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3.喜多村本家に居候

127.お昼をミヤビ様たちと

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「はあはあ……これ、本当ホントにつらいわ~」

 子供たちの前では気丈きじょうに振る舞ったけどかな~りつかれてる。ちょっと横になりたい。

「キョウ様、大丈夫ですか?」
「うん、やっぱり疲れてるみたい。休みたいな~。でも……」
 放っておくとミヤビ様たちが暴走しそうなんだよね~。早く帰ってくんないかな~。


「ミヤビ様レイニ様、戻りました」
「おお、義兄上あにうえ、待っておりましたぞ」
「それで子供らは、いかがであった?」

 五階の自室に戻りリビングに顔を出す。

 メイドさんたちの配膳はいぜんを待ちながら、お二人はソファーでくつろいでいる。

 その姿はワイシャツにスラックスのミヤビ様に、矢がすりにみどりはかま姿のレイニ様。

 着ている矢がすりがイヤな妄想もうそうをかき立てるんですけど……。

〝矢〟って行ったきりだから「帰ってくるな」って意味が込もってるとか……。

「はい、ちゃんとお勉強しておりました」
「そうか、なによりじゃ」
「そんなことより義兄上あにうえ、──」

 そんなことよりって。それに兄上はやめてほしいな~。

「──ましたぞ。下着姿を衆目しゅうもくさらすなど狂喜きょうきの──狂気きょうき沙汰さたではありませぬぞ」
 え~っと、なんのこと? それに言い直した? 疑問符???を浮かべて首をかしげる。

「そなたの一人ファッションショーを観ておったのだ。それに──」
「見ましたぞ。買い物の数々。なんですか、あのハレンチきわまる肌着は! はあはあはあ……」
 な、なに興奮こうふんしてるの? レイニ様。言動が相反してるんですけど~?

「いや、それは……ミヤビ──ハノリ様が押し付けてきて、ですね?」
 見回すと荷物が無くなってる。それにメイドさんたちの前でする話題じゃないよ。

「わらわのせいにするでない。そなたが、のりのりだったからで、だな」
「いや、それは……あのサガラとカメラマンが乗せてきて、ですね? やめませんか? 食事のあとにしましょう」
「わ、分かりました。水着についてもあとでじっくり」
 ひええ~。


「また、お肉……うぷっ」
「どうした?」
「い、いえ……」
義兄上あにうえ、肉を食わねば子作りなど、できませぬぞ?」
「いえ、お肉よりお野菜やら、ミネラルをらないと。あと魚介ぎょかい。貝などに含まれる亜鉛あえんを摂らないとダメみたいですよ?」

「あれは迷信じゃ。は魚介は好かぬ」
「迷信って、科学的に証明されてたような……」
 レイニ様、偏食へんしょくすぎます。ミヤビ様も。

 せめてもの救いは、スープが野菜たっぷりなこと。調理師さんの苦労が忍ばれる。


「それで……午後の予定はお決まりになったのですか?」
 食後のコーヒーを飲みながら聴いてみる。

「ん……う~ん……」
「やはり義兄上あにうえ衣装いしょうのお披露目ひろめがよろしいかと思います。ふんす」
 レイニ様、鼻息あらくなに言ってんですか?

「レイニ様、もう見ちゃったんでしょう? わざわざ見せることもないでしょう?」
 その口ぶりでは、ボク着せられそうだ。

「テレビでは、今ひとつおもむきがありませなんだ。やはり、生で見ませんと」

 やっぱりか~。
「いやです。乗せられて着ただけで、もっとおとなしいのが欲しかったのに」
「な、ならせめてアノ水着だけでも」
「あの?」

「モールより逃げる時にしていたものじゃ」
「水着姿はテレビでやっておりませなんだ。特に逃げ出す時に穿いたと言う……」
「ミヤビ様、なんで話したんですか? あれは洗濯せんたく中でありません」

「で、では、他の水着を」
「そんなにごらんになりたければ、ご自分で着てみられては?」
「そ、そんな……義兄上あにうえのものを着ても良いのですか?」
「ど~ぞど~ぞ──」
 まったく、面倒なひとだ。

「──では午後はタンポポ──子供たちのところにいていいですか?」
「なぜです。の相手をしてくだされ」
「相手って言われてもみやびなおかたのお相手など、わたくしにはとても」

「そう言わず相手をしてくれぬか?」
「そうです……貝合わせなどして遊びましょう」
 ちなみに貝合わせってトランプの神経衰弱すいじゃくみたいなゲームらしい。

「いや、子供たちがお昼寝するし一緒にいたいかな~、なんて」
「それではも一緒に。そうじゃ、こちらに子供をんではいかがです?」

「いや、それは──」
 返答に困ってミヤビ様の顔色をうかがうとしぶい表情だけどいやがってはいなさそう。

「──ちょっと子らに聴いてみましょうか?──ッ!」

 早速とばかりに立ち上がったら、またよろめいた。

「お気をつけて」
 転びそうなところをすんでで白い人、戸隠とがくしさんが支えてくれる。素早いね? いつから近くにいたのさ?

 って見回したら戸隠さんの相棒バディ角師かくしさんも後ろにひかえてた。

義兄上あにうえ、大事ありませぬか?」
「そなた、顔色が悪いぞ?」
「だ、大丈夫です……。戸隠さん、ありがとう」

「戸隠、義兄上あにうえに触れるでない」
「は! しかし……」
「ありがとう。もういいよ。では、聞いてきます」

「そなたは休んでおれ。戸隠、角師、聴いて参れ」
「「は!」」
「でも……」

「ささ、義兄上あにうえ寝所しんじょへ」
「あ、ありがとうございます……」
 でもね~、なんか密着度が高いですレイニ様。

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