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3.喜多村本家に居候

72.部屋で皆とお夕食

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「キョウ様はこちらでよろしいのですか?」
「はい、もちろん」

 ローテーブルの食事は四人分、並んでいる。

 気を利かせてボクの分まで都合してくれたみたい。

「では、ご一緒に召し上がってください」
「ありがとう」

 子供向けに大きな皿ひとつに料理が一緒に盛られている。いわゆるワンプレートの定食スタイル。

 コース給仕されるよりこちらの方が好きに食べられて良い。

 これからは定食スタイルでお願いします。

 今日の夕食は、ハンバーグをメインに付合せの人参のグラッセ、蒸しブロッコリー、アスパラが添えられている。

 それに、ご飯かパンを選べるみたい。

「私が! キョウの左」
「いえ、私が左に座る」

 タンポポちゃんとアリサちゃん、ボクの左隣を希望して席順が決まらない。

 そんな二人が争っているうち、皿を持ってきたミナちゃんが膝に座って食べ始める。

 今度は「ずるい!」と非難合戦に変わる。

 ミナちゃんは我、関せずで食べている。

 と言うか小さく切ったハンバーグをボクの口へ運んでる。

「みんな、順番にしてあげるから、今日はミナちゃんね」

「わかった」と了承してくれたけど両隣にタンポポちゃんとアリサちゃんは座る。

 皆、食べ始めたけど狭いのです。テーブルの向こうがいてるのに。

「はい、頂きます!」
「「頂きます!」」
「……頂きます」

 ボクが声をかけるとタンポポちゃんとアリサちゃんが唱和する。

 マナちゃんが忘れてたって気まずそうに追っかけ、声を上げる。

 食事開始の合図が終わったとばかりにマナちゃんは、自分そっちのけでボクの口へハンバーグ運びを再開する。

 私も私もとタンポポちゃんやアリサちゃんも切り分けたハンバーグをボクの口に持ってくる。

 皆にもらわ無くてもボクの皿にはハンバーグが二つも載っているんだよ?

 一口だけのつもりで皆のハンバーグを食べたけど、それでは済ませないとばかり対抗意識で次々と切り分けたハンバーグを口に持ってくる。

「ボクにはいっぱい、ハンバーグがあるから皆は皆のハンバーグを食べてね」

 やっとなだめて、自分のものを食べていたら喜多村の警護、気更来きさらぎさん、羽衣はごろもさんに連れられ歩鳥ほとりさん、斎木さいきさんが現れた。

「な、何やってるんすか?」
「キョウ様って相当ただれた人」
「食事なので返ってこられるとばかり……」

 あきれる護衛ふたりに警護の二人がそっぽ向く。

 食事に戻って来ないので、また様子を見に来てくれたみたい。戻ってもよかったけど、メイドさんが準備してくれたんだもん。

「いや、これは、その……ごっこ遊びしてて」

 自分の姿を見て、肌着だったと思いだした。自分の姿に慌てて胸を隠す。

 ワンピースはどこやった?

「裸になるごっこって?」
「ふうふごっこ」

 事も無げにタンポポちゃんが言ってのける。いや、おままごとって言ってたよね?

「それって……夜のアレも」
「いや、ごっこだから、振りだからね?」
「でも裸になって一緒に寝た、と?」

 喜多村の警護も問い詰めてくる。

「うるさい警護ね。キョウとは一晩のチギリを済ませてほんとのふうふになったから」

 とタンポポちゃんが要らない爆弾を落とす。

 ひと晩もなにもお昼寝しただけだよね?

「キョウ様って、どんな人だ? 幼女にまで手を出して」
「もうユルユル。来るものこばまず」
「会ったその日にベッドイン」
「マジか! なんか私もそんなかなあ~って思ってた」

 そこ、小声で話しても聴こえてるぞ?

 誰がユルユルだ。その日にベッドインなんか……してたわ……οrz

「アリサちゃん、人参をよけない。大きくなれないよ?」
「うえ~? ニンジン、変な味」
「マナちゃんは偉いね~? 人参、全部食べたね」
「うん、食べた」

 それを聞いて知らんぷりだったタンポポちゃんが、しぶしぶ人参を食べ始める。

「アリサちゃんは一緒にお風呂、入れないね~?」
「うん、入れない」
「え~っ? 食べる、食べれば良いんでしょ」

 にがそうな顔で人参のグラッセを食べ始めたアリサちゃん。そんな顔しなくても甘くて美味しいよ。

「それで、何?」

 改めて護衛と付いてきた? 喜多村の警護に話を訊く。

「私も一緒に、お風呂入りたい!」

 そう言った羽衣さんの頭を気更来きさらぎさんがかさず叩いた。
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