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3.喜多村本家に居候
70.おままごと・食事編
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「ボクが食器とか、お皿っておかしくない?」
「そなた、おとなげ無いぞ?」
包みからクッキーを摘みながら「子供のすることくらい寛容に」と尤もらしくサキちゃんが言う。
そして、ボクの胸にクッキーを置く。
って、あんたもやりたいのかよ?
その言い種はボクが悪いみたいじゃないか。
周りを取り囲む幼女たちが、目を潤ませて見てくる。
どこでこんなこと、覚えてきたんだか……。
「仕方ない……」
脱ぐよりは良いかと、キャミソールを捲ってテーブルに寝直す。
サキちゃん、肩が震えてるよ。ここは年長者が諌めるところだったでしょう。
みんな嬉々として、ボクのお腹や胸にクッキーを並べていく。
置かれるたび、くすぐったくて仕方ないよ。
「う~ん、何かもの足りない……」とタンポポちゃんがもらす。
「ジャムとかヨーグルトとかあればのう?」
サキちゃんが余計なことを言う。
「「それだ!」」とタンポポちゃんとアリサちゃんが叫ぶ。
「それ……美味しそう」とマナちゃんも同意する。
「サキ様、えらい!」と皆、サキちゃんを褒め称える。
「私、調理場でもらってくる!」
タンポポちゃんが立ち上がりドアへ走っていく。
飛び出していくタンポポちゃんを追ってアリサちゃんも走っていく。
「あ! ちょっと……」
下着姿で屋敷内を歩き回ったら怒られないかな?
それと、走ったら危ないよ?
マナちゃんは、我、関せずでボクの胸に置いたクッキーをにらんでいる。
もしかしてジャムが来るまで、ボクはこのままでいなきゃいけないの?
背中とお尻が痛くなる前にタンポポちゃんとアリサちゃんがビンを抱えて帰ってくる。
ボクたちの様子を伺いにメイドさんが付いてきて、ドアの陰から中を窺っている。
「んまぁ!」って低く唸り目を見開いてボクを観る。
見ないで。これは、違うんです~。
弁解する間もなく、そのメイドさんが逃げていく。
ボクの尊厳がぁ~! あのメイドさんがおしゃべりじゃ無いことを祈ろう。
「さあ、ご飯の時間よ?」
「うん……」
「さあ、食べよ」
「「「頂きます!」」」
やっと、終わる……これを乗りきれば……。
皆、ジャムやマーマレードのビンを開けようと試ている。
「ボクが開けるよ?」
だけど、固くて開けられない。ボクはそれをもらって開けていく。
皆は、ボクに載ったクッキーを取って各々好きなものを付けて食べていく。
ボクが皿に擬態している意味あるのかな?
マナちゃんはオレンジ・マーマレードが盛られたクッキーをボクの口に運んでくれる。
マナちゃんは気が利くね。ありがたく食べるけど、あっま~い!
マーマレード盛りすぎ。口の中が、甘さでいっぱいに。誰か飲み物をちょうだい!
また、マナちゃんが口に持って来てくれるけどもう結構。自分で食べてね?
「ありがとね? 何か飲み物ないの?」
マナちゃんにお礼を言って、部屋の主タンポポちゃんに聴く。
でも、子供たちの部屋にポットとかは危ないだろうし、置いてないか。
「調理場に──」
「そこまでしなくていい」
タンポポちゃんが調理場へ取りに行く勢いで答えたので、慌てて止める。
やはり、ないようだ。と思ったら、部屋の隅に行ったマナちゃんが冷蔵庫からペットボトルを取ってきてくれた。
「ありがとう、マナちゃん」
マナちゃんにお礼を言って受け取り口を潤す。よく知ってたね。
できれば温かいものが良かったけど、そこまで言ったら申し訳ない。
「クッキーを食べたし終わり?」
ボクの上のクッキーはすべて食べられてもう無い。
「そうね~、お風呂は晩ご飯の前だから~──」
おお、タンポポちゃんたち、お風呂の先延ばしは覚えてくれてたよう。
ご飯がわりのクッキーを食べ終わって次のごっこを相談してる。
「──もう、寝ましょうか?」
うんうんと頷いて賛成する幼女ーズ。
お風呂の先は、それがあったか~。まあ寝るだけなら問題ないだろう。
ローテーブルから起きてキャミソールを戻す。ついでにワンピースを着直そうとしたら止められる。
もう寝るから着たらダメ、らしい。至極もっとも。
テーブルに散らかしたジャムやヨーグルトをまとめておく。
タンポポちゃんの部屋から続きの部屋へ皆で行く。
そこにはボクに充てられた部屋のような大きなベッドが据えてあった。
ここって両親の部屋じゃないの? いいの?
「では、順番にふうふのイトナミを……」
タンポポちゃんが不穏なことを言いだす。
いや、そんなことまだ学校で習ってないよね? たぶん。
ボクは女子の学習内容、知らないけどさ。
もしかして、婦夫──ご両親のいとなみを覗いてた、とか?
「そなた、おとなげ無いぞ?」
包みからクッキーを摘みながら「子供のすることくらい寛容に」と尤もらしくサキちゃんが言う。
そして、ボクの胸にクッキーを置く。
って、あんたもやりたいのかよ?
その言い種はボクが悪いみたいじゃないか。
周りを取り囲む幼女たちが、目を潤ませて見てくる。
どこでこんなこと、覚えてきたんだか……。
「仕方ない……」
脱ぐよりは良いかと、キャミソールを捲ってテーブルに寝直す。
サキちゃん、肩が震えてるよ。ここは年長者が諌めるところだったでしょう。
みんな嬉々として、ボクのお腹や胸にクッキーを並べていく。
置かれるたび、くすぐったくて仕方ないよ。
「う~ん、何かもの足りない……」とタンポポちゃんがもらす。
「ジャムとかヨーグルトとかあればのう?」
サキちゃんが余計なことを言う。
「「それだ!」」とタンポポちゃんとアリサちゃんが叫ぶ。
「それ……美味しそう」とマナちゃんも同意する。
「サキ様、えらい!」と皆、サキちゃんを褒め称える。
「私、調理場でもらってくる!」
タンポポちゃんが立ち上がりドアへ走っていく。
飛び出していくタンポポちゃんを追ってアリサちゃんも走っていく。
「あ! ちょっと……」
下着姿で屋敷内を歩き回ったら怒られないかな?
それと、走ったら危ないよ?
マナちゃんは、我、関せずでボクの胸に置いたクッキーをにらんでいる。
もしかしてジャムが来るまで、ボクはこのままでいなきゃいけないの?
背中とお尻が痛くなる前にタンポポちゃんとアリサちゃんがビンを抱えて帰ってくる。
ボクたちの様子を伺いにメイドさんが付いてきて、ドアの陰から中を窺っている。
「んまぁ!」って低く唸り目を見開いてボクを観る。
見ないで。これは、違うんです~。
弁解する間もなく、そのメイドさんが逃げていく。
ボクの尊厳がぁ~! あのメイドさんがおしゃべりじゃ無いことを祈ろう。
「さあ、ご飯の時間よ?」
「うん……」
「さあ、食べよ」
「「「頂きます!」」」
やっと、終わる……これを乗りきれば……。
皆、ジャムやマーマレードのビンを開けようと試ている。
「ボクが開けるよ?」
だけど、固くて開けられない。ボクはそれをもらって開けていく。
皆は、ボクに載ったクッキーを取って各々好きなものを付けて食べていく。
ボクが皿に擬態している意味あるのかな?
マナちゃんはオレンジ・マーマレードが盛られたクッキーをボクの口に運んでくれる。
マナちゃんは気が利くね。ありがたく食べるけど、あっま~い!
マーマレード盛りすぎ。口の中が、甘さでいっぱいに。誰か飲み物をちょうだい!
また、マナちゃんが口に持って来てくれるけどもう結構。自分で食べてね?
「ありがとね? 何か飲み物ないの?」
マナちゃんにお礼を言って、部屋の主タンポポちゃんに聴く。
でも、子供たちの部屋にポットとかは危ないだろうし、置いてないか。
「調理場に──」
「そこまでしなくていい」
タンポポちゃんが調理場へ取りに行く勢いで答えたので、慌てて止める。
やはり、ないようだ。と思ったら、部屋の隅に行ったマナちゃんが冷蔵庫からペットボトルを取ってきてくれた。
「ありがとう、マナちゃん」
マナちゃんにお礼を言って受け取り口を潤す。よく知ってたね。
できれば温かいものが良かったけど、そこまで言ったら申し訳ない。
「クッキーを食べたし終わり?」
ボクの上のクッキーはすべて食べられてもう無い。
「そうね~、お風呂は晩ご飯の前だから~──」
おお、タンポポちゃんたち、お風呂の先延ばしは覚えてくれてたよう。
ご飯がわりのクッキーを食べ終わって次のごっこを相談してる。
「──もう、寝ましょうか?」
うんうんと頷いて賛成する幼女ーズ。
お風呂の先は、それがあったか~。まあ寝るだけなら問題ないだろう。
ローテーブルから起きてキャミソールを戻す。ついでにワンピースを着直そうとしたら止められる。
もう寝るから着たらダメ、らしい。至極もっとも。
テーブルに散らかしたジャムやヨーグルトをまとめておく。
タンポポちゃんの部屋から続きの部屋へ皆で行く。
そこにはボクに充てられた部屋のような大きなベッドが据えてあった。
ここって両親の部屋じゃないの? いいの?
「では、順番にふうふのイトナミを……」
タンポポちゃんが不穏なことを言いだす。
いや、そんなことまだ学校で習ってないよね? たぶん。
ボクは女子の学習内容、知らないけどさ。
もしかして、婦夫──ご両親のいとなみを覗いてた、とか?
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