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2.新居からの新生活
54.屋上の攻防
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「無事? 皆。よく登ってこれたね」
寄ってきた護衛の二人に声をかけた。こんな夜でもサングラスをしている。
暗くて見えないだろうと思うのに、覚束げなく見つけてこちらに来たけど。
「大変でした。輩どもが、キョウ様の病室に侵入しようとして──」
「壁登りも訓練してますから……」
左様ですか。端的に状況を説明してくれる。この二人は大丈夫だな。
興奮からか、かなり饒舌に感じる。
「ねえ、これからどうするの? 下は敵ばかり。いつか屋上に上がってくるよ?」
「ああ、それは大丈夫です」
「ヘリを呼びましたから」
「ほう、ヘリ、ね?」
屋上にいる心配を溢すと、くノ一ふたりが解説してくれる。
まあ、屋上から脱出するのは、それしかないか、と納得するが。
でもさ、ボクは素朴な疑問を投げる。
「屋上って着陸できるの? ヘリポートマークないから、下りられないよね? たぶん」
「実は、な。──」
マキナは、屋上の床を足でドンドンと踏み付け答える。
「──ヘリが駐まれるよう強度を持たせてる」
なるほど。でも、よくそんなこと知ってるね?
ふふん、と鼻を鳴らせてマキナが得意げに言う。なんでも自社で資材調達からしてこの病院を建てたらしい。
この病院って、かなり古そうだけど、その頃から働いていたの?
と、言ってる間にバラバラバラとヘリのローター駆動の音が耳に届いてきた。
「来たな……」
音のする方向を見ると暗がりの中、航空灯の緑と赤の灯りが窺えた。
その音に紛れて、暴徒たちが屋上へ上がってこようとしている。
「少し、運動する時間があるようだ、な?」
「ほどほどでお願いしますよ?」
鬱憤を晴らすようなマキナの言葉にくノ一Nが諌める。
へー、恰好だけじゃなく本当にやれるのかな?
くノ一さんとは面識がないようだけど、マキナの情報は把握してるんだ。
「オレも、やるぜ!」
「大丈夫なの? ボクのそばに居て護るんじゃないの?」
メイが、大言を吐く。どうせ通信教育とかで習ったんだろう。俄仕込み武術で対抗できるかい?
「お任せください。我らの役目です」
「そうですよ? 折角、屋上まで上がったのに」
男性護衛士の歩鳥さんと斎木さんも意気が上がっている。
ボクらが上がって来たところから屈強な女が上がって来ようとしている。
護衛の二人は、ゆらりとそちらに向かうとジャケットの後ろから何か棒を取り出した。
それを一振り、掌の棒が伸びた。なるほど伸縮式の警棒か。
徒手空拳かな、と思っていたけど最低限の武装はしていたんだね。
低い姿勢で突進してくる暴徒をいなして警棒を振るう。
首を一撃、どっとそいつは倒れる。警護の二人で事たりるか? と思ってたら複数の女が屋上の縁にすがって上がってくる。
マキナは出番を待つように、近くでトンファーを振り回しヒュンヒュン鳴らして暖気してる。
メイも身構えているが、及び腰。くノ一は我、関せずの体で、端末でヘリと話しながら戦況を窺う余裕だ。
そうしているとようやく、月明かりが反射するキャノピーが視認できた。
「もう少しだよ!」
ヘリが来たよと知らせるが、すぐにローターの音と風に煽られて話が通じにくくなる。
屋上の上にヘリが到着してランディング場所を探りホバリングしている。それに指示するくノ一たち。
そうしている間も賊どもの攻勢は続いていて、護衛が上がってきた反対側の縁にも黒い人影が見える。
「マキナ! あっちにも来たよ!」
「分かった!」
右手のトンファーを振り回しながらそちらへ歩いていくマキナ。
「✕✕!……✕✕✕!」
キンキンした甲高い声で階下から何か叫んでる。言葉は分からないけどアンナさんの声みたいだ。
ヘリが来て焦ってるのか?
ヘリは人を避けて離れた場所にゆっくり下りてくる。
「マキナ! 来たよ!」
ヘリが降りるのも、もどかしくマキナに告げる。
一人、二人と上がってくる賊どもをトンファーを振るって倒している。相手も特殊警棒かで対抗してるが、マキナが一撃でいなし、二撃で横腹を殴って、よろめき倒れる。
「分かった!」
ローターの音でかき消されて聞き取り辛いがマキナの返事と分かる。
「おわっと?」
着陸が今か今かと眺めていると、ボクを後ろから抱えるくノ一H。
荷物じゃないんだからね? 内心の不満を他所に、そのまま抱えて走るH。
ヘリが着地するやドアを開けると同時に中へ放り込まれる
だ・か・ら、ボクは(略。
風に煽られる扉を支え、後続を待つH。追っ付けNもヘリに取り付いて残った者たちを呼ぶ。
マキナが上がってきた賊をすべて殴り倒してこちらに走りよる。
メイも賊の周りで相手をしていたが、相手を攻撃を躱し拳を繰り出すが躱され、組み手をしてるようで倒すまではできていない。
まあ、怪我してくれなかったら良いや。
護衛たちも殴り飛ばして、こちらに向かってくる。屋上に上がったヤツは片付いた。
「早く! 早く!」
マキナ、メイ、護衛の歩鳥、斎木が乗り込むとくノ一ふたりはドアを閉めてしまう。
「えっ? あの二人は?」
「まあ……大丈夫だろ?」
「え?」
窓外を見てると屋上に新たな暴徒が上がってくるし、倒れたヤツも立ち上がってきてる。
ヘリに向かってくるヤツらを防いで殿を努めるってヤツ?
忍びの者は大変だ。
ヘリはノロノロ、上がっていく。
「定員オーバーで……」
離陸の遅さを責めるとパイロットが苦々しく答える。
「大丈夫なの?」と、素朴に問うと。
「そうだな! メイ、降りろ!」
「っ! そんな……」
「嘘だ!」とマキナが大声で答える。
しかし、外の連中が銃のようなものを構えてるんですけど? 大丈夫か。
ちなみに、ヘリの中はごった返してぎゅうぎゅうです。マキナが座席に座ってボクを抱えている。
警護の二人は、片膝で床に座ってる。メイは隣で座って、恨めしそうに見てくる。
コ・パイ席には乗ってなくて誰かそっちに乗れば良かったね。
「ムリだな。くノ一の誰かなら」外から回って乗り込めるのでは、とマキナが答える。
確かにやれそうだけど、命懸けだよ。
なんか構えていたヤツは、すぐくノ一の二人に倒されていた。
上空に上がりながらヘリが来た方へ戻らず飛んでいく。
「どこに行くの?」
「本家だな!」
ですよね~。近いのかな? 本家は、ヘリポートも完備していますか、そうですか。
「本家は、どこら辺なの?」
「古都だ!」
「は?」
ちょっと待って! どんだけ遠いのよ。
「学園が明日もあるよ! メイも降ろさないと!」
「休みだ! 休学になるかもな!」
「そんな……家に降ろして! 家、新居に向かって!」
そう抗議をしていると誰かの携帯に着信音が。キュイキュイと鳴った。
寄ってきた護衛の二人に声をかけた。こんな夜でもサングラスをしている。
暗くて見えないだろうと思うのに、覚束げなく見つけてこちらに来たけど。
「大変でした。輩どもが、キョウ様の病室に侵入しようとして──」
「壁登りも訓練してますから……」
左様ですか。端的に状況を説明してくれる。この二人は大丈夫だな。
興奮からか、かなり饒舌に感じる。
「ねえ、これからどうするの? 下は敵ばかり。いつか屋上に上がってくるよ?」
「ああ、それは大丈夫です」
「ヘリを呼びましたから」
「ほう、ヘリ、ね?」
屋上にいる心配を溢すと、くノ一ふたりが解説してくれる。
まあ、屋上から脱出するのは、それしかないか、と納得するが。
でもさ、ボクは素朴な疑問を投げる。
「屋上って着陸できるの? ヘリポートマークないから、下りられないよね? たぶん」
「実は、な。──」
マキナは、屋上の床を足でドンドンと踏み付け答える。
「──ヘリが駐まれるよう強度を持たせてる」
なるほど。でも、よくそんなこと知ってるね?
ふふん、と鼻を鳴らせてマキナが得意げに言う。なんでも自社で資材調達からしてこの病院を建てたらしい。
この病院って、かなり古そうだけど、その頃から働いていたの?
と、言ってる間にバラバラバラとヘリのローター駆動の音が耳に届いてきた。
「来たな……」
音のする方向を見ると暗がりの中、航空灯の緑と赤の灯りが窺えた。
その音に紛れて、暴徒たちが屋上へ上がってこようとしている。
「少し、運動する時間があるようだ、な?」
「ほどほどでお願いしますよ?」
鬱憤を晴らすようなマキナの言葉にくノ一Nが諌める。
へー、恰好だけじゃなく本当にやれるのかな?
くノ一さんとは面識がないようだけど、マキナの情報は把握してるんだ。
「オレも、やるぜ!」
「大丈夫なの? ボクのそばに居て護るんじゃないの?」
メイが、大言を吐く。どうせ通信教育とかで習ったんだろう。俄仕込み武術で対抗できるかい?
