰るようだ。ええっと、なんだっけ?
訊きたいことがあったんだけど思い出せない。また、今度で良いか……。
ドアの開閉音がすると、家の中は静寂に包まれ、チャプチャプと時折お湯の跳ねる音しか聞こえない。
「明日は……部活ない……し、何……するかな……」
お湯の温かさで睡魔が襲ってきた。お風呂を上がって復習するか……。
お風呂を上がってスウェットを着ると、自室に上がってカバンから作業着とお弁当箱を取り出した。
そこまでして、洗濯機の使い方を訊いて置けば良かったと後悔した。まあ、見れば分かるか……。
作業着、ジャージと弁当箱を持ってダイニングに入ると食器は洗われていた。
洗い物くらいするのに、と思いながらお弁当箱を洗って食器カゴに伏せておく。
ジャージと作業着など汚れものをランドリーに持っていき、洗濯機に放り込む。
操作パネルを睨んで見ると、量と時間を設定してスタートボタンを押すだけみたい。
洗濯機をスタートさせると、勉強道具をダイニングに持ってきて、今日の復習をする。
ああ~まだ何か忘れてるなあ~と、考えながらタブレット操作やノートに書き込んで復習していると、玄関からドアの開閉音がした。
「お帰りなさい」
「ん、ただいま」
急いで玄関へマキナを迎えに行って、カバンを受け取る。
「食事ですか? お風呂に入ります?」
「風呂は食事のあとで」
「分かりました」
急いでダイニングに戻り、勉強道具を端に寄せて片付けると、料理の皿をレンジに入れて温める。
マキナは、ダイニングに入ってくると冷蔵庫に直行して缶を取り出し開けると、その場で一口飲んだ。
缶ビールとかかな?
「くうう~、この一口が堪らん!」
「お酒って、そんなに美味しいですか?」
「ん~、そうでもない……」
じゃあ、なんで飲むんだよ? って、オブラートに包んで訊いてみる。
「ルーチンになってるな。ほろ酔いすると気持ちいいが、美味くはない。それと──」
食前に炭酸を飲むと食が進むんだ、と言う。なるほど。
ボクのタブレットやノートを見ながら立ったまま、また一口飲んでる。
食器棚からスモールグラスを取り出して、マキナの席に置く。
料理が温まる間にお風呂の追い焚きを始める。
「温まりましたよ」
温まった料理とよそったご飯を席に置いて、ソースやマヨネーズなど調味料も添える。
タブレットから手を放したマキナは座って食べ始める。
対面に座ると、空いたグラスにビールを注ぐ。冷えたものを飲むと知っていたならグラスを冷やして置ければ良かったけど、仕方ない。
「今日はありがとうございました。何かいろいろ迷惑かけて」
「なんでもない。しかし、お前は、もうちょっと……気を付けろ」
「……はい」
グラスが空いたので、また注ぐ。
「あの仕事って、どうやったらできますか?」
「……はあ? 仕事って清掃か?」
「そうです」
「お前に仕事をさせる心算はないぞ。仕事してどうする?」
「それは……」
働いてお金を稼ぐ言い訳が思い付かない。
「お前は卒業まで大人しくしていればいいんだ。頼むから心配させないでくれ」
「…………」
心配させるなと聴いて言葉を継げなかった。でも……。
「ほら……社会勉強です、よ。社会に出て女性が働くのを見て大変さを知る、とか。男の立場で新しい発想が生まれる、とか……」
じ~っと、マキナはボクを視る。心の中を見透かすように。
グラスを呷ると、ボクに差しだす。また、ビールを注ぐ。
そのグラスをテーブルに置くと、泡の立ち具合を見るように見入っていた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【短編集】こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる