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2.新居からの新生活
32.働く途
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沈黙のあと、マキナが口を開く。
「……分かった。庶務に話は通しておく」
ただし、週三日に留めること、と制限が付いた。少々、不満だが働く途ができた。
「──で? 働きたい本音は」
思わずニヤついてしまったら、マキナから追及された。
「駅まで遠いので自転車が欲しくて」と、通学なんかに使いたい、とぽろっと溢してしまった。
「そりゃ、ダメだ。まだタクシー、使ってくれる方が安心だよ」
「ええっ? そんなあ~」
「自転車は買ってやる。通学に使わないなら」
まあ、働く途は鎖されないようだから我慢だ。運転免許を取りたいとか知られると、もっと厄介そうだし。
「……まだ、何か隠してるな?」
空いたグラスを差し出しながら、訝しげに訊いてくる。
お金儲けはできそうだとほくそ笑んでいたのを見られたみたい。
「べ、別に……」と、ビールをグラスに注ぐ。
返答が甘かったのか、口を尖らせて睨まれた。
どうやって誤魔化すか答えあぐねているところに、「適温です」とお風呂の通知がされた。
「お風呂が温まりましたよ。私の残り湯ですけど。早く食べて入ってください」
「……分かった。一緒に入るんだろうな?」
「え~、さっき入ったばかりですよ」
「ダメなのか?」
「ぐっ……」
ボクは降参して、二度目の入浴を決めた。ご機嫌取りは必要。
食事が終わりマキナが部屋に戻っている内に、洗い物に取り掛かる。
「入るぞ~」の声かけに、はいと答えて洗い物を終える。
脱衣場に入ると裸のマキナが待っていてビックリした。
スウェットを脱ぎ始めると、脱がしてやると言って脱がされた。お酒が入ったからか遠慮がない。
「なんだ、これ」と言って、自分で選んだおとなしめの下着を摘まむ。
夜は買ってやったヤツ、と指定された。左様ですか。
身体をシワシワにさせて二度目のお風呂を上がり、脱いだものを着ようとしたらダメ出しされた。
泣く泣くスウェットとかを抱えて部屋に行くあとを全裸のマキナも付いてくる。
部屋に行く間だけでも着てくださいよ。振り返り、振り返りして行くと、追い立てるように手を払う。
ボクは犬やウシじゃないぞ。
これからは、酒を飲ませてやらん!
自室に入り急いでクローゼットから、マキナ好みを準備して着付けていく。
マキナはベッドに座ってそれを観ている。
あれ? これってまた脱がされる、よね? 意味なくね?
と思う間もなく、身に着けるや腕を引かれてベッドに倒される。
「ちょっと待って。明日の準備してない」
「明日のことは、明日すれば良い……」
なるほど……確かに……って納得はするけど、剥ぎ取る手は止まらない。
昨夜は、烈《はげ》しかった。
ここ最近で一番の夜を過ごした。
まあ、三夜しかない内の一番なんだけど……。
マキナの匂いも味もきつく濃くて、もしかしたらアレか? と思った。
ソレに釣られてマキナの求めに抗いにくく応えてしまった。
おじいさん先生、生垣先生の言っていた、それが「分かる」ってことなんだろうか?
これが生きてるってことなんだろうか?
覆い被さる温かな重さを感じて目が覚めた。
マキナの下から脱け出すと普通を着けて小用に。下着姿でうろついても抵抗が無くなったな。
何も着けないでいるのも、それはそれでいい気がしてきた。マキナと二人きり限定で。
階下に下りてダイニングのタブレットとか勉強道具、ランドリーの服を回収すると部屋に戻る。
「ええっと、今日は……」
今日の時間割を確認してテキストを用意する。放課後は、どうしよう。
ケイト先輩の練習を眺めているか? それも暇だよね。
かと言って、お手伝いすると陸上部が警告される。マキナの会社に行って、掃除の時間まで待つ……のも暇だし邪魔になる。
「どうしよっかな~」
タブレットをいじって復習の続きをしながら考える。家に居ても赤井さんが来るまで退屈だろうし……。
そこで実家に帰って荷物をまとめて来よう、と閃いた!
早速、母に電話、と思ったけど朝早い時間だ。忙しくて応答できないだろう。
短文通信で済ませておこう。
[夕方、荷物を取りに行きたいけど良い?]