「お任せください。我らの役目です」
「そうですよ? 折角、屋上まで上がったのに」
男性護衛士の歩鳥さんと斎木さんも意気が上がっている。
ボクらが上がって来たところから屈強な女が上がって来ようとしている。
護衛の二人は、ゆらりとそちらに向かうとジャケットの後ろから何か棒を取り出した。
それを一振り、掌の棒が伸びた。なるほど伸縮式の警棒か。
徒手空拳かな、と思っていたけど最低限の武装はしていたんだね。
低い姿勢で突進してくる暴徒をいなして警棒を振るう。
首を一撃、どっとそいつは倒れる。警護の二人で事たりるか? と思ってたら複数の女が屋上の縁にすがって上がってくる。
マキナは出番を待つように、近くでトンファーを振り回しヒュンヒュン鳴らして暖気してる。
メイも身構えているが、及び腰。くノ一は我、関せずの体で、端末でヘリと話しながら戦況を窺う余裕だ。
そうしているとようやく、月明かりが反射するキャノピーが視認できた。
「もう少しだよ!」
ヘリが来たよと知らせるが、すぐにローターの音と風に煽られて話が通じにくくなる。
屋上の上にヘリが到着してランディング場所を探りホバリングしている。それに指示するくノ一たち。
そうしている間も賊どもの攻勢は続いていて、護衛が上がってきた反対側の縁にも黒い人影が見える。
「マキナ! あっちにも来たよ!」
「分かった!」
右手のトンファーを振り回しながらそちらへ歩いていくマキナ。
「✕✕!……✕✕✕!」
キンキンした甲高い声で階下から何か叫んでる。言葉は分からないけどアンナさんの声みたいだ。
ヘリが来て焦ってるのか?
ヘリは人を避けて離れた場所にゆっくり下りてくる。
「マキナ! 来たよ!」
ヘリが降りるのも、もどかしくマキナに告げる。
一人、二人と上がってくる賊どもをトンファーを振るって倒している。相手も特殊警棒かで対抗してるが、マキナが一撃でいなし、二撃で横腹を殴って、よろめき倒れる。
「分かった!」
ローターの音でかき消されて聞き取り辛いがマキナの返事と分かる。
「おわっと?」
着陸が今か今かと眺めていると、ボクを後ろから抱えるくノ一H。
荷物じゃないんだからね? 内心の不満を他所に、そのまま抱えて走るH。
ヘリが着地するやドアを開けると同時に中へ放り込まれる
だ・か・ら、ボクは(略。
風に煽られる扉を支え、後続を待つH。追っ付けNもヘリに取り付いて残った者たちを呼ぶ。
マキナが上がってきた賊をすべて殴り倒してこちらに走りよる。
メイも賊の周りで相手をしていたが、相手を攻撃を躱し拳を繰り出すが躱され、組み手をしてるようで倒すまではできていない。
まあ、怪我してくれなかったら良いや。
護衛たちも殴り飛ばして、こちらに向かってくる。屋上に上がったヤツは片付いた。
「早く! 早く!」
マキナ、メイ、護衛の歩鳥、斎木が乗り込むとくノ一ふたりはドアを閉めてしまう。
「えっ? あの二人は?」
「まあ……大丈夫だろ?」
「え?」
窓外を見てると屋上に新たな暴徒が上がってくるし、倒れたヤツも立ち上がってきてる。
ヘリに向かってくるヤツらを防いで殿を努めるってヤツ?
忍びの者は大変だ。
ヘリはノロノロ、上がっていく。
「定員オーバーで……」
離陸の遅さを責めるとパイロットが苦々しく答える。
「大丈夫なの?」と、素朴に問うと。
「そうだな! メイ、降りろ!」
「っ! そんな……」
「嘘だ!」とマキナが大声で答える。
しかし、外の連中が銃のようなものを構えてるんですけど? 大丈夫か。
ちなみに、ヘリの中はごった返してぎゅうぎゅうです。マキナが座席に座ってボクを抱えている。
警護の二人は、片膝で床に座ってる。メイは隣で座って、恨めしそうに見てくる。
コ・パイ席には乗ってなくて誰かそっちに乗れば良かったね。
「ムリだな。くノ一の誰かなら」外から回って乗り込めるのでは、とマキナが答える。
確かにやれそうだけど、命懸けだよ。
なんか構えていたヤツは、すぐくノ一の二人に倒されていた。
上空に上がりながらヘリが来た方へ戻らず飛んでいく。
「どこに行くの?」
「本家だな!」
ですよね~。近いのかな? 本家は、ヘリポートも完備していますか、そうですか。
「本家は、どこら辺なの?」
「古都だ!」
「は?」
ちょっと待って! どんだけ遠いのよ。
「学園が明日もあるよ! メイも降ろさないと!」
「休みだ! 休学になるかもな!」
「そんな……家に降ろして! 家、新居に向かって!」
そう抗議をしていると誰かの携帯に着信音が。キュイキュイと鳴った。
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