と送って復習に集中した。
一通り復習したころにドアの開閉音がした。赤井さんが来たようだ。
タブレットなどを片付けてダイニングに下りると、朝食の下ごしらえを始めている赤井さんがいた。
「……分かった。庶務に話は通しておく」
ただし、週三日に留めること、と制限が付いた。少々、不満だが働く途ができた。
「──で? 働きたい本音は」
思わずニヤついてしまったら、マキナから追及された。
「駅まで遠いので自転車が欲しくて」と、通学なんかに使いたい、とぽろっと溢してしまった。
「そりゃ、ダメだ。まだタクシー、使ってくれる方が安心だよ」
「ええっ? そんなあ~」
「自転車は買ってやる。通学に使わないなら」
まあ、働く途は鎖されないようだから我慢だ。運転免許を取りたいとか知られると、もっと厄介そうだし。
「……まだ、何か隠してるな?」
空いたグラスを差し出しながら、訝しげに訊いてくる。
お金儲けはできそうだとほくそ笑んでいたのを見られたみたい。
「べ、別に……」と、ビールをグラスに注ぐ。
返答が甘かったのか、口を尖らせて睨まれた。
どうやって誤魔化すか答えあぐねているところに、「適温です」とお風呂の通知がされた。
「お風呂が温まりましたよ。私の残り湯ですけど。早く食べて入ってください」
「……分かった。一緒に入るんだろうな?」
「え~、さっき入ったばかりですよ」
「ダメなのか?」
「ぐっ……」
ボクは降参して、二度目の入浴を決めた。ご機嫌取りは必要。
食事が終わりマキナが部屋に戻っている内に、洗い物に取り掛かる。
「入るぞ~」の声かけに、はいと答えて洗い物を終える。
脱衣場に入ると裸のマキナが待っていてビックリした。
スウェットを脱ぎ始めると、脱がしてやると言って脱がされた。お酒が入ったからか遠慮がない。
「なんだ、これ」と言って、自分で選んだおとなしめの下着を摘まむ。
夜は買ってやったヤツ、と指定された。左様ですか。
身体をシワシワにさせて二度目のお風呂を上がり、脱いだものを着ようとしたらダメ出しされた。
泣く泣くスウェットとかを抱えて部屋に行くあとを全裸のマキナも付いてくる。
部屋に行く間だけでも着てくださいよ。振り返り、振り返りして行くと、追い立てるように手を払う。
ボクは犬やウシじゃないぞ。
これからは、酒を飲ませてやらん!
自室に入り急いでクローゼットから、マキナ好みを準備して着付けていく。
マキナはベッドに座ってそれを観ている。
あれ? これってまた脱がされる、よね? 意味なくね?
と思う間もなく、身に着けるや腕を引かれてベッドに倒される。
「ちょっと待って。明日の準備してない」
「明日のことは、明日すれば良い……」
なるほど……確かに……って納得はするけど、剥ぎ取る手は止まらない。
昨夜は、烈《はげ》しかった。
ここ最近で一番の夜を過ごした。
まあ、三夜しかない内の一番なんだけど……。
マキナの匂いも味もきつく濃くて、もしかしたらアレか? と思った。
ソレに釣られてマキナの求めに抗いにくく応えてしまった。
おじいさん先生、生垣先生の言っていた、それが「分かる」ってことなんだろうか?
これが生きてるってことなんだろうか?
覆い被さる温かな重さを感じて目が覚めた。
マキナの下から脱け出すと普通を着けて小用に。下着姿でうろついても抵抗が無くなったな。
何も着けないでいるのも、それはそれでいい気がしてきた。マキナと二人きり限定で。
階下に下りてダイニングのタブレットとか勉強道具、ランドリーの服を回収すると部屋に戻る。
「ええっと、今日は……」
今日の時間割を確認してテキストを用意する。放課後は、どうしよう。
ケイト先輩の練習を眺めているか? それも暇だよね。
かと言って、お手伝いすると陸上部が警告される。マキナの会社に行って、掃除の時間まで待つ……のも暇だし邪魔になる。
「どうしよっかな~」
タブレットをいじって復習の続きをしながら考える。家に居ても赤井さんが来るまで退屈だろうし……。
そこで実家に帰って荷物をまとめて来よう、と閃いた!
早速、母に電話、と思ったけど朝早い時間だ。忙しくて応答できないだろう。
短文通信で済ませておこう。
[夕方、荷物を取りに行きたいけど良い?]
と送って復習に集中した。
一通り復習したころにドアの開閉音がした。赤井さんが来たようだ。
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